今で言う『百合』ドラマの先駆けかもしれない
当時の高校生は今の子より大人びていたのかも
アリエスというのは牡羊座を意味する。牡羊座は愛のためなら死ぬことさえ喜びという性質を持つという。この物語はそんな牡羊座に生まれた乙女たちのお話なのである。が。
まず、この原作って少女マンガで、当時小学生だった私も友達とその恋愛模様にドキドキしながら読んでたのね。今思えば登場人物はみんな高校生と思えないくらい大人びていて、セリフも難解。よくこれを全部理解できなかったとはいえ小学生が読んでいたなと。よくやったなと我ながら自画自賛したい作品であることは言っておきたい。
『百合』ももう少し描いてくれてもよかったのに
同じアリエスの生まれであるエクボこと久保恵美子、パリ帰りの水穂薫は対照的なタイプの二人だった。おとなしいタイプの恵美子はハッキリとした性格で毅然とした態度を取る薫にあこがれを抱く。という流れがあるのだけど、実はこれは物語のごく最初だけ。この先、二人は同じ人を好きになったりしてそういう関係ではなくなるからだ。
このドラマはどっちかというと薫と後に出てくるミスター大映の松村雄基演じる司とのストーリーが中心になるのだが、それなのに冒頭の学生生活の方がはるかに記憶に残っているのは私だけではないだろう。
それだけ、この恵美子と薫の関係は同性ながらちょっとドキドキさせるところでもあった。惜しむらくは薫役の南野陽子がロングヘア―だったところかなあ。この時だけなんとかショートにしてもう少し見た目に男役と分かりやすい方がよかったのではと改めて思う。薫の佐倉しおりは常に目にクマが出来ていていかにもなおとなしい感じの女の子という雰囲気が出ていてよかったなと。なので、もう少し百合っぽいエピソードを残してくれるともっと後に語られる作品になったのではないかと思う。
メロドラマ的展開で失速するも・・・
学園生活の後に待っていたのは大映ドラマらしいメロドラマ風展開だった。まあそれはもう仕方ないとして、それでも凄かったのは名台詞の嵐。
こんなん普通に誰も言わないだろ、というようなセリフを連発してくれるのだ。あ、あと司の彼女役の相楽ハル子のはすっぱさもよかった。元ヤンを一目で見抜く能力を持つ私に言わせると、相楽ハル子は大映テレビの数多い不良役でも数少ないガチで元ヤンの1人ではなかったかと思うのだが。(もう1人は杉浦幸)
それと、このドラマを印象付けたのは柏原よしえの歌うテーマソングでもあっただろう。だって、今でもアリエスと聴くとつい♪アリエッス~と歌ってしまうからな。
- あなたも感想を書いてみませんか?
- レビューンは、作品についての理解を深めることをコンセプトとしたレビューサイトです。
コンテンツをもっと楽しむための考察レビューを書けるレビュアーを大歓迎しています。 - 会員登録して感想を書く(無料)