もっと視聴者目線で作ってほしい - ヤメゴク~ヤクザやめて頂きます~の感想

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ヤメゴク~ヤクザやめて頂きます~

3.253.25
映像
3.50
脚本
2.75
キャスト
4.00
音楽
3.25
演出
3.25
感想数
2
観た人
2

もっと視聴者目線で作ってほしい

2.02.0
映像
3.0
脚本
2.0
キャスト
3.0
音楽
2.0
演出
2.0

目次

視聴者おいてけぼりの印象…

この作品は、警察に実際に存在する、ヤクザ更正を管轄する部署、通称「足抜けコール」を題材にしていて、すごく興味を引かれると思いました。
しかし、ドラマとしてはちょっと残念だったかなと思います。
まず、ストーリーが「視聴者がヤクザの不必要性を理解している」前提で進んでしまっていることに違和感を感じました。
確かに暴力団は良くないものですが、一般の視聴者は、ヤクザが具体的に、社会やカタギの人にどのような迷惑をかけているのかが分からないと思います。

主人公の麦秋はヤクザを徹底的に許さず、ヤクザを辞めたいという依頼者にも、「カタギの方に、今まで迷惑をかけてきたのだから、もっと苦しめ」というような接し方をします。
また、過去にヤクザの指詰めを幇助した女医を、「ヤクザと関わった者は一生苦しむべき」と追い込みます。

しかし、見ているこちらはヤクザに対しての憎しみ等がいまいちピンとこないので、麦秋の行動に対して共感ができないのです。

もちろんヤクザは良くないですが、これはドラマです。作品によってはヤクザが主人公だったり、コメディ調で語られたりもするのです。

少しでいいので、ヤクザが具体的に一般人に迷惑をかけている描写を入れないと、麦秋や他の警官の倫理観に視聴者が付いていけないと思いました。

しかもストーリー後半では、佐田が潜入捜査で組織を内部から崩壊しようとした際には、自分の父親でないことが分かった途端に、作戦を止めるように上司に掛け合ったりします。
これでは、やっぱり麦秋は倫理観から行動していたのではなく、個人的な感情で動いていたのだな、と視聴者は幻滅してしまうと思います。
また、ヤクザの組織が無くなるのは、社会通念上いいことなのに、警察官の麦秋が「止めてほしい」と言っていることにモヤモヤしてしまいます。

このようなことから、やりたいことは分かるのですが、心理的に視聴者おいてけぼりの印象が強く残りました。

回想を長く入れるとつまらなくなる

また、麦秋が今のような暗い人格になってしまったのは、父親がヤクザの組長であるという嫌疑をかけられ(実際に麦秋はそう思っていた)、追い込み部屋で執拗に退職を迫られた結果でした。
それがヤクザを憎む原因ともなっているのですが、「ヤクザは関係なくて、上司のパワハラのせいでは?」と思ってしまいました。
狭い小部屋に閉じ込められて、書類の校正をやらされるわけですが、ぶっ飛びすぎていて現実感がないですよね…。
それでも亡き父を思い、頭を擦り付けて「警官でいたい」と懇願する麦秋…。
正直、「辞めたらいいじゃん…」と思ってしまいました。
もっとお父さんとの絡みが丁寧に描かれていれば理解できますが、そうでもないので、根性を出している理由が分からず、こちらはポカーンとしてしまいました。

また、こうした回想シーンを見ても、主人公に対して「こんな酷い過去があったんだね、辛かったね」とならないんですよね。
主人公に暗い過去がある設定があるのはいいのですが、やり過ぎな感じがしました。
なんだかあざとく感じてしまうんですよね。制作側の「ここ、主人公に感情移入するところですよ」という意図を感じてしまって。
パターン的に回想を入れているように感じてしまいました。

キャラクターについて

主人公の麦秋のビジュアルですが、まず鬼太郎ヘアー(片目が隠れている)にしなくても良かったと思いました。
後半から前髪を切って両目が出るようになったのですが、見ていてそんなに変化を感じなかったので、最初からそうした方が良かったのではないでしょうか。
また、最終回では喪服を着るのを止めて、グレーのスーツで笑顔が多くなった様子が描かれていますが、唐突すぎて勿体ない感じがしました。
せっかく三ヶ島という超明るい人間が相棒になったのですから、回を重ねるごとに人間味を取り戻していくようなストーリーの方が、麦秋というキャラクターに好感を持てたような気がします。その過程をきちんと描くだけで、ドラマとして成立したのではないでしょうか。

麦秋の殺陣はすごく良かったです。
小柄な麦秋がバッタバッタとヤクザ物を倒していくのは、見ていて爽快感がありました。
ヒール靴なのに、スタント無しで大島優子さんがやっているそうで、感心しました。

また、脇役の三ヶ島刑事も面白かったです。
第1話でヤクザを追いかけるのに、「男、男」と言いながら走っているだけで笑えました。
コワモテなのに臆病で情に厚い、いいキャラクターだったと思います。
足抜けコールの面々は、電話番くらいの出番でしかなかったので、もう少し活躍してほしかったです。
勝地涼さんも、もっと物語を引っ掻き回すのかと思いきや、意外とあっさりとした引き際で残念でした。
TBSの堤幸彦監督作品で警察絡みのドラマはこれが最後ですが、今年の4月からスペックの新シリーズがスタートするとのことで、佐田がどこか出て来そうだなと思っています。

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裏と表の世界、どっちが裏か?どっちが表か?

以外なキャスティング性に魅了私が最初に予告を見た時に驚いたことは、大島優子というキャスティングです。あの笑顔が可愛い大島優子が一切笑わない刑事、という役をするのが信じられませんでした。だからこそ、見てみたくなったのかもしれません。意外なキャスティング性がこのドラマを見たいと私を強く引きつけました。そしてもう1人。私を驚かせてくれたキャスティングは、勝地涼です。私はずっと勝地涼をクールなイメージで見ていたものですから、キャスティングだけみると、なんて暗いスートリーと人物設定なの⁈っとおもったことを覚えています。しかし!!勝地涼のあの明るく、でも謎めいた演技‥‥。魅了されました。もっと見たい!もっと見たい!と一瞬でファンになりました。このドラマを見続けたいと思わせてくれたのは勝地涼の力がおおきかったかもしれません。新境地、ヤクザと足抜けを手助けする警察⁈ヤクザや極道の世界は他のドラマや小説、...この感想を読む

4.54.5
  • かほかほ
  • 164view
  • 2055文字
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