プ、プリン… - その夜の侍の感想

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映画レビュー数 5,784件

その夜の侍

4.004.00
映像
4.50
脚本
3.50
キャスト
4.50
音楽
4.50
演出
4.00
感想数
2
観た人
3

プ、プリン…

5.05.0
映像
5.0
脚本
5.0
キャスト
5.0
音楽
5.0
演出
5.0

映画ってエンディングが良ければ良い映画っていわれるじゃないですか。この作品は正にそれ。

妻をひき逃げで亡くして、その犯人を殺して復讐しようとするする夫の話と思ってから違った!結局、主人公の中村は犯人の木島を追いつめて対峙するも殺しはしなかった。しかも、その生死のやり取りの中で大事な事に気がつく。その台詞が中村の言った「おまえは本当にただ何となく生きている」「おまえは何の関係もない」に表れています。

「おまえは本当にただ何となく生きている」は、やっと気付いたかという感覚と、気付いてしまったかという感じが入り交じる。これって奥さんが亡くなる前の自分もそうだからなんですよ。何も考えてなくて何となく生きてたから奥さんを困らせながらプリンを好きなだけ食べていた。これが「普通」であり「なんとなく生きている」人の実態。自分だって自分がよければよかったし何となく生きていたわけです。しかも中村は奥さんが亡くなってからもプリンを食べ続けてる。奥さんの最後の言葉が「プリン食べないで」というような内容にも関わらず。

って事は自分も犯人の木島と変わりないし、奥さんを大事に出来ていなかった。だから「おまえは何の関係もない」って事かなと。

ほんで、奥さんの最後の声だった留守番電話のメッセージも消して「大事にしている」と思っていたものを手放す。それに伴って同じく執着していた(もしくは奥さんより大事にしていた)プリンを頭からかぶることで自分を戒めたのかなーと思いました。

愛する者を奪われたと思っていたけど、結局自分も大事な物が見えていなくて、でも大半の人が「そんなもん」で主人公の中村はプリンが一番だったわけですよ、たぶん。そんな自分クソだよねって気が付いて震えて絶望してプリンかぶっちゃう。私はここの演技に震えた。てか、それに気付いてなかったらプリンは今まで通り食べるだろうし、頭からかぶったりしないと思うんですよ。ほんとすごい。

しかし、ほんと人ってくだらない事に執着しますよね。

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他のレビュアーの感想・評価

タイトルの意味をどう捉えたらいいのか

「その夜の侍」を視聴した感想です。非常に観念的で、わたしには面白さが分かりにくい作品だったと思いました。エンターテイメント性は全く無く、純文学の世界観のように見えました。見ていて、芥川賞受賞者の中村文則さんの作品を思い出しました。中村さんの作品に、亡くなった恋人の指を小瓶に入れて持ち歩く男の話がありますが、亡くなった妻のブラジャーをポケットに入れている男というのも、少し似ているのかな、と思いました。ストーリー性はあまりなく、妻を交通事故で亡くした男と、その加害者の人間性を淡々と描いているかのように見えました。妻が交通事故で轢き逃げされ、亡くなるという悲劇的な物語でありながら、本当に淡々とした目線で人々の姿が描かれています。そして、その淡々とした日常の中にかいま見える、中村健一と木島の狂気。これも煽るような表現はなく、まるで人間の狂気の本質は、日常的なものの中にあるのだ、と言わんばかりの...この感想を読む

3.03.0
  • naonao
  • 726view
  • 2011文字
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