刑事であり、仮面ライダーでもある
えっ!車なのっ?
平成ライダーも既に16作目。そろそろ飽きてくるのかな?と思ったらまさかの車。これは驚きました。初代仮面ライダーからというもの、仮面ライダーといえばバイクというのが定番です。ある意味、もう1人の主役と言っても良いのだと思います。そのバイクを止めて車にするというのは、かなり思い切った決断だと思います。製作者側が意識したのは、かつて大人気だった海外ドラマ『ナイトライダー』らしく、確かにしゃべる車とのバディという所は全く同じです。そして、もう一つ今までのライダーと違うのは、仮面ライダーが刑事だという事です。確かに刑事がライダーになる事はありましたが、主役が刑事というのは初めてです。このありそうでなかった設定はかなり斬新で、ドラマとしての見応えもありました。また、『重加速』や『どんより』という表現は独特で、視聴者を引き寄せるには充分でした。ただ、進ノ介達の私生活のシーンがあまりなかった事が残念です。刑事で仮面ライダーといえども人間です。彼らが普段どんな生活をしているかが見える事で、よりリアルになるんじゃないのかな?唯一私生活が見えたのはオタクの究ちゃんぐらいかもしれません。
刑事ドラマにも負けない
泊進ノ介は、ある雨の日に不思議な現象と遭遇します。降り落ちる雨がスローモーションとなり、自分の動きすらゆっくりになっていきます。そのせいで手元が狂い、同僚で友人の早瀬明に重傷を負わせてしまいます。それが、進ノ介の心にどれほどの傷を残してしまったんでしょうか。自分のせいで誰かを傷つけてしまうなんて、正義感の強い彼にとっては耐えられなかった事でしょう。怪現象を専門に捜査する「特状課」に配属された彼は、刑事としての意欲も失い、ただダラダラと過ごしていました。そんな時に、人類滅亡を企てる人工生命体であるロイミュードに遭遇します。絶体絶命の危機に陥った時、どこからともなく一台の真紅の車が進ノ介の前に現れます。そして、しゃべるベルトを巻きつけた進ノ介は、仮面ライダードライブへと変身するのです。と、ここまではよくありがちなストーリーなのですが、この『仮面ライダードライブ』の魅力はそれだけではありません。進ノ介が配属された「特状課」の何て個性的なメンバー。私はこの「特状課」のシーンが大好きでした。進ノ介の良き理解者でお茶目な本願寺課長。彼が「仮面ライダー純」に変身した時は本当に驚きました。そして、昭和の刑事ドラマを思い起こさせる現さん。こういう刑事さんが出てくるドラマってかなり減りましたよね。そんな彼ともしかしたら恋仲になっているかもしれないりんなさん。あのハイテンションと「どんより」など変わった言葉のチョイスはさすがです。そして、一番気になったのは究ちゃんです。彼は一体どういう経緯で「特状課」に来たのでしょう?彼の存在が一番気になりました。そして、本作のヒロインでもある霧子さん。時々笑顔になるのが可愛らしくて、彼女が進ノ介とチェイサーどちらを選ぶのがドキドキしました。ロイミュードとの戦いももちろん面白かったのですが、「特状課」のまるで家族のようなアットホーム感が大好きでした。そして、剛とチェイサーの友情も涙が止まりませんでした。剛と友人関係になりたかったチェイサーと、彼がロイミュードだからその気持ちを受け入れられなかった剛。チェイサーが倒れた時に、剛が泣き叫んだ姿に彼も本当はチェイサーを受け入れていたのだと分かりました。そして、最後の決戦。霧子と剛の父親である蛮野はベルトさんと同じように意識だけの存在となり襲いかかって来ます。何度も傷付きながら立ち上がり、ドライブは蛮野を倒します。全てが終わった後、ベルトさんは進ノ介に別れを告げました。不思議ですね。ベルトさんはもう人の形をしてはいないのに、何だか彼が一番人間らしく見えて来ました。例え意識だけの存在となっても正義を貫こうとしたベルトさんは最高に格好良かったです。そして、離れてしまっても進ノ介にとってベルトさんは永遠のパートナーなんだと思います。
まさかこんなに人気者となるなんて
仮面ライダーの魅力はストーリーもさる事ながら、誰が主役を演じるかですよね?平成ライダーとなってからというもの『クウガ』のオダギリジョーさん。『電王』の佐藤健さん。『W』の菅田将暉さんと今や大活躍の俳優さんの登竜門となっています。そして、この『ドライブ』に抜擢された竹内涼真さんはデビューして間もないとは思えない程高い演技力でした。友人に重傷を負わせてしまった後悔や、ロイミュードとの戦いで見せる正義感あふれる表情。ベルトさんとのまるでコントのようなやり取り。その中でも、霧子に見せる表情がとても好きです。そんないろいろな表情を巧みに演じ分けていた竹内さんが、現在大活躍されているのは納得です。これからもこんな風に仮面ライダーシリーズに選ばれる俳優さんが大成されると嬉しいです。
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