修羅場？ - 俺の彼女と幼なじみが修羅場すぎるの感想

印象的なタイトルと内容

最近の作品にありがちな文章になっているタイトルの作品は多く、「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」がそんな作品たちの火付け役になったのではないかと思います。

ですが実際に本作ではそんな修羅場といった場面はなく、よくある学園恋愛ものとして描かれている作品の一つであると思います。こういった美少女ハーレム作品では主人公の絶対条件として主人公は恋愛に対して鈍感でなければいけないというのがありますがどの作品にも言えることですがそこまで鈍いのはあり得ないと思う反面、そうでなければ物語として成り立たないというのがかなりもどかしいといったところだと常々似たような作品に出合うたびに思います。ただそういった作品の良いところというのが理想を創作として表現し、その疑似体験ができるということが強みであり、似通った作品が数多くある中でアニメ制作までの人気が出るというのは何か魅力があるということです。

その魅力というのは私は全体的なバランスであると思います。特にキャラクターや背景、凝ったストーリーや声や音響など作品を構成する個々がそれぞれの主張が強すぎず、互いに引き立てあって一つの作品としての調和がとれているということがより作品としての質の高さにつながっているとだと思います。

主人公に思いを寄せる身近な女の子たちが美人が表面上の恋人として主人公を選んだ、ということから関係が急に進展していく様を描いたのが本作であり、実際の現実で起こりうる「修羅場」とは全然違う可愛いものなので安心して視聴ができると思います。

全体的に最初に導入、最後にまとめのエピソードと間に各ヒロインごとの話がだいたい2話ずつとバランスの良い構成となっており、アニメ全編を通して見やすい作品となったと思います。一話ごとのコメディ作品とは違い、個別での視聴では話を理解するのは難しいが、話ごとの展開が緩やかで身構えずに落ち着いて視聴することができたのは好印象でした。

個人的には第9話の愛衣とのエピソードとが一番好きなのですがラストの真涼とのシーンは蛇足だったのではないかと思います。がメインヒロインはやはり真涼と印象づけたいのか作者の意図としては必要なのかなとも思いました。

原作では後半になるにつれより修羅場っぽい場面が増え、見どころも多くなるとおもうので二期の制作に大いに期待したいと思います。

ありふれたラブコメと中二病

本作も例にもれず、原作小説ありきの作品でライトノベルが原作となり、書籍のアニメ化における弊害の影響を受けているといえるでしょう。アニメでは時間という枠がありその作品すべてを表現するのが難しいという点が短所でありますが声優さんたちによる声の吹き替えによる感情や声の表情でキャラクターを表現できるという長所でカバーできるのがアニメ作品の魅力であると私は思います。

特に、恋愛作品については書籍では表現のできない気持ちを伝えるということがより詳細に視聴者に伝えることができるというのが最大の魅力であると思います。それは演技をする声優さんごとに違う魅力があり、本作ではアニメ作品よりも前にドラマCDという形で発表されたのが良い結果となっているのではないでしょうか。そのドラマCDとアニメ版ではキャストが違い、私自身もアニメ化される際に私が好きな声優さんがキャスティングされたということから本作に触れることとなりました。

やはり声の印象によりキャラクターの印象も大きく変わってきて特にメインヒロインである真涼の印象が大きく変わったのには驚きがありましたがそれもまた作品を違った目線から楽しむことができたので結果的には良い試みだったのではと思います。

本作では中二病という中学生くらいのころ特有の恥ずかしい思い出が描かれていますが私自身にも心当たりがあるのでところどころ視聴していてむずがゆくなる点が多くありました。思わず目をそむけたくなるシーンも多く鋭太が駅前で千和を助けるシーンなどは胸が熱くなるのと同時に見ていてなんだか気恥ずかしくなるようなシーンがあり、苦笑いしながら視聴しました。

理想と現実

アニメや漫画などの創作が好きな方には少なからず自身の思い描く理想や妄想などがあると思います。

ですがそれは本作で描かれた「中二病」ではなく、いわば「夢」であると思います。それは決して恥ずかしいことではなく形は違えど、誰もが思い描き、努力し、実現すべく試行錯誤していることだろうと思います。アニメはアニメで現実とは違うと認識しつつもそんな世界があったらいいな、やそんな経験をしてみたいなといったことを創作といった形でアニメや小説、漫画などで表現されており、いわば「夢を創る」文化であると私は作品に触れるたびに強く思います。

最近ではスマートフォンの普及から作品に触れる機会が増え、VR技術の発展により創作をより現実に近いものとしてとらえることができるようになってきました。今後、そのような技術の発展とともにアニメ業界にもどのような影響を与え、さらにその作品たちをより楽しむことができるようになるのかがとても楽しみです。