子供向けだと思って侮るなかれ
私とこの映画との出会い
私がはじめてこの映画を見たのは、小学生の頃だったでしょうか。当時、ポケモンブーム真っ盛りで、そのときの私もポケモンにハマっていて、アニメは毎週録画、ゲームも出る度買っていましたし、おもちゃも親にねだって買ってもらっていました。いわゆるポケモン世代です。そしてそうなってくると当然映画も新作が出る度、親に連れていってもらうんですよね。そういったわけで、私はこの映画が公開されてすぐに、劇場で見ることになりました。それが、私とこの映画『劇場版ポケットモンスター アドバンスジェネレーション 七夜の願い星 ジラーチ』とのはじめての出会いでした。
当時の私の反応、そして今の私の感想
さて、ポケモン大好きっ子だった私ですが、その当時この映画を見たときの感想といえば、正直な話、あまりよくは覚えていません。二度目に、小さな頃にビデオに録っていたこの映画を再び見るまでは、なんか感動的だったなあ、とかジラーチがかわいかったなあ、とかいううすぼんやりとした曖昧な記憶しか残っていませんでした。まだ幼かった私にとってその内容は、難しかったのか、あまり心に響くものではなかったのかもしれません。もしくは、劇場でもらえたポケモンが嬉しくて内容があまり入ってこなかったのかもしれませんね。しかし、どうでしょう。この歳になってこの映画を見ると感動で少しうるっときてしまいました。ポケモン自体は子供向けとされていますが、もしかすると大人だからこそ心になにかくるものがあるのかもしれませんね。子供向けだからこそ、大人が心のどこかに忘れてしまったなにかに気付かせてくれるのかもしれません。それは愛なのか、友情なのか、勇気なのか、はたまた別のなにか・・・人それぞれその答えはあると思います。この映画をみて、何を思い出すかはあなた次第です。
ポケモンと少年の絆の物語 、そして・・・
さて、この作品の内容ですが、平たく簡単にいえば、ポケモンと少年の絆に関する物語でしょうか。他にも姉弟愛などの要素もありますが、物語の大半はこれがメインだと思います。これだけいえば、本当にありがちなものに思えます。しかしこの作品はそれだけではないのです。私がこの作品について一目置いている点、それは敵の存在です。普通、当時によく見受けられたこういった映画には珍しく、この映画では敵の過去についても強く触れられています。この過去というのもなかなかに重いものなのです。悪人でありながら、それには深いわけがあったのです。今でこそ、敵の過去に触れ、その敵が改心したりなどというシチュエーションは多く見られるものの、当時ではなかなかなかったのではないかと思われます。これはきっと目に見えるものが全てではない、ということを表しているのでは、と考えました。当時小学生だった私には理解できませんでしたが、この映画は子供たちにより広い視野、豊かな心をもうけようとしたのではないでしょうか?ポケモンは世界的に有名なものでありますから、その影響力もはかりしれないでしょう。だからこそ、率先してこのような作品をつくったのではないでしょうか。 ポケットモンスター一番の名作とされるミュウツーの逆襲もなかなかにメッセージ性の強い作品でありましたし、他にもポケットモンスターシリーズの映画はなかなか他にない魅力がありますよね。七夜の願い星 ジラーチも評価されている作品のひとつです。
現代社会に疲れている大人の皆様へ
最後にもうひとつだけ、この作品の魅力について語らせていただきたいと思います。この作品では、タイトルにも七夜の願い星、とある通り、物語に数多く夜空や星たちが映し出されます。これがまた美しいのです。そこに被さるのは、ゆったりとした優しい歌声。それはまるでずっと昔母親が聴かせてくれた子守唄のように優しく心を撫でてくれます。疲れた心を癒すのにはうってつけです。もちろんバトルシーンや笑いを誘うような楽しいシーンも数多くありますが、その合間に夜空と美しい星々が度々登場し、心を優しく包まれるような感覚に陥ります。ここにもどこか製作者様の意図が込められているように感じられます。きっと製作者様もこの作品を作るにあたって、なにか願いを込めたのでしょう。そしてそれが見ている人にも伝わる、この作品を見ることによって、忙しい毎日の中でどこかに忘れてしまっていたなにかを取り戻し、疲れた心を癒し、純粋だった頃の気持ちを思い出すことができるはずです。私も今でも、疲れたときや思い悩んでいるときはこの作品を実家に帰って、見たくなります。そしてまた、見るたびに違ったことに気付き、感じとり、別のメッセージを受け取り、人間としてまた一歩成長するのです。前の方にも述べた通り、大人だからこそこういった子供向けの作品を時折見ることも重要なのだと、私は思います。初心わするるべからず、と似たようなものでしょうか。
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