二次会はいつものカラオケ館で!
戦いの後のひととき、正義のための集まり!
「乾杯戦士アフターファイブ」を視聴した感想です。
とにかくゆるい、その一言に尽きます。
この作品は、地球の平和を守るヒーロー「トレジャーファイブ」の、飲み会やカラオケ屋での二次会の様子だけで構成されています。
オープニングこそ、戦隊もののような主題歌や映像になっていますが、内容はただ飲むだけ。
怪人との戦闘シーンなどは一切ありません。
「あの怪人はヤバかった」とか、「スーパーロボットを最初から出すと楽」といった仕事終わりの愚痴や雑談を肴に、ただ延々と酒を飲んでいるだけです。
ヒーローの「トレジャーファイブ」(通称、乾杯戦士アフターファイブ)達も、生活感の溢れる面々となっています。
リーダーであるレッドは、正義感は強いが空回りしています。赴任してきたばかりなので、みんなからナメられ、注文係をやらされています。
ブルーはイケメンですが、何を考えているのか分からず、基本的にバカです。
イエローは老化が激しく、オッサン臭過ぎます。最近肩が上がらなくなってきました。
グリーンは今時の若者らしく、マイペースで淡白です。そして若干オタクです。
紅一点のピンクは妙齢というか、年増感が溢れています。最初から最後まで一刻者のロックで通していますからね。しかも夜の仕事のバイトをしている疑惑まであるという…。
子供が間違えて見たら、ガッカリすること間違いありません。
その低予算感と徹底したくだらなさが、私は嫌いになれません。むしろ好きです。
ちょっと大喜利っぽいですよね。「こんなヒーローは嫌だ」みたいな。
クーポン券を使ってくるヒーロー、サービスタイムを粘ってくるヒーロー…嫌ですね。
そうした正義のヒーローと生活感のギャップが笑いを誘います。
ちょっと「勇者ヨシヒコ」っぽくもあるんですかね。
勇者ヨシヒコも「予算の少ない冒険活劇」というテーマで、チープさを逆に笑いに変えていました。
また、「こんな勇者一行は嫌だ」みたいなギャップからの笑いもありましたね。
乾杯戦士アフターファイブも予算の無い感じを全面に出していて、笑える感じがしました。
オープニングのロボ、段ボールで作ってますからね。しかも適当。
もう、真面目に見るようなドラマでは全然ないですよね。頭を空っぽにして、笑って見られる作品だと思いました。
悪の組織の総統と、戦闘員が唯一の良心…
また、この作品の見所は、ヒーロー達だけではありません。
トレジャーファイブの常連の居酒屋には、宿敵の悪の組織の総統と、戦闘員がアルバイトをしています。
怪人を作るのにはお金がかかるので、居酒屋でアルバイトをしているのです。
総統役の斉木しげるさんと、戦闘員役のシソンヌのじろうさん。
この二人は悪の組織に身を置きながら、なぜか働き者で優しい設定となっています。
何ならトレジャーファイブよりも、心優しく親切な二人。
何ならトレジャーファイブよりも、熱い絆で結ばれた二人。
そんな二人のやり取りがかわいく、ほっこりします。
トレジャーファイブが、基本的にみんな社会人として腐っているので、相対的にこの二人の株が上がっていきます。
どう見ても、普通の居酒屋の店員として働いている戦闘員は、「イーッ」という掛け声だけが、辛うじて悪の組織の要素となっています。
そして、総統はいい人なので(なぜか)、トレジャーファイブにアドバイスをくれたりします。
それでトレジャーファイブの面々が、目を覚ますことも多いです。(悪の組織的にいいのか?とは思いますが…。)
また、総統は調理場勤務が長いらしく、どんなメニューやまかないも作ることができます。
そのため店長からの信頼も厚く、職場の人間関係は良好です。
悪の組織サイドは、そうした悪とは思えない真面目さとのギャップが面白かったです。
新イエローはかわいくて、しかも性格もいい!
オッサンのイエローの異動の後、やってきた新イエローに色めき立つ流れも好きでした。
イエロー(女子)はかわいくて、しかもすごくいい子なんですよね。
オッサンのイエローとの辛い別れを瞬時に忘れた男性陣と、危機感を感じるピンクという、めちゃくちゃどうでもいい人間関係のイザコザが、笑いを誘います。
ピンクの紅一点からあっさり転落してしまう、残念な感じがけっこうリアルで面白いと思いました。
ピンクをそっちのけで、イエローをちやほやしまくる男性陣。最低なヒーロー達ですね。
しかも男性全員がイエローを狙っていたにも関わらず、イエローは最後は妊娠を機に引退という、最悪の脱退の仕方をします。全員の「既婚者かよ…」という残念な表情は、戦隊ヒーローものの作品ではあり得ないオチですよね。
また、イエロー(女子)の脱退を受け、再び呼び戻されたイエロー(オッサン)を前に、何とも言えない表情の男性陣も面白かったです。
あれだけ別れを惜しんでいたのに…。
ピンクがイエロー(オッサン)が帰ってきて、ちょっと嬉しそうだったのは、見逃しませんよ。
- あなたも感想を書いてみませんか?
- レビューンは、作品についての理解を深めることをコンセプトとしたレビューサイトです。
コンテンツをもっと楽しむための考察レビューを書けるレビュアーを大歓迎しています。 - 会員登録して感想を書く(無料)