ワールド・イズ・ヘタリア - ヘタリア Axis Powersの感想

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ヘタリア Axis Powers

4.004.00
画力
3.50
ストーリー
3.50
キャラクター
4.00
設定
3.00
演出
4.00
感想数
1
読んだ人
1

ワールド・イズ・ヘタリア

4.04.0
画力
3.5
ストーリー
3.5
キャラクター
4.0
設定
3.0
演出
4.0

目次

世界の縮図!?

「ポスニア兵に追われているところをスカウトされてこの本を出すにいたった。」そう書かれているのは、 ヘタリア Axis Powersの日丸屋先生の自己紹介文(表紙に記載)。国際情勢というシビアが溢れるテーマに、なんともミスマッチなかわいらしいキャラクター達(国々)が、ケンカしたり友達になったりする様は、世界の縮図を見ているような気分にさせられます。しかし、悪魔で縮図、その背景にはどんなに長い歴史があったでしょうか。どんなに膨大な事柄があったことでしょうか。そんな壮大で複雑な世界を、この作品は目に優しく、頭に易しく表現しています。私としましては、教科書がこれだったらいいのにと、切実に思う次第であります。まあそんなことは天と地がひっくり返ってもありえないでしょうし、あってほしくないです。教科書は教科書あってですから。さて、「世界の縮図」という文句は、皆さんも耳にすることは多いでしょう。でもちょっと待ってください、私が言いたいのは、もう少しあるんです。縮図とは、実際の大きな図を縮めたもの、例えば世界地図は、本当は丸い地球を長方形の紙に収めてしまいます。本当はもっと長いのに縮まっていたり、縮小して省略されている部分もあります。ヘタリアにもそれが言えるでしょう。核心を捉えているだけあって、とても説明しきれず、また漫画ですから、それこそ作者の世界観が加わり、先入観や偏見を持ってしまう読者もしばしば。時によって、歴史は変わりさえもするため、なんとも不安定な設定上で構成されていると言えます。私が言いたいのは、もしヘタリアに興味を持たれましたら、同時に実在の外国にも目を向けてもらいたいのです。何でもいいのです。その国の写真集、外国の有名な人の出身地、そういう確かな情報を一つでも知っていてもらいたいのです。その上で本作品が楽しまれるなら、私は心から嬉しく思います。

日本と世界をつないだりつながなかったり

世界の国々がゆるふわなタッチで描かれているヘタリア。アニメ化もされ、海外でも(色んな意味で)注目されています。実際のその国の方々の反応を見てみても「あながち間違っていない」なんて声もあり、 とても面白いです。そして、読者の中には「歴史に強くなった」という方も、かくゆう私もその一人であります。そこで、ここから少しだけ、私の与太話にお付き合いいただきます。私がヘタリアに出会ったのは、友達から「すごくかわいいの!」とオススメされたのがきっかけです。その頃の私、通信簿を見れば2や3の数字がちらほら、もちろん歴史や世界史も例外ではなく、武勇伝にもならないような有り様でした。そんな私が本作品を読んでみますと、なんとまあスルスル入ってくること、テレビで視界の端に映る、すぐ忘れる程度の外国の情報しか持ち得ない私が、お国柄というものに触れている。それだけでお赤飯を炊いてお祝いものなんですが、ヘタリアが私に与えた影響はそれだけに留まりません。なんと外国に就職しようなどと計画させたのです。行けませんでしたが(笑)いつか海外旅行にでも行けたらと思っておりますが、それまではそんなこと微塵も考えたことはありませんでした。旅行なんて、しかも外国なんて行ってなんだというのだ、祖国で十分充実している。そんな気持ちすらありました。それがヘタリアを読んでからは、まるで人が変わったようでした。授業で手が恥ずかしいくらい上がるし、テストでは今まで出したことがないような高得点を叩き出して、しまいには成績上位者の一番下に躍り出るしまつに、先生達も目が丸くなっておりました。前までは下から数えた方が早かったですからね。なんだか、テレフォンショッピングのような物言いになってしまいましたが、結果的にそのような事があり、とても楽しかったのを覚えています。私の他にもファンの方々の中には、本当に外国に行った方もおり、ヘタリアは読んだ人を他国に誘う架け橋と言えるでしょう。そして、それは日本だけでなく、逆に外国の方々が日本に関心をもつことも。外国に行った日本人がヘタリアの話をすると「ヘタリア知ってるの!?」と目を輝かせて話す外国人や、ヘタリアのキャラクターのコスプレをしている海外のレイヤーの方々、日本と外国のつながりの一つになっているのが見てとれます。しかし、一見良いことのように思いますが、そういうわけでもありません。ヘタリア騒動なんていう事態もあり、良い意味でも悪い意味でも、ヘタリアは国境を超えることのできる漫画です。様々な意見から、ファンの徹底した呼びかけもあり、これからも色んな視点から見ることで、この作品の価値は大きく変わっていくことでしょう。

kawaiiだけじゃない

さて、口を酸っぱくして言ってきましたが、ヘタリアは絵柄が本当にかわいらしい(キラッキラしてます)。女の子が描いたように思えてしまいますが、意外や意外、日丸屋先生は男性の方です。そんな日丸屋先生のふわふわしたキャラクター達の口から出るのは、経済についてや顔に似つかわしくないヤング言葉などのブラックジョーク。そのカオスさはチャップリンの喜劇のごとく、私達に笑いを届けます。そんな中、読者の方々の心を打つものが、ヘタリア Axis PowersのP73「アメリカの倉庫掃除」、知る人ぞ知る、ヘタリアのシリアス回です。独立という狭間で揺れ動く二国を擬人化したことで、理屈ではなく、人間らしい感情が前面に出てくるのには、熱くなるものがあります。海外でも使われるようになった日本特有の言語「kawaii」、かわいいだけじゃすまない!シビアな国際社会、でもやっぱりかわいい!ヘタリアに使うならこんな意味合いを持つのではないでしょうか。私にとってヘタリアは、読むべくして全てを知ることはできませんが、トレビアンな時を過ごす良いスパイスです。

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