奥羽の戦士たちよ永遠に・・・『銀牙伝説ウィード』 - 銀牙伝説ウィードの感想

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銀牙伝説ウィード

4.004.00
画力
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ストーリー
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キャラクター
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設定
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演出
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奥羽の戦士たちよ永遠に・・・『銀牙伝説ウィード』

4.04.0
画力
5.0
ストーリー
4.0
キャラクター
3.0
設定
5.0
演出
4.0

目次

犬族、最強の戦士たちが帰ってきた!

1980年代の黄金時代ともいわれた週刊少年漫画誌において、大人気を博しTVアニメ化もされた作品のひとつが前作『銀牙 -流れ星 銀-』です。その続編として十数年ぶりに描かれ、シリーズを重ねながらロングヒットを続けているのが本作となります。

人気シリーズの正式な続編として何よりも嬉しいのが、前作に登場していた数々の魅力あふれるキャラクターたちが(といっても本作の場合は当然、犬たちなのですが)続々と再登場してくることにあります。

今回は、そんなキャラクターたちの中から、初代から登場し続けている主要な3戦士をなぞらえながら幾つかの考察を拡げてみたいと思います。

伝説の奥義よ永遠に・・・。

奥羽の二代目総大将である銀。最後の熊犬とも称された伝説の総大将リキの息子として、前作では見事に宿敵である巨熊を倒した若きリーダーも、今やすっかり大人に・・・というかもう老年に入った様子です。

しかし未だその強さは衰えを知らず、窮地の際には老体に鞭打って必殺技である、絶・天狼抜刀牙まで繰り出すほどです。ちなみに、この必殺技ですが、代を重ねてその力が弱まって来たように感じられないでしょうか?

かつての総大将リキの代では、熊を相手にしてもその首を一撃で落とすレーザービームのようなスピードと破壊力を誇っていたが、二代目の銀、その後のウィードへと受け継がれるごとに少しずつ、本来の威力よりは弱まってきた印象を受けます。

やはり元々は、狼族のみに伝わってきたという伝説の技、それを当の狼族の戦士から直接に伝授されたリキはともかく、犬族である父親から、それも死に分かれる前の戦闘中の僅かな合間で教わった銀の技。

そして熊犬(ちなみに、縄文時代からの血族の特徴を色濃く残しているとも言われる犬種らしい)とは異なる犬種である為に亜流として、自分なりにその技の一部を会得していた哲心から、ウィードへと受け継がれていく。

その伝授していく犬種の違いによってなのか、やはり純粋な必殺技としての切れ味は、代を重ねる毎に劣化をたどっているのかも知れません・・・。

受け継がれしは、最強の魂・・・。

当初はライバル的な存在として登場していたシェパード犬のジョン。巨熊との激闘の後は、軍団最強の男として全国にその名を轟かせた猛者である。

若き日々には、ハンターでもある飼い主と共に、世界中の猛獣を相手に狩りを繰り広げてきた。その戦闘力は半端なく強い。そんな彼の最大の見せ場といえば、やはり終焉を迎える地・日本アルプスでの大軍を相手に孤軍奮闘する最後の戦いでしょう。

若き頃は、誰かの為に犠牲になるのはごめんだ、という素振りも多かった彼だが、いつしか仲間たちの為に、その身を犠牲にして戦い続けていくシーンの数々は印象的です。

軍用犬として生まれた犬種の性質なのか、自らの為に力を発揮する時以上に、何かに仕え、誰かの為にその力を使う時にこそ、持てる最強の能力を引き出せるという事なのかも知れません。

この類まれな資質と戦闘力とは、やはり同じ犬種であり、警備犬としての特殊訓練を受けたシェパード犬、ジェロムへと受け継がれていく。そしてジョンと同様に彼も仲間たちの為に、その身を犠牲にした戦いの数々を繰り広げていきます。

一時は互いの正義感などの違いから、仲間たちと袂を分かつ彼ですが、ロシア軍用犬との戦いでは完全復活。軍用訓練を受けた強敵シェパード犬種たちを相手に、互角以上の戦いを繰り広げてみせます。

最強の男の熱き魂と戦闘力は、同犬種のシェパードたちへと脈々と受け継がれていくのでしょう・・・。

耐え忍ぶこそ、忍の道・・・。

伊賀の忍犬・赤目といえば、シリーズを通して登場し続けている、今や残り少ない初代キャラクターの代表格。

類まれな智謀に忍びの術を駆使した戦闘能力の高さは、読者人気と同様に総合力争いにおいてもトップ候補となる戦士に違いありません。

しかし彼の生き様の根源を支えるのは、忍犬としての忠誠心と忍ぶ強さにあります。その為、大将たちに勝るとも劣らない実力を持ちながらも、常に陰にまわり、仲間たちを支え続けていくのです。

その行動は、常に耐え忍ぶ者として苦渋の選択を強いられることになります。

長年にわたり守り続けていた先祖伝来の館を、自ら破棄し新たな盟友たちと行動を共にしたリ、敵軍に囲まれ絶対絶命となった仲間たちを残して、援軍を呼ぶべく彼の地へと伝令に向かうなど。

数多のシーンで、その清らかな白毛に仲間たちの苦難と希望とを背負って、戦場を駆けて行く姿にこそ、忍としての真の矜持をみることが出来るのです。

忍犬の中には哲心を始めとした実力者も既に多く存在しますが、まだまだ赤目はその身に背負った「忍」の文字を降ろすことは無さそうです。

そして戦士たちの魂は永遠に・・・。

犬族としての楽園と平和を守るために、世代を超えて継承されていく戦士たちの魂。

彼らの強き心と力は、ある時は子孫たちに、またある時は同犬種に、そしてまた志を同じくする仲間たちへと、様々な形で受け継がれていくのです。

その熱き戦士たちの魂は、一陣の風となっていつまでも楽園を包み、守り続けていくのでしょう・・・。

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