過去最多のグロゲームは尻切れトンボ - ソウ ザ・ファイナル 3Dの感想

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過去最多のグロゲームは尻切れトンボ

4.04.0
映像
3.5
脚本
3.5
キャスト
4.0
音楽
4.5
演出
3.5

目次

はじめに出てこなくてもよかった

まずね、このシリーズ、謎めいているのがよかったんだよ。それが、どうしたの?最初からゴードン先生が生きてるってことで出てきちゃって…おーいどうする。ネタバレだよ完全に。もうホフマンとかどうでもいいわ正直。

今作は超絶人気のあったソウの最終作。末期の脳腫瘍患者であるジョンがジグソウとして数々のゲームを仕掛けてきたことがわかっている。彼は、自分の命が残り少ないと知り、命を粗末にする人間・平気で悪事を働く人間にゲームを仕掛け、死に追いやってきた。ここまでくると、もはやジョンがかわいそうな人だとも思えないのだが、ジョンはこの先も悪いことをする奴らを懲らしめてくれる、ジグソウの後継者を探していた。ってことでホフマン刑事がいちおう後継者になるんだが、ジョンの妻であるジルはそれを許せなかった。だってホフマンさん、私利私欲なんだもの…。後からわかることだが、結局はホフマンさんもジョンたちの手の上で転がされていたわけだ。

男女の三角関係にまで手を出しているのは、すでにジョンとジルのゲームの方向性からはかなりずれているんだよね。男2人が協力して女のほうが死ぬのを選んだのは笑っちゃったし、確かにおもしろかった。でもおもしろかっただけで、深みのないゲームだったなーと思う。自分はジグソウからの生還者だと嘘をつき、多額の金を得たボビーは狙われて当然。ジグソウ本人が警告に現れたことからも、ボビーは間違いなくゴードン先生に殺されたのだ。

ホフマンさんにそんな時間ない

たぶんだけど、ホフマンさんがやりたかったのはギブソンとジルへの復讐で、完全に私利私欲。ジルは自分に拷問用具のトラばさみを取りつけやがった相手だし、ギブソンは自分を内部告発した相手だ。ボビーを殺したのはホフマンさんってわけじゃないと思うんだけどどうだろう。ホフマンさんによる犯行と、ゴードン先生による犯行が同時進行で行われていた、という解釈がいいんじゃないかなと思っている。

それでもなお、ちょっとつじつまが合わないなーと思うのが、ホフマンさんにそんな時間はあったのか?という謎。彼はジルが警察に保護されていると知って、さらに拘置所にかくまわれていることを知った。そのうえで、彼はギブソンをおびき出す策に出る。4人の人種差別者を生贄に、ギブソンを連れ出すことに成功したのだ。そこまでの時間があったんだろうか?わかってからソッコーで4人の男女をセッティングしたことになる。ホフマンさんは、ジルとギブソンへの復讐のためにジグソウを利用している人なので、ジルのことを突き止めてから行動したはずだから、相当忙しかったと思うね…。

そしてその犯行すらも監視していたのがゴードン先生。まさかホフマンさんもゴードン先生が生きてるなんて思いもよらないし、相手はジョンの妻のジルだけだと思っていただろうから、びっくりしただろうな。しかし、ホフマンさんを拉致ったときにゴードン先生に協力した2人って…いったい誰。日雇い労働者?今までの生存者?一人ですべての計画と犯行を行っているわけじゃなさそうだよね。協力者がいる時点で。その点、たぶん全部一人でやったであろうホフマンさんはすごいかも。

新キャラのギブソンかわいそう

今作で登場することになったギブソン刑事。チャド・ドネラさんっていう俳優さんらしいが、なかなか良いキャラだったなーと思っている。彼には生きてもらいたかったなー。ジグソウの核心に迫ったように見えて、実はホフマンさんに近づいただけ。そして最終的に利用されて殺されてしまう。ついでにかくまっていたはずのジルも死んでしまった。かわいそうなちょい役に終わってしまったね…。

最終的にジグソウから生き延びたのは、ゴードン先生、ブラッドとライアン、そしてなんとボビーということになった。ブラッドとライアンは協力して恋人を殺したことになり、今後のつながりは大変強固なものになるだろう。ボビーは自分が嘘をついたことで6人もの人の命が失われることになり、そしてそれには愛する妻も含まれていて、その人たちの死を自分の目の前で見たことで、本当のジグソウの生存者になった。彼はもう本なんて書けないだろう。自分の嘘のせいで多くの人を殺す羽目になったんだから。これがジョンたちジグソウからの罰なんだと思う。死ぬよりもずっと苦しい痛みと悲しみを与えたことがボビーへの罰。これからボビーは自殺するのかな?本に自分で書いたみたいに、命を大切にする人間に生まれ変わるだろうか?どっちにしろ、彼がまた表舞台に立つというのなら本当の強者。今度は嘘じゃないもんね。ジグソウのゲームから生き延びたというより、生かされた彼は何をするだろうか…教えてほしかった。

ジョンとジル

あと少しで死ぬと分かったジョン、そしてその妻であるジル。狂信者的な殺人を繰り返すことになったジョンだが、ジルはそれを止めることはできなくて…悲しかったな…自分の死が目前に近づいた時、命を粗末にする人間が憎くてたまらなくなるってのは正しいかもしれない。命の大切さをわからせるというよりも、死への恐怖を味わせるというか。やり方がすげーよね。これはホラーパニック映画の枠だろうし、ジョンの心情を深く考えていくような映画ではないってわかっているが、人間、自分の命が少ないとわかったときに、どんな行動に出るのかなーということは考えちゃうよね。そして、それを近くで見ているジルが、協力してしまうせつなさとか…がっつり手伝ってるわけじゃなく、気づいている、と表現したほうが正しいかも。夫の行動を肯定してしまう人の脆さみたいなものを感じるね。

自分の足をノコギリで切断して生き延びたゴードン先生を、ジョンは自分の後継者にふさわしいと考えた。自分でつかまえといてそうなっちゃうのはおかしいが、ゴードン先生は生き延びたことで、価値観がガラリと変わってしまったらしい。ただね、死んだってことにしなきゃならなかっただろうから、義足を取り付けたのはジョン本人なんだろうと思っているんだけど…普通に考えて無理だろって思うのは自分だけだろうか。

ゴードン先生これからどうするの

ホフマンさんを、自分が閉じ込められたあの思い出の巨大浴室に閉じ込めたゴードン先生。これからホフマンさんはどうやって死んでいくのか、すごい気になっている。そしてゴードン先生はこれからもずっとジグソウをやるの?ジルもいないし、ジョンもいない。彼の仕事はもう終わりかもしれない。あー気になる。全部の事件の裏側をまとめた作品集でも出ないのかな…ただ、もうソウのシリーズは続いていかない…よね?

このファイナルでは、今までで一番ゲームの数が多かった。ファイナルだからってこんなに詰め込んでしまったの?1つ1つのゲームの重みがずいぶんと軽かった気がする。それこそ、緊迫感がずっと続く恐怖ではなくて、何度も繰り返されるパターンだったため、死を目の前にしたときの人間の狂い方とかは、前作までのほうが厚みがあったような気もする。ここまで7作も出ちゃってるから、もう続けるのが大変だったのかもしれない。

パニックホラーでかなりの人気になったソウ。タイトルが秀逸だなーといつも思う。のこぎり、「見る」という単語の過去形saw、ジグソウ、外科医、そして立場の逆転…シリーズの全部が詰め込まれているのがソウである。

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