頭でっかちな世界観と考察のしよう - エイリアン9の感想

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エイリアン9

4.004.00
画力
3.50
ストーリー
3.50
キャラクター
4.00
設定
4.00
演出
3.00
感想数
1
読んだ人
1

頭でっかちな世界観と考察のしよう

4.04.0
画力
3.5
ストーリー
3.5
キャラクター
4.0
設定
4.0
演出
3.0

目次

小学生がなりたくない係 ワースト1 エイリアン対策係

2014年 地球にはエイリアンが侵略してくるようになっていました。

エイリアンにとって人類は侵略対象。当然のように襲ってきます。

そして、なぜか小学校への出現頻度が高い。そのため、小学校に対策係が設けられます。

その名も「エイリアン対策係」

その係に嫌々任命されたのが主人公の大谷ゆり。

気持ち悪いエイリアンの対策、また、戦うために頭に「ボウグ」というカエルのような寄生型エイリアンを装着しなければいけない係ということで、新学期早々憂鬱に。

しかし、そんなことは関係なしにエイリアンは出現する。しょうがないながらも他のクラスで任命された川村くみ、遠峰かすみとともに四苦八苦しながらもエイリアンに立ち向かっていくという物語。

エイリアンが存在している。そこは漫画の設定において、特に際立ったことではない。しかし、小学生がその対策を行っている、生き物係のような具合でその係があるというのがこの漫画の独特な世界観と異常な感じが伺うことができる。

また、主人公以外、エイリアンを気持ち悪いというような素振りを見せないのが印象的だ。

主人公も読者も、置いてけぼりになってしまう。異国の地で虫を美味しそうに食べるのを見ている気分になる。非常識が常識となっているというのを際立たせる演出だと思う。

唯一、主人公だけエイリアンがいるのは気持ち悪い、異常だと思ってくれている事で突飛な世界観でも入り込みやすくしている。また、感情移入するキャラクターが主人公しかいないので、作品に対する印象も読者それぞれが近いものになり、その後の話で翻弄されてしまう。

ボンッキュッボンッという女性のスタイルが良いときに使われる言葉のように、この漫画もその意味合いをかけられるものだと思う。女子小学生×エイリアン。そのメリハリを存分に用いれられている。

女子小学生3人が織りなす、憂鬱とシリアス

そんな世界観にポップでかわいい絵柄の女子小学生3人が登場します。

引っ込み思案で弱気な大谷ゆり、少し変わり者な天才肌の遠峰かすみ、お姉さん肌の川村くみとタイプは違う魅力的なキャラがおり、萌え系漫画として読めてしまいます。

しかし、このままでは終わらないのがエイリアン9。

彼女らはエイリアンの陰謀に巻き込まれてしまいます。

それは地球人とエイリアンによる共生、支配を企むエイリアン間の争いでした。

それにより、遠峰かすみは精神攻撃を受け、人格支配されてしまったり、川村くみは対策のために装着しているボウグに知らず知らずに共生されたりします。

かわいい絵柄とは裏腹にグロテスクな描写、演出が多くあります。最近、流行っている少女が残酷な運命に翻弄されるようなのと少し似ています。

私もかわいい絵柄で手に取ってみて、萌え系と思って読み進めていたら完全に面喰いました。富沢ひとし先生のファンなら当然のものみたいなのですが、初見だと驚いてしまうことは間違いないでしょう。

また、そういう不穏さを知ってから、最初から読み進めていくと効果音の書き方やエイリアンの気持ち悪さ、陰謀を画策していた大人たちの言動が妙に目について、すごく気持ち悪く読み進められます。

新鮮な気持ちでもう一回読める、一度で二度おいしい?漫画となっています。

救いがないまま終わらず、再び日常へ

終盤は、唯一、エイリアンの被害に受けていなかった大谷ゆりがボウグではない別のエイリアンに共生されかけてしまいます。

エイリアンの被害にあった遠峰かすみと川村くみは無傷の大谷ゆりだけは守ると尽力します。

最終的には大谷ゆりは別のエイリアンに共生されず、どうにか一年間のエイリアン対策係を全うします。

エイリアンに乗っ取られる悲惨なことにはならずに、無事に平穏な日常が戻ってくるのですが、最終話にてかすかにボウグとの共生が起こっていたという結果を残して、物語は終わります。

エイリアンによる陰謀を打破することもなければ、明らかになることもない。物語の各所に散りばめられた謎も解明することもない。

作中のキャラクターたちは何事もなかったかのように生きていきます。

とても怖い終わり方です。このレビューの前述にあった読者が置いてけぼり状態です。読者をショッキングな出来事と演出で振り回した挙句、救済の措置がない。こうした締め方も見る人には無責任な漫画だと受け取られてしまうが、エイリアン9には意味があるものだと思う。

ここは単純に物語を終わらせないことでの、後味の悪さを演出しているのだと思う。なんでも終わらないことはスッキリしないものだと思う。これを王道のバトル漫画が行ったら、駄作だということになっても仕方がない。しかし、一方のエイリアン9ではその不可思議な世界観と設定のおかげで、未知なものという印象が強いため、この演出は成り立つ。頭でっかちな漫画であるため、こういう終わらせ方が、読者に考察するという楽しみをより与えてくれている。

読了した後、私の場合、不完全燃焼を起こす前にまず読み落としがないか、もう一回通しで読みました。特には見当たらず、悶々として、気づいたら考察サイトをネットで検索していました。

これは何かの作品を見た後と似ているなと思い、考えてみたところ、エヴァと同じだと思いました。独特な世界観とファンを置いていく展開、伏線と謎を回収しないところ。それによって、考察してしまう作品作り。両作品とも共通点が多くある。

実はエイリアン9はエヴァの源流を継ぐ作品なのではないかと思った。

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