共感というか、誰しもが感じたことのある気持ちを読めると思います。
適材適所
まず初めに思った感想は、日常が変わらない事なんてない、だから変わらない人なんていない。
日常も人も常に変わっていくからそれに置いていかれないように必死に抵抗する主人公の正也は、変わらない事が良い事だと思っているのかな。
街が進化すれば、それに合わせて街の人々も新しい知識や情報を取り入れる事ができて良い意味でも変わっていくのに、正也は変わる事が怖いのか、変わりたいのに変われない事実が怖いのか、とにかく弱いなぁという印象です。
適材適所。新堂君が言っていた言葉なんですけど、意味は【適材を、適した地位や任務につける】ことです。
自分が適材になるのか、自分に適材をつけるのか、どちらにするかで高校生活なんて大きく変わるでしょう。どちらが自分にとって良いのかなんて分からないけど、人はどちらかに必ず当てはまっているのではないだろうか…と高校時代を思い出したりしました。
新堂君にとっての適材は桃子?正也?
正也にとっての適材はりさ?山口くん?
意外と深く考えてしまう漫画だなと思いました。
蚊帳の外
自分自信で、自分は変わったなぁと思っているうちは変われていないという事なんだろうなと思いました。
見てわかる言動ではなく、内なるものが変わらなければ結局置いてけぼり。
童貞卒業とか、セフレとか、遊んでいれば勝ちとか、単純すぎるけど、正也にとっては大きな出来事。自分は変わってる!と思える、目に見える成長なんだと思いました。
実際そういう人って多いと思うし、内面なんて深く付き合わないと分からないし、意外とリアルな高校生を描いていると思います。
桃子もなんだかんだ正也と同じ。ダイエットに成功して読者モデルになって、自分が新堂の適材だったのに、今度は新堂を適材にして、学校祭で見せびらかすかのような行動と、りさへの言動。
目に見える変化っていうのは、本当の変化なのかな。それはきっと自分自信が一番分かっているのだろうけども、分かりたくないところなのかも。
他人の目に見える変化が大きければ大きいほど、自分の変化が無かったかの様に思えてくる。きっとそれは変わってなんかいなかったからなんだろうと思います。
開き直り
自分は変わってなんかいなかったんだ。成長なんてしていなかったんだ。開き直って客観的に自分自身を見つめ直せた時、人が大きく変わった瞬間なんだろうなと思いました。
実際に山口くんが着々と変化している時は、目で見える変化がないから誰も気づかなかったけど、泣きながら正也に気持ちをぶつけた瞬間が山口くんにとっての開き直りで成長だったんだと思う。
それぞれが成長していくんだけど、わたし的にはやはり正也と桃子が良い感じになっていく終わり方が理想だったなと思います。
それでも、それぞれの成長や挫折、開き直りがテンポ良く繰り広げられていて短い漫画の中でたくさんのキャラがそれぞれ違う変わり方をしていました。
すごく引き込まれる漫画であっというまに読み終えて、また読み返してしまいます。
良い話だった!という漫画ではありませんが、皆一度はこういう気持ちを経験するだろうし、多くの人が共感出来る作品なのではないかと思います。
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