ぶっ飛んだ狂気の天才
これを読んで衝撃を受けた読者は少なく無いと思う。しかもこれは純文学。
ミルキィ・イソベによるエキセントリックで可愛らしい表紙を捲ったら最後。作者の罠に嵌まるのだ。途中まで作者の実話エッセイだと思って読んでいたら、とんでもない方向へ行く。
「え?誰が実話エッセイだなんて言いました?ケケケケ」作者の嗤う声が聞こえて来るような気がする。
いつしか小説を読んでいるんだか、いうの間にか眠ってしまって夢の中で小説を読んでいるのか分かりかねる状態になる。
大丈夫か?この作者、でも面白い。
いやもうそれなはいでしょう、でも興味深い。
母は作者によって見るも無惨な“発達”を遂げ、主人公はどこに向かって進んで行くのやら。
ヤケになって開き直って、泥酔しながら書いたようなストーリーだが、超絶なる文章力によって辛うじて小説の形態を保っている。そんな感じのする小説だが、私はこの作品がむちゃくちゃ好きだ。
ただ、残念な事にこの作者の他の作品はこれ程ぶっ飛んではいない。
このエキセントリックというか、シュールというか、クレイジーというか、そんな笙野頼子の狂気に満ちた魅力を余すところなく堪能できるのがこの作品だ。
そしてこれは純文学だ。
ファンタジーでもホラーでも無い。
作者がそう言ってるからそうなのだろう。
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