続編なのに、何か違う - 信長のシェフ 第2シリーズの感想

前作は良かった

『Part1』が深夜枠だったのに対して、今回はゴールデンタイム昇格という事で楽しみにしていたのですが、結果としては深夜で良かったのに。という感じです。普通、続編というともっと盛り上がる筈なのですが、なぜか今回は全く盛り上がりませんでした。キャストの変更があった訳でもないし、新しいキャラクターも登場したのになぜでしょう？そもそも設定自体無理があるんです。私は原作は見ていないので、どこら辺が原作と違うのか全く分からないのですが、そもそもなぜケンがタイムスリップしてしまったのかの描写が簡単過ぎるし、記憶喪失なのに歴史や料理の知識、果ては応急処置の方法まで知っているなんて、それって本当に記憶喪失なんでしょうか？それに、料理人ばかりタイムスリップするなんてあり得ません。せっかく『Part2』を作るなら、そういった箇所の補足も欲しかったです。それに、メインキャラクターばかりがクローズアップされていて、そこも残念です。前回は出番の多かったくノ一の楓や、のちの秀吉となる木下藤吉郎の扱いも雑だし、そして歴史上かなり重要な森蘭丸が前回も今回もほとんど出て来ません。続編を作るなら、少なくても前作を上回る必要があると思うんです。それに、前回が深夜枠という事は、この『Part2』が初見の人も居ると思うんです。出来れば、冒頭シーンでもっと丁寧に説明して欲しかったな。

キャストは考えよう

これは、『信長のシェフ』に限らずですが、もう少しキャストは考えた方が良いと思います。ケンを演じている玉森さんですが、かなり若いですよね？現代の世界でそこそこベテランのシェフがあんな若い外見ってどうなんでしょう？失礼ですが、玉森さんの外見だとまだ高校生みたいで何だか説得力に欠けてしまいます。夏役の志田未来さんも、男装しているという設定なのにどこから見ても普通の女の子です。どうして楓以外の屋敷の人々は気付かないんだと思ってしまう程です。それに、瑤子役の香椎由宇さんの年齢を考えると、ケンの恋人というよりお姉さんです。そういったバランスを考えて配役を考えないと、違和感が残ります。確かに人気がある俳優さん達の起用は必要なんでしょうけれど、視聴者にとって一番大切なのは、そのキャラクターのイメージをいかに壊さないかです。明智光秀役に稲垣吾郎さんが選ばれたのも、森蘭丸役がジャニーズjrの方が選ばれたのも玉森さんが主演だからでは？と、思ってしまうのです。せっかく織田信長役の及川光博さんと顕如役の市川猿之助さんは完璧なのだから、他のキャストの方ももう少し考えて欲しかったな。

タイトルで決まる

『信長のシェフ』というタイトルはかなりインパクトがありました。ドラマを見るキッカケになったのもこのタイトルに惹かれたからです。ですが、サブタイトルも大切なのです。前回のサブタイトルには、テリヤキやチョコなどの単語が並べられ興味をそそられたのですが、今回ではそういったサブタイトルが少なかった気がします。サブタイトルが地味だと、それだけで見る気が失せてしまいます。ゴールデンタイムだからあえて無難なタイトルにしたのかもしれませんが、出来ればサブタイトルだけでは内容がハッキリ分からないようなインパクトのあるサブタイトルを期待したいです。それに、全体的にBGMも少ないですよね？『相棒』のようにBGMを聞くだけで、どんなシーンなのかが分かる作品だってあるのです。良い脚本や良い演出も大切だとは思うのですが、それと同時にサブタイトルやBGMも大切なのです。これらが全て融合してこそ本来の魅力が伝わるのではないでしょうか？今回のpart2の制作は、とりあえず人気作だから続編を作ろうかという感じがするのです。その為に、全てが中途半端な気がして残念です。それに、一番ハッキリしないのは最終回です。ケンはせっかく現代へと帰る方法を見つけるのに、結局は瑤子だけを帰し、夏の元へと戻って来ました。そして、そんな瑤子もまた戦国時代に残ります。それは、やっぱりケンの事を愛していたからなのでしょうか？それとも、彼女には何か大きな野望があるからなのでしょうか？一人でフラフラと町中を歩いて行く彼女からは想像も出来ません。で終わり？ちょっと待ってくださいつ。ここまできてそれはないんじゃありませんか?もう少し、ケンと夏の関係や瑤子の真意を語らせても良かったんじゃないでしょうか？それに、信長と顕如の決着もうやむやだったので、そこもまたモヤモヤしてしまいます。続編が出来るという事なのかな？と思い待っているのですが、一向にその気配すら感じられません。続編を作るなら作るでちゃんと作って欲しいし、作る気がないならないで、こんな思わせぶりな最終回にしないで欲しいです。せっかくの最終回なのにこれではスッキリしません。この最終回を思い出す度に、どこかモヤモヤ感を感じるのです。