乙女の夢を詰め込んだ正しく禁断のアニメ - BROTHERS CONFLICT(ブラザーズ コンフリクト)の感想

ずばりテーマは禁断の恋愛！？

このBROTHERS CONFLICT(ブラザーズ コンフリクト)というアニメは漫画やゲーム、ドラマＣＤなど多くメディアミックスされている作品です。大まかなあらすじとしては、主人公の絵麻ちゃんが父親の再婚によってペットのリスとともに13人のイケメンな男兄弟と同居し、そこからその兄弟と恋愛に発展していったりしなかったり、兄弟が絵麻ちゃんをめぐって衝突したり・・・という、いわば女性版シスタープリンセスのようなお話です。

義理とはいえ兄弟との恋愛、しかも逆ハーレム状態なので複数の兄弟から思いを寄せられてしまったりと、おおよそ一般的な恋愛の形としてはタブーとされる要素がてんこ盛りですが、現実ではありえない設定、してはいけない展開だからこそ、ついつい気になってみてしまう、そんなアニメです。

とにかく設定がすごい

上記で現実ではありえない展開、と書きましたが、主人公の絵麻ちゃん含め、登場人物たちの設定がすごいのです。いい意味でぶっ飛んでいるといっていいでしょう。

まず、主人公の朝日奈 絵麻（あさひな えま）ちゃん。東京の飯田橋にある「都立陽出（ひので）高校」に通う女子高生・・・と見せかけて、漫画では対戦している棗の機体の膝関節をピンポイント撃破、アルバイトで新作ゲームのデバッガーを引き受けた際は開発者の予期せぬバグを見つけるなど、ゲーム会社に勤める棗が認めるほどの恐ろしいゲーマー。しかも冒険家の父親（！？）がいるため、料理が得意でオタク臭さ０パーセント。ペットのリスとは何故か交信できる。しかも実は父親も義理の父親で、実の両親とは死別している。こんなトンデモ女子高生ヒロインにして大丈夫！？共感できます？と思えるほど設定もりもり。設定だけ見ると、兄弟たちよりも主人公の方が設定盛っているような気がしますが、これぐらい引っ掛かりがないと13人もの兄弟をおとせるわけがないんですね。

お相手の朝比奈家の兄弟たちもまたすごい。医者に弁護士、ホスト風僧侶に女装家の小説家、三つ子の声優二人とサラリーマン、カリスマ美容師にプロバスケットボール選手、ミッション系高校の王子様的存在にやんちゃ系同級生、現役アイドルに甘えん坊な10歳児（！？）とより取り見取りというか、よくもここまで詰め込んだと拍手したいほどの顔ぶればかり。しかも母親が社長でお金持ちで、部屋という概念がマンションの一室であるとか、中々にトンでいる。

この設定もりもり兄弟と恋愛するためにはパンチの弱い主人公では物足りない。故に平凡系ヒロインが流行している最中、13人の兄弟のそれぞれにどこかで引っ掛かりができるスーパーヒロインが誕生したのでしょう。

なんでこんなに設定濃いの？

この見出しは私が一番最初に視聴したときに感じた感想です。家族との恋愛、というタブーをテーマにした作品ながら、そのテーマが吹っ飛ぶほどのキャラクターたちの設定過多さ。しかし、その設定を生かし切れているのかというと、これまたアニメでは微妙になってきます。（誰か一人の個別ルートではないので致し方ない部分はありますが）

13人もいるのだから、キャラ立ちは必要ですが、それにしたって方向性が・・・と思っていましたが、それぞれのキャラクターの個性を考えたら見えてきました。

そう、世の中の女性向けとされるものの需要を詰め込んだからこうなったのだと・・・！

実は兄弟での恋愛というものを取り扱った作品というのは意外に多く、有名どころでいえば「僕は妹に恋をする」などがあります。義理の兄弟は主人公のように完全に血縁関係にない場合において結婚が認められることもあり、タブーでありながらハッピーエンドを迎えられる人気のあるテーマなのです。（上級者になるとメリーバットエンドでも構わないと実の兄弟でもＯＫになるようです。）

兄弟の職業、設定も昨今の女性向けの中で人気なものばかり。医者や弁護士、高収入のサラリーマンというのは地位のある男性の象徴でもあり、ハーレクインロマンスやレディースコミックによくよく登場することから考えても一定以上の需要はあります。聖職者やホスト（この場合は兼業ですが）、アイドルはに関しては「神さまと恋ゴコロ」「ラストエスコート」「歌のプリンスさま」などそれだけをテーマに扱った乙女ゲームが出るほどですし、女性的なイケメンや王子様系や同級生は鉄板ネタ、プロバスケットボール選手は「黒子のバスケ」が流行っていたこともあってつられる女性は多かったはずです。しかもダメ押しのようにここ最近確実にオタク女子の中で多くを占める存在になっている声優ファンに向けたかのような声優（しかも三つ子！！）にショタコンホイホイな10歳児、世間的に人気になりつつある毒のある女装家なんて、とにかく世の中の需要を集めてみたといっても過言ではありません。

人気のあるテーマに、人気のある設定のキャラクターをぶち込んだ、いわば需要の爆弾がこのBROTHERS CONFLICT(ブラザーズ コンフリクト)というアニメなのです。つまり、誰しもが一つくらい、自分の萌える属性を見つけられるアニメなのではないでしょうか。ストーリーとしては設定が気になってしまってあまり高評価とは言えませんが、キャラ萌えという視点においては、十分に楽しめるアニメであると思います。