プ、プリン…
映画ってエンディングが良ければ良い映画っていわれるじゃないですか。この作品は正にそれ。
妻をひき逃げで亡くして、その犯人を殺して復讐しようとするする夫の話と思ってから違った!結局、主人公の中村は犯人の木島を追いつめて対峙するも殺しはしなかった。しかも、その生死のやり取りの中で大事な事に気がつく。その台詞が中村の言った「おまえは本当にただ何となく生きている」「おまえは何の関係もない」に表れています。
「おまえは本当にただ何となく生きている」は、やっと気付いたかという感覚と、気付いてしまったかという感じが入り交じる。これって奥さんが亡くなる前の自分もそうだからなんですよ。何も考えてなくて何となく生きてたから奥さんを困らせながらプリンを好きなだけ食べていた。これが「普通」であり「なんとなく生きている」人の実態。自分だって自分がよければよかったし何となく生きていたわけです。しかも中村は奥さんが亡くなってからもプリンを食べ続けてる。奥さんの最後の言葉が「プリン食べないで」というような内容にも関わらず。
って事は自分も犯人の木島と変わりないし、奥さんを大事に出来ていなかった。だから「おまえは何の関係もない」って事かなと。
ほんで、奥さんの最後の声だった留守番電話のメッセージも消して「大事にしている」と思っていたものを手放す。それに伴って同じく執着していた(もしくは奥さんより大事にしていた)プリンを頭からかぶることで自分を戒めたのかなーと思いました。
愛する者を奪われたと思っていたけど、結局自分も大事な物が見えていなくて、でも大半の人が「そんなもん」で主人公の中村はプリンが一番だったわけですよ、たぶん。そんな自分クソだよねって気が付いて震えて絶望してプリンかぶっちゃう。私はここの演技に震えた。てか、それに気付いてなかったらプリンは今まで通り食べるだろうし、頭からかぶったりしないと思うんですよ。ほんとすごい。
しかし、ほんと人ってくだらない事に執着しますよね。
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