「この森で天使はバスを降りた」その森の住人の正体は?彼女がもたらしたのは? - この森で、天使はバスを降りたの感想

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「この森で天使はバスを降りた」その森の住人の正体は?彼女がもたらしたのは?

3.03.0
映像
3.0
脚本
4.0
キャスト
3.0
音楽
4.0
演出
3.5

目次

彼女はなぜこの街でバスを降りたのか?

映画「この森で天使はバスを降りた」は静かな人々の再生を描いたヒューマンドラマです。観てつまらないと感じる方もいれば、感動で号泣してしまう方もいるくらい好みの分かれる映画になっています。ストーリーはある女性の旅立ちからスタートします。主人公のパーシーは刑務所の観光局で服役しながら仕事をしていました。そんな彼女の夢は旅をすること。刑期を終えて彼女は気の向くままバスに乗ります。そして行き着いたのは寂れた街でした。活気もなく、よそ者が来ない街では誰もが彼女に不審な目を向けます。彼女はなぜこの街でバスを降りたのでしょうか。もし、自分が刑務所を出てみたらと考えると、、、やはり自分も誰も知る人のない静かな街に行くかもしれませんね。何もしがらみのない土地で再スタートを切りたいと考えるかもしれません。しかし、仕事に就けないと多分やっていくことはできないでしょう。パーシーもそんなことを考えたかもしれません。そんな彼女に救いの手を差し伸べたのは街でカフェを営んでいたハナでした。決して優しいというタイプではありませんが、頑固者の根は良いおばあちゃんという感じがします。もしかしたらこの後のストーリーに関わりますが、先見の目を持っていたのかもしれません。

ハナは誰に差し入れをしていたのか?

ハナは自営のカフェをたった一人で経営していました。そこにパーシーも加わることとなるのですが、常連客の目は冷たいままです。そんな時、事件が起きます。ハナが足を悪くしてしまい、カフェの仕事ができなくなってしまうのです。そこでハナが考えたのがパーシーに任せるということでした。普通なら、雇い始めたばかりの新人に店を任せるなんてことはしないでしょう。それでもハナはパーシーに何かを見出していたのかもしれません。しかし、パーシーは料理なんて全然できません。そこでハナの親戚の奥さんであるシェルビーに手伝ってもらいます。シェルビーは内気で旦那さんに意見なんて言えないくらいのお人好しですが、パーシーと過ごすうちに徐々に本来の明るさを出せるようになってきます。そこにハナも加わり、いつのまにかカフェが明るくなっていきます。しかし、ここで一つの謎があります。ハナは定期的に夜になると麻袋に食べ物を詰めて置いておきました。それを森から誰かが取りに来るのです。その正体が気になりつつも、パーシーはハナに言われた通りに用意し、森の住人を「ジョニー・B.」と言い、いつしか彼と心を通わすようになっていきます。ここにパーシーの不思議な力を感じます。森に隠れるくらいの住人ですから、本来は誰にも見つかりたくないはずです。しかし、興味津々のパーシーには何故か心を許すのです。ここにはプライベートに立ち入りすぎないパーシーの優しさを感じたのかもしれません。不審者というと、誰もがその正体を明らかにしようとしますが、パーシーにはそのような行動は全くみられません。ただそこにあるものを受け入れる心があります。だからこそ「ジョニー・B.」も彼女をうけいれたのでしょう。

彼女がもたらしたものは?

少しずつ変わり始めた街に事件が起きます。シェルビーの旦那がパーシーのことを追い出そうと店の金を麻袋に入れてしまいます。犯人をパーシーにして街から追い出そうとしたのです。この旦那のしたことは最初見た時は「許せない」と思いますが、何度も見ているとやってしまった理由も分からなくはないと感じるようになってしまいます。彼は多分周りの人々が変わってしまうことが怖かったのかもしれません。特に身近な妻の性格が変わってしまうというのは怖いかもしれません。そして、自分だけ取り残されたくないからこそ、変化の元凶であるパーシーを追い出したかったのかもしれません。そして、パーシーはその袋を何も知らずに「ジョニー・B.」の差し入れ袋に利用してしまいます。そして誰もが森の住人を探し始めてしまうのです。しかし、ハナはそれを止めようとパーシーにお願いします。ハナにとってはパーシーにしか頼めないことでした。そしてそれを知っているからこそパーシーは命がけで追跡を止めようとします。

そして、事件は一件落着しましたが、街はまた活気がなくなったようになります。しかし、それもつかの間で、少し前の明るい街に戻り始めました。パーシーがこの街でバスを降りたのは街の人々に明るさと優しさを取り戻させるためだったのかもしれません。しかし、街にパーシーはもういません。まるで天使が気まぐれに通り過ぎたように物語は終わります。

この映画は人と街の再生を描いています。特に心に明るさや人を労わる心を取り戻した様子はまるで別人のようです。そして、それをもたらしたのはたった一人の地味なよそ者でした。奇抜な演出やアクションはないけど、だからこそじんわりとした人の温かさや優しさを感じられる映画です。

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