テレビ東京のドラマに、またゾンビが襲来 - セーラーゾンビの感想

理解が深まるドラマレビューサイト

ドラマレビュー数 1,147件

セーラーゾンビ

1.501.50
映像
2.00
脚本
1.50
キャスト
2.00
音楽
2.00
演出
2.00
感想数
1
観た人
1

テレビ東京のドラマに、またゾンビが襲来

1.51.5
映像
2.0
脚本
1.5
キャスト
2.0
音楽
2.0
演出
2.0

目次

「セーラーゾンビ」を視聴した感想です。


人類がゾンビ化した、終末の世界を生きる女子高生達、という切り口は面白かったと思います。

ストーリーの途中途中で、「DJマーロンとは何者なのか」「人と区別のつかないゾンビが身内の中にいるのか?」「消えた仲間達はどこへ行ったのか?」など、先が気になるような謎も用意され、視聴者を飽きさせない工夫があったと思います。

しかし、ミステリーとしても、サスペンスとしても、青春物語としても、中途半端という印象が拭えませんでした。

まず、全体に流れる呑気な雰囲気が、見ていて受け付けないな、と思いました。
終末世界なのに、みんな呑気なのはおかしい、というわけではありません。
どんなに窮地に問い詰められても、人間の日常ですから、気の抜けるような部分もあるかと思います。

問題はその呑気さが、どうにも作為的であることが、見ていて白けるという事です。

オッサンの気配を消してほしい


まず制作側が、「ゾンビのいるような世界でも、そんなに変わりなく過ごす、女子高生の日常を描きたい」と考えていることは伝わります。

しかし、制作側の考えている「女子高生の日常」が、どうにもマンガみたいというか、全くリアリティーがなく、「オッサンが一生懸命考えた、女子高生の日常」というような感じで、見ていて辛かったです。

例えば、ゾンビが徘徊しているような世界でも、皆で楽しくご飯を食べている、という呑気さ。
例えば、家族がゾンビになってしまった先生がに、「そんなことあたし達には関係ない。殺しますから」と言い放つ無慈悲さ。

例えば、どうして世界がゾンビだらけになってしまったのか?を説明するDJマーロンに、「話が長い。別に興味ない」と言ってのける傍若無人さ…。

まるで、制作側の「どう?女子高生ってこんなもんでしょ。よく分かってるでしょ」と言わんばかりの姿勢が見えてくるようです。

しかし、元女子高生だった自分からすれば、そうした作り手のドヤ顔に寒気を感じます。
マンガのキャラクターじゃないんだからさ…という感じですよね。
女子高生でも、さすがに世界の終わりの危機感はもっとあるだろうと思います。
マーロンの話も、普通に聞くでしょう。

また、先生の件や、三話の子供のゾンビの話では、女の子はもっと感情移入するだろうな、と思います。
特に母子の事は、お母さんを思い出したり、娘に感情移入したりするんじゃないでしょうか。

ドライに描けば、若者らしくなると思っているかもしれませんが、逆にそれが寒いですよね。
高校生くらいの子は、そんなにドライになれないのがリアルだと思うんですよ。

マンガだったら、まあ許容範囲なのかもしれませんが、これはドラマなんで、人間に関してはちゃんと考えた方がいいと思うんですよね。
もっと個々のキャラクターを掘り下げて、人物設定した方が良かったと思います。

大体、女子高生というか、女というものをきちんと描けていない印象です。
女同士でそっと目配せし合う陰湿さや、含み笑いで腹の底を見せないような強かさこそが、ある意味女性らしさだと思うんですよね。
特に思春期の女子高生の放つ、そうした刃物のような雰囲気が、全く再現されていないと思いました。

全編ほんわかした雰囲気なら分かりますが、百花を「ハブ」にするような、人間関係のごちゃごちゃをストーリー入れ込むなら、ちゃんとやった方が良かったと思います。

同じくテレビ東京のドラマだと、「リミット」なんかがリアルな女子高生の世界のように見えました。
あれはあれで、いじめのシーンが結構辛いんですが、女の子の生態として納得のいくリアリティーがありました。
あのような作品を参考にしてほしいですね。

男性の脚本家でも、宮藤官九郎さんなど、女性を本当に女性らしく描ける人もいるんですけどね…。

申し訳ないですが、女をマンガでしか学んでいないような人が作っているように見えました。

この主人公好き?キャラクターが立っていない印象


また、キャストは全体的に演技力に欠けており、画面に集中できなかったことも、イマイチな印象になってしまった原因だと思います。

特に主演の大和田南那さんは、表情も固く、セリフにも抑揚がなく、「なぜ主演に抜擢されたのか?」と疑問に思いました。

そもそもこの主人公が、皆のアイドル的な存在になっていますが、それもしっくりこなかったです。
同姓に好かれるタイプの子ではないですよね。

初回で鍋島先生を逃がしてしまう仕事のできなさや、自己紹介でアイドルの真似事をしてしまうあざとさ…。確実に女の嫌う女だと思うのですが…。

そうした所も、「女心が分からないんだな」という印象に繋がっていると思います。

こうした全体的な雰囲気の興ざめ感が、作品のミステリーだったり青春だったりというテーマにも水を差す結果となっているのではないでしょうか。

もっと感情移入できるようなキャラクター造形ができていれば、作品の印象はずっと違ったのではないかな、と思いました。

あなたも感想を書いてみませんか?
レビューンは、作品についての理解を深めることをコンセプトとしたレビューサイトです。
コンテンツをもっと楽しむための考察レビューを書けるレビュアーを大歓迎しています。
会員登録して感想を書く(無料)

関連するタグ

セーラーゾンビを観た人はこんなドラマも観ています

セーラーゾンビが好きな人におすすめのドラマ

ページの先頭へ