笑わせる魔法学園コメディー作品
ゲームコンテンツからOVA化
作品タイトルに「クイズ」の名前があるものの、クイズ要素は一切ありません。
非常に、潔さを感じられる作り込みをしているOVA作品です。
しかし、アニメ本編を全て観終えた時、これで良かったのだと考えます。クイズの要素を入れると、アニメとしての面白さに欠いた結果になったのは明らかだったと考えられます。そして、登場人物たちの個性もユニークであり、それだけで魅力あるコンテンツです。しかし、主人公の存在が明確にされていないように感じられ、それだけ他の登場人物の個性が強すぎるのです。OVA化された目的が、ゲームコンテンツの存在を世間一般に知らしめることなのであれば、充分な内容だと考えられます。
そして、OVA1巻辺り30分ほどなので、全2巻で、計60分で全てを観通せる内容です。
アニメ作品としては、決して長い本編には分類されないものです。むしろ、短編アニメに分類されるのではないでしょうか。その中で、ストーリー性があって、喜怒哀楽が目まぐるしい内容は、OVA作品としての完成度の高さは充分なものです。
ゲームコンテンツからOVA化される作品は、アニメ作品として当り外れが大きいイメージがあります。
しかし、私の個人的な見解としては、率直に、良作に分類できるOVA作品だと感じました。
先生たちの強さ
本編の世界観を他の創作物で類似したものを考えたら、「ハリー・ポッター」シリーズを思い浮かべました。
魔法学校を背景としており、先生・生徒による学園ドラマという図式は、まさに類似した内容だといえます。ただ、ポッターの成長や謎解き要素の多い「ハリー・ポッター」シリーズとは、打ち出されている内容が違うように思えます。当作品の打ち出されている方向性は、主に笑いです。すでに、物語の方向性から違う作品であることが伺えます。
そして、「ハリー・ポッター」シリーズでは、生徒たちに焦点が当ることが多いです。先生の存在は、あくまで生徒たちの先生であり、生徒たちを輝かせる脇役という印象が強いのではないでしょうか。しかし、当作品においては、先生キャラクターの主張が強いと考えられます。
その代表例は、先生たちが超強力な魔法を用いて、モンスターたちを一掃する場面です。
本編の中で、先生キャラクターの圧倒的な力量の強さが強調されているのです。そして、「ハリー・ポッター」シリーズでは観られなかった場面です。先生たちの強さは、それぞれキャラクター個性に直結するものであり、存在感の強さでもあります。先生キャラクターの個性や主張が強かったことが印象的で、生徒キャラクターの存在感を薄くしているようにも感じられます。
当作品は、先生キャラクターと生徒キャラクターの個性のぶつかり合いで構成されているのです。
そして、古典的な笑いですが、空から金タライが落下して、先生たちが物理攻撃を受けるのも面白い描写でした。金タライが、ドリフを思わせる古典的なもので、その洗濯・・・その選択に、制作スタッフのセンスを感じられるところです。そして、単純な物理攻撃に倒れてしまう先生たちにも、強力な魔法を用いて戦う姿とのギャップに面白さを生むのだと思います。
すなわち、OVA作品の面白さに登場人物の個性という要素が強く打ちされており、「ハリー・ポッター」と明確に異なる部分です。結果的に、打ち出されている方向性は「笑い」というのも、全然違うもので、似て非なる内容と結論付けられます。
ガルーダの面白さ
アニメ本編の中で、一際、強烈な個性を放っていたのが、ガルーダだと感じています。
学園における先生・生徒は、人間の外見をしています。しかし、ガルーダだけが、外見面から異彩のものであり、鳥キャラクターというインパクトは絶大です。そして、昼食に購買部で、鶏のから揚げ弁当大盛り、ゆで卵を購入している姿は、誰にもツッコむことが許されないのだと考えられます。
ガルーダというキャラクター設定は、とても秀逸です。
ガルーダというキャラクターは、内面においても、魅力的なものです。昔はヤンチャだったことが、本人の口から語られており、子どもの心を持ち合わせた大人という印象です。そういった背景もあり、生徒たちの無茶苦茶な行動にも寛容な一面を見せます。外見を置いておいても、内面部分だけでも充分に魅力的なのです。
その上で、異彩な外見を持ち合わせているのは、卑怯なほど、目立っているキャラクター個性だと思います。
そんな良好な内面をもった人物なので、ガルーダのボケに、誰しもがツッコめない状況が生まれているのだと考えられます。そして、そのツッコめない空気が、また違った笑いを誘うのです。
チームとしての協調性
生徒キャラクターに焦点を当てたとき、強調されているのは、生徒たちの協調性です。
そして、お世話になっている先生に迷惑をかけたくない、助けたいという思いやりです。
だからこそ、OVA作品における物語内容は、学園ドラマとして成り立っているのだと受け止めています。それぞれ助けたいと思い、行動するも力量不足やミスで状況が悪化していきます。それが、キャラクター個性とは違った側面での笑い要素です。しかし、それぞれに悪気があって行動しているわけではないので、素直に笑ってしまうのだと思います。
悪気があるのであれば、それは単に、足の引っ張り合いであり、ギスギスした人間関係しか生まないでしょう。競争原理を描いているのではなく、クラスをチームとして描き、助け合う気持ちを前提として打ち出しているから、面白く映るのではないでしょうか。
結果的には、生徒たちは、あまり役に立ちませんでした。
しかし、気持ちの部分が重要なのだと思います。そして、生徒たちの個性も強烈ですが、チームとしての潜在能力の高さも垣間見ることができるように思えます。
前項でも述べているように、登場人物の個性が、本編の魅力と直結しています。
そして、それは先生キャラクターに限ったことではなく、生徒も含めた全ての登場人物を指しており、全ての登場人物が主人公のような構図になっているのだと考えられるのです。
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