何でも実写化すれば良いというものではない - 怪物くんの感想

そもそも無理なんです

『怪物くん』は、小さい頃にアニメで見ていました。だから、テレビドラマになると聞いて楽しみにしていたのですが、「え？嵐の大野くんがするの？」という驚きが強かったです。だって、怪物くんですよ？外見だけなら小学生。いや、幼稚園児でも良いぐらいのスタイルに金色の髪に大きな目と耳。あきらかに無理があります。予告などでそのヴィジュアルを見ても、とてもではありませんが怪物くんには見えませんでした。そして、放送当日。思った通り、そこには私の記憶の中の怪物くんとは似てもにつかない怪物くんが居ました。もちろん、あのままソックリにしてくれとは言いません。でも、でも少なくとも子役を使って下さいよ。ましてや衣装はアニメそのままで、それが更に違和感を醸し出していました。やっぱり、大人があのスタイルをすると単なるコスプレです。ヒロシ役で出演していた濱田龍臣くんの方が余程怪物くんらしいです。他のキャラクターはかなりイメージに近かったです。ドラキュラ役の八嶋智人さんはそのどこかプライドが高そうは所が良かったし、フランケンのチェ.ホンマンさんは立っているだけでまさにフランケンです。でも、一番イメージにピッタリだったのはオオカミ男役の上島竜平さんです。怪物くんにいつも振り回されている所や、お人好しな所は瓜二つです。それに、もう一つ残念なのは怪物大王です。アニメでは本当に怪物だったのに、ドラマになった途端にただの豪華な王様になってしまったのです。あの姿がどんな風にドラマに出るのか楽しみにしてたのにな。だって、昔ならまだしも今はCGという便利な物がある時代ですから、怪物大王を作る事は可能なはずです。それでいて声が鹿賀丈史さんだったらこんな豪華な事はなかったでしょう。それに、嵐が歌う主題歌も全くと言って良い程『怪物くん』とはかけ離れていました。確かにモンスターという歌詞が入っては居ますが、どう聴いても単なるオシャレなラブストーリーのようです。挿入歌だけアニメの曲が使われていたのがせめてもの救いでした。この曲が主題歌だったら良かったなと思います。

変えちゃダメ

それに、内容もアニメとはかなり変わっていますよね？アニメの怪物くんはワガママでオレ様で、いつもいつも手下を困らせてばかり居るのですが、あそこまでワガママではありません。人間界で初めて出会ったヒロシとウタコをとても大切にしていたし、いつも正義の為に戦っていました。それなのに、ドラマバージョンではヒロシ達に対してもそんなに友情は感じていなかったし、人間界を守ろうという気持ちも最初は全くありませんでした。回を重ねる毎に、ウタコやヒロシに友情は感じていたみたいですが、もっと早く感じて欲しかったです。それに、ドラキュラだってアニメでは人の血が吸えない代わりにトマトジュースを飲んでいるんです。なのに、ドラマでは好物となっています。どこの世界に、血よりもトマトジュースが好きだなんて言うドラキュラが居るのでしょう。怪物くんのお守の為に大好きな血液を我慢しているのがドラキュラの良い所なのに、その場面がなかったのは残念です。それに、一番楽しみにしていた怪子ちゃんがあまり出てこなかったのが残念です。彼女の、怪物くんに対する一途な気持ちと、怒りが爆発すると短い髪が伸びて、あらゆる物を振り回すと言うあのシーンもアニメだったらどうなるのか見て見たかったです。唯一良い意味で裏切られたのがデモキンとデモリーナです。怪物くんに対してかなりシリアスだったし、まさか最後には純愛ストーリーになるとは思ってもいませんでした。正直、全く期待していなかったキャラだけに驚きです。そして、最終回も私が知っているアニメバージョンとは異なりました。せめて最終回ぐらいはアニメバージョンと同じにして欲しかったな。ドラマの内容自体は当初のイメージよりは面白く感じられたけれど、最終回があまりにも呆気なくてガッカリしました。話しの割りには回数も少ない気がするし、製作者サイドが視聴者に対してどんなメッセージを伝えたかったのかも分かりませんでした。

原作頼み？

どうして、日本テレビさんの土曜日9時(現在は10時)のドラマというと原作ありきなのでしょう？他局でももちろん原作ものは多いですが、日本テレビさんは特に多いイメージがあります。原作があるから駄目という訳ではありませんが、何と無く制作者側が楽をしているような気がするのです。そして、どの作品も大抵不発です。唯一成功したと言えるのは、KinKi Kidsの堂本剛さんが出演されていた『金田一少年の事件簿』だけではないでしょうか？時には、若い脚本家の方が書かれたようなオリジナルストーリーが見たいな。原作を知っているとどうしても比べてしまうからです。何の先入観もなく、ただ純粋にドラマを見てみたいと思います。