個性的な物語性で引き込まれてしまう - 宮西達也劇場 おまえうまそうだなの感想

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宮西達也劇場 おまえうまそうだな

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音楽
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個性的な物語性で引き込まれてしまう

5.05.0
映像
5.0
ストーリー
5.0
キャラクター
5.0
声優
5.0
音楽
5.0

目次

物語背景の感想

子供向けのアニメ作品なのだと思います。
しかし、大人が観ても楽しめる内容であり、心打たれるものがあります。肉食と草食の違いが、物語のテーマとして掲げられています。アニメ本編を観ている最中から思っていた疑問だったのですが、恐竜を扱った意図は何だったのでしょうか。
正直なところ、全て現在の動物に置き換えても物語としては成り立ちます。ティラノサウルスをライオンなどの肉食動物に置き換え、草食動物をサイや馬などに置き換えても、支障はないように感じられます。わざわざ、恐竜を扱う意図が分からないのです。現実社会で実在している動物ではないことから、リアリティーが弱いように感じられるのです。
リアリティーを求めるなら、実在している今の動物を扱うべきだったように思います。その点が、少し残念だったように感じられます。
きっと、原作を起案する段階で、恐竜を扱った物語を構成しようと決められていたのだと想像します。まずは、原作者の方が恐竜が好きだったのかな、と考えられます。また、子供向け、特に男の子向けの作品にしようと、恐竜という題材を持ち出したのだと考えられます。
恐竜を題材にした意図は、そのような背景だったように感じられます。
ただ、振り返って考えてみると、やはり恐竜である必然性は弱いものだと思えてしまいます。

肉食と草食

実際に、肉食恐竜が木の実を食べることはあったのでしょうか。
現在、実在している肉食動物においても、体調を整える為、草などを食べることはあるそうです。
私たち人間においても、肉も食べれば、草や実を食べます。生物的にみれば、雑食に分類できる動物といえます。
肉食恐竜においても、草や実を食べることはあったのかもしれません。逆に、草食恐竜が肉を食べることは無かったのでしょうか。しかし、草食恐竜が肉を食べたことで、肉食恐竜に進化していったプロセスがあったと思うのです。草食恐竜の全てが、草だけを食べていたのなら、肉食恐竜は存在していないと思われます。このことから、草食恐竜だから、絶対に肉を食べないと言い切れるものでもないと考えられるのです。
そう考えてしまうと、肉食だから、草食だから、という区別も曖昧なものだと思えてしまいます。

種族を超えた愛情

母親恐竜の母性は、本当に慈悲深いものだと感じられました。
でも、これは人間社会にも当てはまるものだと考えられます。種族という枠組みを超えている、という点が面白く映るだけであって、それを取り去ってしまえば、母親の強い愛情を強調した物語なのだと思います。また、ハートの兄であるライトについても、兄弟愛の強さを感じられました。
集約すると、家族愛と呼べるものだと考えられます。
人間社会においては、同じ種族で、血の繋がりがありながらも、気持ちの繋がりの弱い家族がいます。アニメ本編で描かれていた家族愛より、弱い関係性の人間家族は、世の中にいくらでもあるように感じられます。
そして、人間社会においても、イジメ問題は多く、同じ種族であっても争い事は絶えません。
血の繋がりや同種族という枠組みについて、考えさせられます。

ハートの成長

物語の根幹は、ハートの成長なのだと思います。もちろん、身体が大きくなったこともそうですが、内面の成長が描きたかった本当の部分なのだと思います。
家族の元から飛び出したハートがどうなるのか、そこからアニメ本編に引き込まれてしまった明確なポイントです。ハートにどんな展開が待っているのか、気になって、気になって、観るのことが止まらなくなってしまいます。
そして、先の展開として待っていたのは、ハートの母親と同じものでした。ハートも母親と同じく、種族を超えた子供を持ってしまいます。
そして、その出会いから、ハート自身も父親として、さらに成長していった様子が微笑ましく感じました。躊躇いながらも、母親と同じ道を歩むハートが面白かったです。
でも振り返って考えてみれば、物語展開として、家族の元を飛び出したハートに待っているものは母親と同じものだったのは、容易に想像できるものでした。逆に、それ以外の展開は考えられないように思うのです。
私自身は、観ていて予想できませんでしたが、考えてみれば、それ以外の展開は有り得ないことは明確でした。
そして、「うまそう」との出会いもハートならではのものなのは語るまでもないことです。ハートの生い立ちがあるからこそ、「うまそう」を育て、家族として成り立っていると思うのです。ハートより先に、他の肉食恐竜に「うまそう」が見つかっていれば食べられていたのは間違いないでしょう。
草食恐竜の母親に育てられたからこそ、ハートの性格があるのだと思います。そして、ハートの性格から、母親の深い愛情を感じられ、真っ直ぐな性格になったように感じられます。
この「おまえうまそうだな」というアニメ作品の最大の魅力は、ハートという肉食恐竜の性格なのだと思います。

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