コミック化にはきつすぎた - ef−a fairy tale of the two.の感想

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ef−a fairy tale of the two.

1.501.50
画力
1.00
ストーリー
2.50
キャラクター
4.50
設定
4.50
演出
2.50
感想数
1
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1

コミック化にはきつすぎた

1.51.5
画力
1.0
ストーリー
2.5
キャラクター
4.5
設定
4.5
演出
2.5

目次

途中の長期休載がなければ成功していた?

この物語 ef−a fairy tale of the two.は美少女ゲームブランド「minori」から出た同名作品というのは殆どの人がご存知でしょう。正確には前半1~2章、後半3~4章と二本に分けて出ていますが、ゲーム本編の発売より実はコミカライズの方が少し早く始まっているのです。しかも当時最盛期の原画家「七尾奈留」さんが原画を勤めるとなれば注目度も高まるでしょう。そのせいなのか最初からかは存知あげませんが、ある程度の区切りで打ち切りにならず連載は続いてしまっていました。ゲームが発売したころには漫画は月刊誌でしたのでなんとか1章中盤あたりで追いつきました。ですが原作は2章に入ると今度は全体をつなぐ伏線などを細かく張っていきます。1章ではまだタダの学生同士の三角関係の話程度でしたが2章では1章の結ばれた1章主人公、ヒロインも交え2章の主人公、ヒロインの物語さらに最後へ続く伏線など描かなければいけないことが多すぎる状態です。さらにminorinの売りの一つしっかりとしたストーリーを再現するためには台詞や心理描写も重要ととにかく多くなりすぎて、月刊では間に合わなくなるほどでした。さらに物語りは進めば増える謎や答えなどとにかく多すぎたのです。漫画が3章あたりに入ることはすでに過去の作品となっている今作、連載枠を一つ使う価値があるか既に微妙だったことでしょう。3章あたりから毎号続いていた連載が休載をはさむようになり、4章ではいきなり長期休載とあいなってしまいました。確かに連載枠一つ使うには判断に難しい後期だったかもしれませんが、この頃には多少落ちたとは言え七尾奈留さんは萌え絵師の最前線の一人ですしminoriもwindで有名になりこのefでギャルゲー会社の上位に組み込まれ次作のedenは少し失敗したかもしれませんが以降は盛り返してきてたので、まだefという作品はファンにとっては好きであり、漫画の方もここまで(4章)たったのだから最後まで見たい。とくに4章とかは最後だけあり色々見せ場満載だらけで期待してた人も多かったはずです。ですが時代は移ろうものといわれるとおりいくらファンでもすでにminoriからはいくつも作品が出た後で連載再開しても「あぁやってたんだ~」くらいにしか思われなくなってしまってました。敗因は時間が経ちすぎた事です。月刊でゆっくりでもいいからこつこつやっていればもう少しブームが去る前に最終巻を発売でき絵は微妙でもファンからは、この長い話を描いてくれておつかれさまでしたとか思ってくれたはずです。ですが休載しすぎということで、あぁ今更か~などと適当に流されて終わってしまったのです。

4章(過去編)は描けなかったのか?

この4章は現代編 羽山ミズキ編と過去編(雨宮優子編)になりますが、この過去編、実はゲームでも賛否両論でした。かなり重い話で全年齢版が発売してるとは言え、漫画の方でやっていいのか?と漫画の方を読んでた人はやるのか?やらないのか?どっちなんだ?と読んでて思ったはずです。確かにあの内容は描いていいか迷うものです。過去編で優子は義理の兄にほぼ毎日虐待のされかつ強姦されるのが日常となっていたからです。これもただの語りで流されるならともかく、この問題が過去編においてかなり重要なポイントを占めてきます。それを諦めて受け入れてる優子とその呪縛から解き放とうとする過去編主人公「夕」そして優子の義理の兄も優子を犯しながらも、彼女の事をどう思っていたのか?などかなりショッキングで少年誌的には難しい重い展開が続きます。さらにこの優子が作品の舞台となった街が当時震災で崩壊して震災孤児で雨宮家に引き取られてきたというものさすがにこのご時世に連載再開後でも描ける訳はないですね。

失敗で終わった物語

さてこの作品 ef−a fairy tale of the two.は群像劇として章ごとに主人公もヒロインも違う作品でしたが、これはアニメ版でも失敗していてこちらの漫画版でも失敗しています。まずアニメは全部発売前で1章、3章同時放映とかやってしまいましたが、これは群像劇でありますが、作品全部通して1~4章(過去編除く)通して時間は順番に流れており、あるヒロインの物語となっております。それは全章で登場していたヒロイン「羽山ミズキ」です。これは原作スタッフも公言しており、確かに最初からプレイしてみるとその通りだと言えます。ですがこの漫画版も彼女の物語は完結していません。正確には彼女の根源に迫れなかったということでしょう。なぜか?それは過去編においてミズキも幼少時代に優子と接していてとても大切な存在だったからです。それが自分の不注意で彼女を死なせてしまった。彼女の遺言を心に秘め今を生きている。それが彼女であり、その想いや強い信念があったからこそ4章で彼女と結ばれる主人公「久瀬」の迷いを解き放つ事ができたのです。ココこそ作品中もっともな見せ場の一つ、彼女(優子)みたいにはなれないけど、それでも彼女の残してくれた言葉や想いなどを抱き、1~4章までの主人公やヒロイン達が教えてくれた事、全て大事にしてこの世界を生きていくという決意を見せてくれます。ここが作品の言いたかったことに思えました。人は一人では生きていけない、色々な人に関わり、その中で成長して生きていくということ。それなのに過去編を全部削ってしまったおかげで、ミズキはただのえらそうに説教する子供になってしまい、作品を締めくくるに相応しくない出来となってしまいました。

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