なぜスターダストに魅了されるのか? - スターダストの感想

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なぜスターダストに魅了されるのか?

5.05.0
映像
3.5
脚本
5.0
キャスト
5.0
音楽
3.5
演出
5.0

目次

主人公の成長がギュッと詰まった物語が新鮮!

主人公が成長する物語だと、やはり「成長」という部分がメインになっていくためどうしても物語的には長くなってしまうことが多い。映画が公開された当時、ファンタジー映画はある意味全盛期で、ロードオブザリングからハリポッターと○部作という続き物が多かったのが記憶にありますね。そのため、当時の私は「もうファンタジーはお腹いっぱーい」と言ってこの「スターダスト」映画館では観なかったんですよね(笑)それくらいファンタジー映画は溢れていました。しかし、後々にDVDで観て、映画館で観なかったことを後悔するほど魅了されてしまいました。その一つとして、主人公の成長が128分の中にしっかりと描かれていること!これが新鮮だったんですよね、当時では。本来であれば二部作、三部作で描かれるのが当たり前な主人公の成長が一作にしっかり収まっている!しかもそれが違和感がなくまとまっているのが秀逸。主人公のトリスタン、最初の田舎坊やくさいのなんのって(笑)でもこれが映画を観ていくと段々と一人の大人の男性になっていくんですよね。演技、台詞や衣装、化粧だけじゃなく台詞に込められる気持ちというか、言葉に自信が溢れてくるんです。これが言葉の演技っていうんですかね。見終わる頃にはすっかりトリスタンの虜になっていました(笑)トリスタンとイヴェインの旅路もそんな長い道のりではないのですが、ラミアや王子たちがイヴェインを追って四方八方旅してくれるので観ていると一緒に旅している感が結構しっかりあるんですよね。短い時間の中で主人公の成長の旅を観ている側も一緒に肌で感じれる工夫がこの作品の魅力の一つかなと思います。

脇を固める豪華出演人の味のある演技

なんと言っても、主人公役のチャーリーコックスを凌駕する超有名俳優、女優がわんさか出ている点は見所の一つです。あっ!この人見たことある!って言う人がほんとわんさかです(笑)ただ、その配役の設定が個人的にはうまいなぁーって感心してしまうんですね。特に挙げるのはキャプテン役のロバートデニーロ、ラミア役のミシェルファイファーは、彼らのバックボーンだったり、イメージ、出演作品等を知るともうこの人達しかこの役はやれないなって納得してしまうんです。ロバートデニーロは出演作「ゴッドファーザー」が有名ですがその影響もあってか結構マフィアの役が多いってかもうそういうイメージですよね(笑)日本だと神無月さんのモノマネが印象に強いですね。そんな厳格なイメージのデニーロがイギリス文化をこよなく愛するオタク、しかも女装癖もあるお頭を演じるのがもう面白くて(笑)この役どころは完全にこの映画だけのオリジナル。デニーロがこの脚本に惚れ込み、忙しいスケジュールを割いて出演したものだけあってこのキャプテン役は作品の要。恐いキャプテンを演じたり、主人公を成長させる手助けをしたり、チュチュを着て踊ったり(笑)、様々な役を演じてきたデニーロだからこそ務まった役どころなんだと感じますね。さらに、ミシェルファイファーに至ってはロバートデニーロと並んでも見劣りなど全くしない程の大女優。もちろん様々な作品、役柄を演じてますが、何よりその美貌がこの作品に生かされていると思います。この方、この作品当時で49歳なんです!つい最近「マラヴィータ」という作品に出ていましたがあんまり変わっていませんでした。しかもお子さんまでいらっしゃる。まさしく美魔女。そんな美魔女なミシェルさんが本当に魔女の女王になるところにまずクスッとしてしまう。特殊メイクで醜い老婆から美しい姿に変わるときのギャップがミシェルさんの美貌があるからこそよく際立っていました。また、魔法使うごとに醜い姿にちょっとずつ戻っていった時のミシェルさんの演技が同じ女だからでしょうかね?すごく共感するんですよね。髪が抜けて、側にあったカツラをサッともっていったり、手や顔にシミができて一生懸命隠したり、敵キャラなんですけどなんか同情してしまって憎めませんでしたね(笑)ただ、締めるところはしっかり締めるのはさすが大女優。終盤は悪の女王らしく、少し背筋がゾッとするほどの悪女っぷりは見事でイヴェインの光で消滅しても死なないで~という気持ちは微塵も起きませんでした。豪華出演人を映画に起用すると、どうしても主人公たちが霞んで見えてしまうことが多いですがこの作品はその大女優、俳優をスパイスのようにうまく作品のなかに散りばめることで主人公たちの冒険を際立たせるところも魅力なんだと思います。

日本でも通用する笑いがダークなシナリオの中和剤に

笑いを理解するのは難しい。これは洋画を見る人は結構思うところではないでしょうか。映画館に行って、字幕の映画を観たとき外国人のお客さんだけ笑っている光景をよく見たりする。英語がわかる妹に聞くと、英語でないとわからない笑いがあるんだそうです。また、笑いの文化もこれまた違う。私だけかもしれませんが、洋画のコメディ映画を観て100%理解できたことはないんですよね。わかっても30%くらい。言葉の壁もあると思いますが、日本の笑いがツッコミが主流に対して外国は会話の中で笑いをとる印象なのでやはり文化の違いもありますよね。その中でこの作品は日本人が観ても比較的分かりやすい笑いが多いと感じます。特に幽霊王子たちが「シスター!」と声合わせてハモるところは何となく吉本新喜劇を思い出してしまいました(笑)また、この作品の物語、シナリオは結構ダークです。だって、実の子が窓から突き落とされて笑う父親ってヤバいです。しかも指示したの父親だし。王子たちの名前も1から順につけただけ。兄弟で殺しあってるし。魔女たちもイヴェインの心臓を生きながら取り出すために追っている。狂気の世界ですよね。それでもこの作品が重々しくならないのは笑い=コメディを随所にいれてるからでしょうね。ダークコメディですが(笑)特に死んだ王子の幽霊たちはこの作品では道化師役として重々しい空気を見事に中和してくれるていると思います。それぞれのキャラクターらしいセリフでふざけたりすることで王子が殺されてしまったシーンでも結構ライトにみれるんじゃないかと思います。ほんと中和剤的なキャラクターですよね。ちなみに、原作はネットで軽くみただけですが、それだけでもだいぶ暗いです。主人公はもっと不幸な生い立ちだったりとかしています。原作者と話し合いの末、このシナリオになったそうなので脚本の効果も十分あるし、様々な登場人物の演技の効果もあるでしょうね。色んな要素はもちろんあると思いますが、笑いをうまく取り入れたシナリオが誰が観ても受け入れやすいものになっている、それが魅力なんだと思います。

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