King of 惰性! 作者の才能が枯渇した総決算作品 - UQ HOLDER!の感想

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UQ HOLDER!

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King of 惰性! 作者の才能が枯渇した総決算作品

1.51.5
画力
5.0
ストーリー
1.5
キャラクター
3.5
設定
1.0
演出
1.0

目次

「まだネギまを連載していたんだ」と言われる作品

UQ HOLDER!というタイトルがついているものの、往年の週刊少年マガジン読者やアニメファンからは「まだネギま!を連載していたんだ~」と呼ばれる作品です。

前作の『魔法先生ネギま! 』が大ヒットした赤松健先生ですが、今回の作品で目立つのは才能の枯渇ですね。

画力だけは圧倒的にクオリティーが高く、登場人物の動きや表情、背景や小物にいたるまでいわゆる「赤松クオリティ」に圧巻されます。が、褒める点はそれだけです。

キャラクターは『魔法先生ネギま!』当時からの使いまわしも多く、この点にいたってはストーリー上仕方なく、目を瞑るしかないのかと思います。週刊少年マガジンで連載中は「UQ HOLDER!」というタイトルですが、現在は「UQ HOLDER! ~魔法先生ネギま!2~」と、いつの間にか「魔法先生ネギま!2」とネギま!の名前がタイトルに入っちゃいましたから。連載当初はネギま!と関係はあるけれど別作品と話していたのに、いつのまにか2ですよ。結局はネギま!ブランドに今でも頼るしかないのかなと一読者として思いました。

近衛刀太の印象が薄すぎて主人公感がない

作者曰く、UQ HOLDER! はネギま!の世界観からの続編で、目安だけど単行本は合計100冊程度で全謎を明かして行く連載スタイルとなるそうです。

まずこの時点で、だいぶ読者は取り残されていますからね。赤松先生の考えている事と読者の間に、ずいぶんと差異が生じていますから。というのも、UQ HOLDER!主人公の近衛刀太(以下、刀太)は影が薄いんですよ。ネギま!シリーズにも登場していた雪姫と刀太の出会いから成長、そしてネギま!シリーズでは主人公だった故人・ネギ・スプリングフィールド(以下、ネギ先生)や当時のクラスメイトとここまで書いただけでも風呂敷を広げすぎ!

熱狂的な赤松作品ファンでなければ、こんなキャラクター前作に出演していたっけ?どうだったかな?なんて覚えていないレベルで登場します。

連載開始当初は、刀太を主軸にした少年の成長ストーリーだったものの、UQ HOLDERの不死身衆(ナンバーズ)が登場。さらに敵対する面々が元ネギ先生のクラスメイトだったりと、読者がおいてけぼりになる展開が続いているんですよね。

風呂敷を広げすぎる前は、刀太の周りには同世代の友達もいて、楽しそうな青春ものの要素もありました。ですが今はラブコメディーなのかSF作品なのか、はたまた過去作の一部リバイバルなのかと思わせるような「この漫画は一体何がしたいんだ?!」と言いたくなる展開が続いていますね。

ネギま!人気が高かっただけに、新作であるはずのUQ HOLDER! でも刀太そっちのけでネギま!当時の話が続いています。UQ HOLDER! から赤松作品を読み始めた層にとっては、なかなかと作品を補完するのに時間がかかる展開かと思います。

初見さま一見さまお断り状態からの脱却希望!

赤松先生の画力以外、褒めるところが本当にないんです。キャラクターも魅力的だし、ネギま!時代からのラッキースケベも健在。世界観や魅せる演出は素敵なのに、どうしてこんなにも注目を集めずに人気が出ない作品なのか。

考えた結果、今のUQ HOLDER! は「初見さま、一見さまはお断り状態」で連載が続いているんですよね。

前作の魔法先生ネギま!を全て補完しようとすると、単行本で全38巻。話数にして全355話を読む必要があります。ネギま!当時からヒロイン数は多いですし、世界観や敵キャラの個性まで全てを補おうとすると、結構な日数が必要になります。

……今の赤松作品に、全355話を振り返ってストーリーやキャラクターの関係性を補完するほどの魅力がありますか?

どうしても「前後関係が気になる人は前作のネギま!を読んでね!」という作者のスタンスが見え隠れしているせいか、UQ HOLDER! からは初見の読者や一見さまはお断り状態のように思えてしまいます。

「A・Iが止まらない!」・「ラブひな」・「魔法先生ネギま!」と立て続けに美少女が登場するジャンルでヒットメーカーとなった赤松先生。ネギま!の世界観が続く新連載と聞いて胸を高鳴らせていた読者の期待を、悪い意味で裏切ったのがUQ HOLDER! と思います。

UQ HOLDER!を読んでいても、ネギま!の時と比較すると、刀太が何をしたいのか軸がブレブレなんですよね。1話でも読み逃してしまうと、話を追っかけるのが大変になります。読むのがしんどいです。

ゲームに例えると、有名ギルドに所属した刀太がひたすら任務をこなすだけ。その間にちょこっとラッキースケベ要素があったり、過去作に出演したキャラクターについて言及があるだけ。それだけの作品なんです。

前作と絡めているから「深い」「謎が多い」という意見も確かにあるかと思います。それでも前作をあまり知らなかったり読んでいない層でもついて行ける、それこそネギま!のような「誰でも楽しめるちょっぴりエッチな少年漫画」を描くことはもう出来ないのでしょうか。

全盛期の赤松作品のファンだけに、UQ HOLDER!ではなくいっそ完全新作が読みたいと思えるほど、UQ HOLDER!は赤松作品のなかでも惰性作品と思います。

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