人類禁断のテーマをめぐるシリーズ作 - パンドラII 飢餓列島の感想

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パンドラII 飢餓列島

4.004.00
映像
4.00
脚本
3.50
キャスト
4.00
音楽
4.00
演出
3.50
感想数
1
観た人
1

人類禁断のテーマをめぐるシリーズ作

4.04.0
映像
4.0
脚本
3.5
キャスト
4.0
音楽
4.0
演出
3.5

目次

シリーズものならではの見どころ

WOWWOWの連続ドラマWで放映された

パンドラシリーズの第二弾。

シリーズごとに異なる、人類禁断のテーマをめぐる

様々な利権争いや闇の暗躍などが描かれている。

第一作のテーマは「不老不死の特効薬」

本作品である第二作のテーマは「食糧危機」

第三作のテーマは「自殺防止の治療法」

どの作品も、単品としても面白いけど

できれば全シリーズ通して見たい作品だと思う。

というのは、

シリーズ全ての根底に流れている

「人類禁断」というテーマが

作品ごとに変わる業界やシチュエーションによって

どのような違いで表現されるのか

実に面白いからだ。

また、シリーズならではの

構成や設定の仕方がどこか新鮮に感じた。

例えば・・・

テーマ曲、

巻頭・終幕の映像、

主人公の名字、

主人公の出身大学、

ストーリーテラーともなる雑誌記者 、など、 

シリーズを通して同じに設定しているところ。

そして、それに違和感を感じさせないところ。

 

最近のシリーズものって、

登場人物が同じの続編モノはともかく、

テーマ曲や諸々の設定は別、というのが

多いような気がするけど

これはほどよく同じに設定されてるのが

逆に新鮮。

 

登場人物はほぼ別人たちなんだけど

主人公の「鈴木」という名字は同じ。

そしていずれも

過酷な人生体験から生まれた

純粋な「救済欲求」をバネにして

人類の救世主ともいえるような

開発に成功した研究者、というのが共通点。

 

その研究者が生み出した

禁断の果実。

 

その禁断の果実をめぐって

様々な利権が暗躍する現実を知り、

研究者自ら信念の顕し方を変える。

この、「顕し方を変える」というところが秀逸だな、と。

決して「信念」そのものが変わるわけでは、ない。

そのかわり、

「信念」を貫くためには、

この現代社会では「顕し方」を変えざるをえない、

という、苦渋の決断をする。

魂を売ることなく、この現代社会と両立するためには・・・と。

「人類禁断」・・・とまではいかなくても

私たちの日常の中にも

これと似たような構図の葛藤は

よくあることではないだろうか。

自分の本心や本意と社会の常識との板ばさみ、葛藤。

本音と建前。

すべての人が本音だけで生きれたらいいなあ・・・

と、個人的にはつい、思ってしまうのだけれど(笑)

「食」の問題を通して見る現代社会

わずか2週間で生育するトウモロコシの開発成功と

それをめぐる政府、企業の利権争い。

「食」をテーマにした

国際現代社会の在り方を問う内容となっている。

本作品の「鈴木」博士は、

幼少時の飢餓体験が元で、

通常の4倍の速さで成長するトウモロコシを開発する。

すべては、

「餓えに苦しむ子供たちを救いたい」

という想いからだ。

しかし、「生存」に直結する「食」というものは

それだけ様々な陰謀や欲望が暗躍しやすいだろうし、

食糧危機に陥る日本の現状を知る政府もまた 

彼の本意とはうらはらに

彼の開発した「ゴッドコーン」

「国の大義」にのっとって、利用しようと画策するのだ。

個人の在り方と国家の在り方・・・

両立はなかなか難しいね。

ところで見ていて個人的に気になった点があった。

遺伝子組み換え作物である ゴッドコーンに 

安全性の懸念を抱き反対する大臣。

「この感覚は至ってまとも」

だと思うんだけど

作中では悪役的な描かれ方をしてんだよね。

自己の利権に画策し、

派閥を利用して 若手政治家に責任転嫁をするような 

役柄設定になっていて・・・。

 

これ、

安全性の懸念から異を唱える大臣と

利権画策の悪役大臣、

別の人物設定にした方がよかったんじゃないかなー

・・・なんて、個人的には思う。

  その方が、現代社会により忠実、というか、 

リアリティが出るような気がするんだけど・・・

どうでしょうね。

何気に突っ込みどころがちらほら・・・

個人的な感想としては

第一作に比べ若干 、突っ込みどころ、というか、 

「雑さ」を感じた、かな。

 

登場人物の描き方が

前シリーズに比べて

若干粗いような気が・・・

 

鈴木京香さん演じる女刑事も

ちょいとお粗末すぎやしないか。

クセのある刑事、という設定は

多分前シリーズと同じかもしれないけど

第一作の柳場敏郎さん演じるやさぐれ刑事は

クセはあるけどある意味、名刑事、

けど今回は、

感情に振り回されて

落ち着きのないヒステリー女

という印象の方が目立つよ。

んー、残念。。

   

ところでちょっと余談だけど

女刑事ものでたまに見るんだけど 、

タイトスカートにピンヒール、って、

すんごく仕事やりづらくね?

何かあった時、動きづらくね?

って思ってしまうんだけど、

あれ、わざと?

ドラマだからイイんだよ、って

確信犯的な演出なの?

演出の方に是非尋ねてみたいトコロ。 

 

あと、どーでもいいことかもだけど

ひとつずっと気になってたのは

宅麻伸さんの「ゴッドコーン」の発音。

 

他の役者さんたちはみんな、

「ごっどこーん」

小さい「っ」を発音してるのに対し、

宅麻さんは

「ごどこーん」

と、小さい「っ」を言うか言わないか、くらいの

微妙な発音で言っていて。。

 

これ、意図的な演出なの?

ただ単に自然な発音でそーなってただけなの?

キニナル~~~(><)。。。 

まあ、ツッコミどころはさておき、

相変わらず演技派ぞろいの役者さんばかりで

演技そのものはとても堪能できて大満足。

特に、前作からの流れで出演している

余貴美子さん。

クセのある演技はよだれものですね(笑)

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