高校野球経験者にはたまらない作品
テーマが斬新です。通常のスポーツ青春ドラマでは弱小校が様々な試練を乗り越えて主人公やチームの活躍を描くことが定番ですが、この作品は野球名門校の野球部所属の2人の高校球児がレギュラーでも甲子園出場でもなくただベンチ入りを目指すというストーリーです。
元高校球児の視点から見てもとにかくリアルです。髪型も全員坊主で練習風景や登場人物の野球技術も本格的です。よく野球漫画の実写化などを見るとその野球技術の低さ(投げ方やスイング)に幻滅するのですがこの作品はそうしたことがありませんでした。夜のティーバッティングの自主練習や声出しなど野球描写はほんと見ものです。特にリアルなのがベンチ入りメンバーの発表のシーン、監督が背番号毎に名前を呼んで渡すんですけどリアルな緊張感が伝わって学生時代を思い出しました。
また寮生活の中でも球児が煙草を吸っていたり合コンに行ったり、監督とスカウトの裏のやり取りなど通常の映画では映し出されないシーンがあり、通常の映画ならこれが伏線となり後々のトラブルになったりするのですがそれすらないというところがまたリアルで何か起きるなという予測をまんまと裏切られました。主役の補欠2人とレギュラーの2人の4人が寮の同部屋ですがこの4人の関係性がまたリアル。物語でありがちな補欠とレギュラーという関係によるいざこざなんてものが一切なく、同級生として普通に差別なく接しているというところが経験者から言わせるとこれがリアル。
監督が竹内力ってところは厳しい鬼監督として存在感ありすぎでした。周りから見たら優しいおじさん、でも実際グランドでは…なんていう方が良かったかなと思いました。
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