暴想処女を読んでみた - 暴想処女の感想

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漫画レビュー数 3,135件

暴想処女

4.304.30
画力
4.20
ストーリー
4.20
キャラクター
4.30
設定
4.40
演出
4.40
感想数
1
読んだ人
1

暴想処女を読んでみた

4.34.3
画力
4.2
ストーリー
4.2
キャラクター
4.3
設定
4.4
演出
4.4

目次

好感が持てる漫画

ネットで暴想処女1巻が無料公開されている時があり、何となく興味をそそられて読み、このマンガに出会いました。表紙のヒロインが黒髪短髪の女子高生で、万人受けするというか、客観的に見ても多くの人が可愛いと思えるキャラクターです。

主な登場人物は、牧野弥生(ヒロイン)と鈴木勇太(相方)です。このふたりは同級生なのですが、林間学校で肝試しが行われる際にペアとなり、初めて繋がりを持つことになります。お互いにとても純真で誠実なのですが、見た目が怖い鈴木に、(性的な意味で)過度の被害妄想癖のある弥生が相まってエロシーンへと突入していくわけですが、この第1話からして重要なポイントがひとつ挙げられます。それは、弥生が処女を貫き通すことに強いこだわりを持っていることです。理由は母親との約束がある為なのですが、この設定が読み手側に1つこの漫画を読む意義を与えてくれます。

エロい漫画を読む者として、ヒロインの女の子が処女であることは、それだけで評価が上がると言っても過言では無いでしょう。弥生は鈴木に犯されると思い込むと、処女死守の方法として逆姦を行い、男の性欲を自身の貞操を守りつつあの手この手で鎮めにかかります。その過程で描写されるシーンが一番の見どころで、期待に叶ったエロさと爽快な笑いを与えてくれます。俗に男と女の性的表現というと、妙にリアルで生々しいものもありますが、この漫画において表現されるそれは、綺麗な絵と明快に展開されていく心地の良いエロです。なので、二人のキャラクターに充分な好感を抱きながら、気持ちよくこのエロ漫画を読めます。

二人の関係性の進展について

全10巻から成る暴想処女ですが、弥生と鈴木が恋仲として互いに通じ合うまでは非常に展開が遅くなっています。最終10巻になっても、手を繋いで歩くことが好感の深まりの大きな進歩として表されてもいます。見た目に反して誠実な鈴木と、常に彼に対し警戒心剥き出しの弥生は、事あるごとに妄想が爆発する事によって逆姦に至る訳ですが、互いが相手を想う印象にチグハグ・ズレが存在するので、ストーリーに深みが表れています。詳しく説明すると、鈴木は弥生に接する内に弥生にどんどん惹かれていき、一途に好いていく訳ですが、奥手なためなかなか積極的に行動はできません。対して弥生は鈴木を性獣と捉えており、暴想モードに陥ってしまうと手がつけられない程の逆姦っぷりを披露し鈴木を激烈にやっつけてしまうのです。しかし、弥生は天然なので気づいていませんが、本気で嫌ってはおらず、好きという感情に気がつけないでいます。

そんな妙な関係性のために二人はドタバタと面白く、エロく、学生生活を送ってゆく訳です。

細かな情報や、特性、主題を踏まえて最後にまとめ

この作品に登場する人物の数は、それほど多くはありませんが、その分1人1人のキャラクターは色濃いものとなっており、単なるエロ以上のものを読み手側に与えてくれると思います。

ヤリチンである輝山、優しい友人の秋ちゃん、癒しのモリモリ、悪戯好きの白百合等、個性豊かなキャラクターたちが作品に彩りを添えてくれます。そして、肝心の逆姦エロシーンについてもう少し述べると、弥生(作者酉川宇宙氏)が頭を捻って毎度毎度生み出す逆姦技は、見ていて別の意味でも興奮すること請け合いで、飽きが来ないようきちんと工夫がなされています。作品に丁寧な配慮が見られることが、率直にこの「暴想処女」に対する印象を良くしてくれます。

お馴染みの逆姦であり、ワンパターンな展開では確かにあります。然しそれは、この作品のコンセプト、設定上、仕方の無いことでむしろ特性として捉えるべきです。そしてそこに、恐らく単なるエロだけに留めさせてはおくまいという意志からなる多彩なストーリーと表現が見られ、時には雑学豆知識等を組み込んだ笑いをも与えてくれます。

酉川宇宙が手がけた作品の中でも長期に渡って連載が叶った作品であり、それに相応しい読み応えのある内容になっていると思います。どうせエロ漫画だろ、などと一概に吐き捨てることは出来ない、素晴らしい作品だと思います。二人の行く末が気になるエンドに名残惜しさを感じさせられ、10巻ながらに一気に読めてしまう夢中になれるものを秘めています。

良い評価に反して悪い評価というか反対・逆の評価を挙げておくと、当然ながら、リアルでは絶対に起き得ない様な事柄が、連続に繰り広げられます。しかしそれも、常識を甚だしく逸脱するようなものではありません。誰もが寧ろ思い描く日常が基盤となっていて、そこに刺激的なエッセンスが巧みに折り混ぜられているのがこの漫画です。漫画、読み物として俯瞰し少し引いた目で捉えていけば、この作品から得られるものが思っていた以上に多くなり、あぁ読んで良かった面白かった、と作品同様にきっと良い結末が得られると思います。

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