ONE PIECE THE MOVIE エピソードオブチョッパー 冬に咲く、奇跡の桜 - ワンピース エピソードオブチョッパー・冬に咲く、奇跡の桜-ONE PIECE THE MOVIEの感想

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ONE PIECE THE MOVIE エピソードオブチョッパー 冬に咲く、奇跡の桜

3.83.8
映像
3.0
脚本
3.5
キャスト
3.3
音楽
3.3
演出
3.0

目次

『ONE PIECE THE MOVIE エピソードオブチョッパー 冬に咲く、奇跡の桜』は、2008年に公開された映画です。


この映画について


この映画は、原作をよく知っていれば知っているほど、最初から違和感を感じることが多いと思います。
まず、サニー号に乗った一味の日常のシーンですが、ここにチョッパーがいない!チョッパーとの出会いのエピソードですので、出会う前の話があるのは当たり前なのですが、原作と切り離して見なければ、サニー号にチョッパーがいないのに、みんな普通に過ごしている…。と、ちょっと寂しい気持ちになってしまいました。(笑)
この映画を見る上では、なんの問題もないのですが。(笑)
そして、原作でのチョッパーとの出会いは、一味がビビを乗せてアラバスタに向かう途中ですが、その辺りのストーリーは、ビビとロビンが入れ替わっているだけでは?という感じ。
内容やセリフも、そのまま使われている所も多かったので、ビビのことを想うと少し切ない気持ちになります。ビビはロビンと敵のまま別れたわけですからね。
ナミが熱を出し倒れたことを、ロビンが発見し、看病します。そこで、ルフィ、サンジ、ウソップは病気をしたことが無いと判明。本当に何者なんですかね、この人たちは。(笑)
ルフィとサンジは分かりますが、ウソップは意外です。ウソップは母であるバンキーナを病気で亡くしていますし、カヤも病気がちだったので、周りの人たちを見てきて、自分は病気をしてはいけないと構えていたのかも知れませんね(島に入ると死んでしまう病などは置いといて)。
ナミが高熱を出して寝込みますが、まだ船医がいません。ここで医者を探しに近くの島へ向かいます。この時のルフィの「医者舵いっぱぁーい!」が可愛くて好きです。また、ドラム王国に着いて、住民に「医者を呼んで下さい。仲間を助けて下さい。」と土下座して頼むルフィ。自ら敬語を使えるとは思っていなかったので、ルフィの新しい一面を見せてもらいました。
(個人的には、原作のこのシーンの、ビビとのやり取りが好きだったんですが…。)
この後、誠意が伝わり国に入れてもらい、医者に会いに行くことになります。


ワポルの陰謀


黒ひげに滅ぼされる前のドラム王国の王はワポルでした。ワポルは、医療の発達している国の医者からさらに、20人を選別し、他の医者達は国外追放しました。なぜこんなことをしたのか?ワポルは、医療の力を独占し、毒薬を作ろうとしたのではないでしょうか。悪魔の実の能力を駆使し、逆らう人々を消そうとしたのでしょう。その力に国民は適わず、医者も国民も従うしかありませんでした。現に、ドラム王国に戻ってきたワポルが雪山に放った数発の爆弾で、街を飲み込む程の雪崩が起きています。
イッシー20も、そのワポルの力に従うしかなかったのでしょう。しかし、ワポルの目的を知っていたイッシー20は、ワポルに隠れ、解毒剤を作り、それが役に立つ時が来ます。
ドルトンは、ワポルは国中の病人を人質に取ったと言います。
ここが、ヒルルクの言っていた「この国は病気なんだ!」ということだと思います。実際に治療をしてもらえない病人も、それによって病んでいく家族も、同じ病気だということでしょう。
大昔に桜を見て不治の病が治った経験をもつヒルルクですから、この世の病気は全て治せると信じ、研究を続けています。
結局くれはがその意思を受け継ぎ、研究を続けて、チョッパーの船出と共に国に桜を咲かせます。ワポルも倒し、桜も咲き、医者も戻ってきて、この時本当に病気の国は救われたのではないかと思います。
この後はきっと、ドラム王国の人々は幸せな暮らしを送っているのではないでしょうか。

チョッパーの過去と現在


チョッパーは、心に深い傷を負っています。鼻が青いという理由だけで親や仲間から見放され、悪魔の実を食べてからは人間からも狙われ、何も信じられなくなります。
くれはがこの話をしている時、城の本棚に、トナカイの本と、人間の体の本があります。
この本は、おそらくどちらもチョッパーの物で、トナカイの本来の姿、人間の生態などを調べては自分が何者なのかということをハッキリさせたかったのではないでしょうか。
しかしその答えは見えないまま現在に至っているので、普通の人からすると自分の姿は恐ろしく、変なものだと思っているように感じます。
「バケモノ」と言われ続けてきたため、その言葉に過剰に反応し、その言葉を聞くだけで自己嫌悪に陥っているように思います。
ヒルルクと出会ってからは、初めて名前を付けてもらい、したことのなかったケンカも経験し、チョッパーは徐々に心を開いていきます。ヒルルクと過ごす日々の中で心の傷も少しずつ癒え、変化も見られます。ヒルルクのためにキノコを取りに行く最中、トナカイの群れに出くわしますが、今までと違い、果敢に立ち向かいます。ヒルルクのために、という想いと、「ドクロを掲げた男に不可能はない」というヒルルクの教えが彼を強くしたのでしょう。
チョッパーと言えば、感情を表現するのがヘタクソですよね。これをすぐに見破ったナミは、海賊に興味があるのかと問い、それにチョッパーは「ねーーよ!!ばか!!!」とかなり動揺して答えます。この後のナミのセリフですが、「分かった分かった、でも…、じゃあ、あんたも、くる?!」です。
私は、この時の「分かった」は、チョッパーの本当の気持ちが分かった、という風に解釈しています。
そして、チョッパー特有の喜びを隠せない表現ですが、映画を観ていると、ヒルルクと一緒にいる時は、素直に喜んでいるように思います。では、いつから表現がヘタクソになったのか?
私の考えですが、ヒルルク以外の人に、素直に感情を出すことが出来ないままヒルルクが死んでしまったのではないか。でもそうなると、現在の麦わらの一味にも心を開いてないのでは?と思いがちですが、決してそんなことはなく、表現が分からないまま癖になってしまったのではないかと思います。
なんにせよチョッパーは、ヒルルクの死を乗り越え、医学を学び強く優しいトナカイに成長しましたね。


黒ひげの狙い


この映画には名前しか出てきませんが、ドラム王国を襲った張本人「黒ひげ」。なぜ黒ひげはドラム王国を襲ったのか?
黒ひげの狙いは、詳しくは未だ明らかになっていませんが、悪魔の実を集めているのではという噂がありますね。
個人的には、ドラム王国が医療が発達していることを知り、医療の力で悪魔の実を作ることができないかと思ったのではないでしょうか。しかしドラム王国は滅ぼされていますから、きっとそれを断った国民に腹を立て、ドラム王国を滅ぼしたのではないかと考えました。


くれはとヒルルク


くれはとヒルルクは、ワポルの医者刈りから唯一逃れた2人です。顔を合わせれば文句を言い合う2人ですが、その信頼関係は本物だと思います。
ヒルルクは、自分が死ぬと分かった時、くれはに自分の研究への理解を求め、チョッパーに医者を教えて欲しいと頼みます。
くれはにしか頼めない、そして、くれはなら受け入れてくれると思ったのでしょう。
これは、この後のヒルルクがワポルに言った言葉に繋がります。
「お前におれは殺せねぇよ。」
ここからあの名言です。
「人はいつ死ぬと思う?人に忘れられた時さ!」
そして、「国も同じだろうか…」と問うドルトンに、「受け継ぐ者がいればな」と返します。
ここが、くれはが自分の研究とチョッパーを受け継いでくれると信じたからこそ出た「お前におれは殺せねぇ」という言葉の真相だと思います。
そして、一つとても気になったことがあります。原作でもそうですが、この映画でも、くれはは左手の薬指に指輪を着けています。まあ、139歳ですから、結婚の1度や2度しているでしょうが、気になるのはその相手です。ここで一つの可能性として、ヒルルクはチョッパーに名前を与え息子と呼んでいます。そして、チョッパーの船出の時のくれはのセリフで、「さぁ、行っといで…バカ息子」というものがあります。くれはもヒルルクと同じようにチョッパーのことを息子と思っていたんですね。このことから、くれははチョッパーを自分とヒルルクの息子のように思い、そしてヒルルクのことも家族のように思っているのではないかと考えました。その証拠として、くれはは薬指に指輪を着けていたのではないでしょうか。真相は分かりませんが、そうだったらいいなと思います。


気になったシーン


フランキー、タンクトップとパンツ1枚で、寒くないのかな…?ということです。(笑)
彼は体の前側はサイボーグですから、
寒さを感じないのかなとは思いましたが、後ろ半分は普通の人間なわけで、服着なさいよ…。と思いました。

続いて、ゾロの発言についてです。
フランキーと2人船に残ったゾロは、「冷えてきたし風呂でも浸かるか」と言ってその場を去りますが、この後、サニー号に搭載してある、偵察潜水艇の中で寝ている所をフランキーに発見されます。これより、ゾロとフランキーの会話です。
フ「だいたいてめー、風呂入るとか言ってなかったか?!」
ゾ「迷った」←?!

まさかの船の中で迷子ちゃん。
たぶん設定的にメリーからサニーに乗り換えた直後なんでしょうが、ヤバイと思います。早く船医を乗せて、ダメに効く薬を与えてほしいと思います。


そして、ラパーンについて。
ドラム王国に生息するウサギですね。ウサギとはいえ体型は熊のように大きく肉食で、俊敏性もあります。
このラパーン、雪国で生息していくためにあらゆる進化を遂げてきたのではないかと思っています。
まず手足が長く、爪が大きいです。手足が長いのは、ドラム王国はかなり雪が積もりますので、雪に体が埋もれないように手足が長く、そして雪をかきやすいように爪が長くなったのではないでしょうか。
あの体型からしてシロクマと言われても信じてしまいそうですが、耳が長いのでウサギですよね。


おわりに


この映画は、どんなに原作を知っていたとしても、やっぱり切り離して観た方が観やすいです。そうでないと、ビビと同じセリフをロビンが言っていたり、サニー号にチョッパーが乗っていなかったりと違和感を感じてしまうと思うので。
内容はやっぱり、感動しますね。特にチョッパーの過去とくれはとの別れのシーンは。大好きです。
くれはも140歳ですから、医療の力を使ってもなんでもいいから、もっと長生きして欲しいと思います。(笑)

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