家事を担うことの重要性を感じるドラマ - 家政婦のミタの感想

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ドラマレビュー数 1,147件

家政婦のミタ

3.673.67
映像
3.33
脚本
3.50
キャスト
3.67
音楽
3.33
演出
3.83
感想数
3
観た人
15

家事を担うことの重要性を感じるドラマ

3.03.0
映像
2.5
脚本
2.5
キャスト
3.5
音楽
2.5
演出
3.0

目次

家政婦の仕事

このドラマの中で、家政婦を演じるのは松島奈々子さんです。彼女は家政婦の仕事として、料理・洗濯・掃除など家事全般を完璧にこなします。その様は、日頃、家事を担う者から見ても全てが理想的であり、マンネリ化しがちな家事に対する刺激を受けます。家事は他の仕事に比べると評価されにくい部分があり、その報酬についても「家政婦」や「家事代行業」のように明確にすることができません。ですが、家事が家族の健康面や精神面に大きな影響を受けるということが、このドラマの中からも察することができます。このドラマは、母親が亡くなってしまったことから、家政婦を雇うというスタートになっています。家政婦であるミタさんは、無表情でまるでロボットのようです。感情を出さず、与えられた仕事をただ黙々とこなすのです。そんなミタさんの仕事は、後に家事だけに限らず、さまざまな仕事へと幅を拡げていきます。お決まりのセリフ「承知致しました」で、言いつけられる仕事を全て引き受けるミタさんは、やがて犯罪にまで及んでしまうのです。

家族について

母親を失った家族には、4人の子供がいます。長女は高校二年生、長男は中学二年生、次男は小学6年生、次女は幼稚園の年長さんです。母親は自殺によって亡くなります。夫が妻に離婚を迫ったことによるものです。父親は同じ会社の女性と不倫関係にありました。たくさんの子供に恵まれたにも関わらず、このような結末があるものかと悲しい気持ちになってしまう人は多いことでしょう。母親の死後、家族は崩壊寸前でした。子供たちは、母親を失ってはじめて家事を担ってくれていた母親の存在の大きさを知ります。父親はこれまで、家族を避けるように生活していました。それでも、日々の家事はたまり、家政婦にその仕事を任せることしかできない父親の姿がありました。働きに出る父親の、家事をこなすことの難しさをこのドラマから多くの人が感じ取ることができます。家事を担っているものにとって、それは少しでも多くの人に知ってもらいたい現実です。

家族関係の転機

家政婦のミタさんが来たことにより、いつも清潔な家、美味しい食事を取り戻した一家ですが、ミタさんの感情には、いつまでたっても変化はなく、母親の代役とまではいきません。そのため、子供たちの甘えたい欲求は叶うことがありませんでした。長い間を一緒に過ごすうち、家族はミタさんに対し「家政婦」としてだけでなく「一人の女性」として愛情を求めるようになっていくのが分かりました。そして、家族を避けるようにしていた父親もミタさんによって次第に変わっていきます。ミタさんは、感情を出さず、ただ黙々と与えられた仕事をこなすだけでしたが、家族にとっては家族関係を修復する役割も担っていたのだと気付かされます。

ドラマの後半には、ミタさんについても少しずつ分かっていきます。彼女はなぜ無表情なのか、どんな過去を背負っているのかなどが分かり、それでも家政婦としてその仕事を全うする理由についても、深く考えさせられるところがありました。彼女は夫と子供を持つ幸せな女性だったのです。ところが、悲しい事故によりその二人を失い、悲しみの中で親族から非難され、一生笑うことを許されないとまで言われたのです。そんな過去を背負って生きているミタさん。過去には幸せな結婚生活があったからこそ、彼女の家政婦としての仕事ぶりが完璧だったのだと知らされます。ミタさんは家政婦という仕事をこなす中で、幸せだった過去に浸りたいようにも見えますが、思い出したくない過去が頭から離れないという苦しみも味わっているのが分かります。家政婦としてミタさんと、一緒に暮らした家族が、なぜ無表情で感情を表さないミタさんの人柄に惹かれていったのか、それは本当のミタさんの人柄がその内側から溢れ出していたからなのではないでしょうか。だとすると、それを見抜いた崩壊寸前だった家族一人一人が持つ良さについても考えさせられます。このように、家族関係が修復されていく中でただ、残念なのは亡くなってしまった母親は戻らないという現実です。母親は自殺によってこの世を去ってしまいますが、改めて「人生はどこで軌道修正できるか分からない」ということや、「自分で自分の命を絶ってしまうという過ち」についても考えさせられます。不倫・離婚といった現実から目を背けたくなるようなでき事は、私たちの周囲でも頻繁に起きています。その事によりお互いがキズ付け合うだけでなく、子供たちや周囲の人に深い傷を残すのです。このドラマの中で、家政婦役として訪れたのがミタさんではなかったら、家族関係は修復することが出来なかったかもしれません。そして、父親は、妻を失い今に至るまでの過程がなければ、父親としての役割から目を背け続けていたかもしれません。このように考えると、一見、遠回りのようでも、遅すぎはしても、人には生きていく中で学ぶべきときがあるのだということを感じます。

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