オタクと一般人の凸凹ラブラブ夫婦
オタクな旦那と一般人妻の新婚ハートフルラブコメ
ありそうでなかったお話です。多くのラブコメ作品は淡い恋愛から結婚にいたるまでの話を描くのがオーソドックスなんですが、このアニメはオタクと一般人がもしも結婚しちゃったら、現実にもいそうな夫婦のラブラブな営みを描いています。そこにはわずらわしくて感情が渦巻く三角関係などはありません。ただ問題は旦那である十一(つなしはじめ)がアニメ、漫画などサブカル好きなオタクであり、一般人の十要(つなしかおる)には理解できない部分が多いことです。極端な言い方をすれば宇宙人と人間が同居しているようなものです。分かり合えない部分があるんだけど、お互い深い部分でつながっている感じ。ラブラブなんです。ほんと見ていて嫉妬するくらいラブラブで、結婚願望の薄いもてないオタクである私も、結婚してぇと思わせる力があります。
対照的な二人。だけど理解がある二人
ネットスラングを日常会話に取り入れ、サブカルに傾倒する重度なオタクである十一は、仕事人間で一般人の薫に対し、時に『労働厨』などと揶揄します。オタクは人生を楽しんでいる勝利者であり、仕事に人生をささげるなんて馬鹿げているという考えです。十一はあくまで趣味に生きる人間なんです。回転すし屋のバイトはともかく、当初はまとめサイトの管理人をやって月10万ほどの収入を得ていました。趣味ができれば、仕事(お金)は自分たちが最低限暮らしていけばいいってことでしょう。在宅だから時間もたっぷり作ろうとおもえば作れるわけです。一人身ならそのままでもいいでしょう。でも、結婚した一家の長ならば、これはちょっとね…って思っちゃいます。でも、薫はオタク趣味を含めての十一がとっても好きなんです。理解しようとするんです。相手が宇宙人でも、理解しようとするんです。なぜなら心の底から惚れてるから。ほんといい奥さんですよね。オタクにとってこれ以上の良妻はいないかもしれません。仕事と酒とタバコですさんでいる薫は、人生楽しんでる旦那をきっとうらやましくも思っているはずです。理由はどうあれ、十一はウェブデザイナーへと転身するわけです。内心心苦しさはあったはずですから、よかったよかった。
料理が下手で仕事人間の妻と料理ができて趣味に生きる旦那。世の中うまくできてますね。でこぼこ夫婦だけど、ピースがきっちり納まってます。プラスお互いの理解と努力があるからラブラブな営みがあるんですよね。夫婦のあり方を見た気がします。
一話完結5分のショートアニメ
原作が四コマ漫画ってことですが、起承転結のそのリズム感そのままに淡々と物語が進みます。時間がなくてもさくっと見れちゃう手軽さがうれしい。一服の清涼剤といいますか、ちょうどいい長さです。あんまり長々とやられても飽きてしまうというか胃もたれしちゃう(?)かも。毎回、見終わると、結婚したい結婚したい結婚したいというどうしようもない衝動に駆られてしまうのは私だけでしょうか。特にやられるのはEDのゆったりデュエット曲と寄り添う二人の後姿を見ていると、独り身の自分としてはなんとも物悲しく人恋しさにさいなまれてしまいます。
でも、薫みたいにオタクに理解のある良妻は現実には希少だろうなーとか思ってしまいます。結婚したら尻に敷かれるのがオチでしょう。オタクを理解しようともしてくれないし、見放されちゃうかもなんて卑屈になってしまう。つくづく十一は本当に幸せものだと思いますね。
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