まるで大人の恋
絵の描写がリアル
冒頭で七葉がけがをするシーンがものすごくリアルっていうか。馬にやられる傷ってあんなにエグいものなのかって思うくらいひどいなと思いましたね。肉が裂けているっていうかもはや皮膚ごと持っていかれたくらいの大けがだったと思います。女の子でましてや高校生でこれだけの傷ができちゃうなんてショックでしかないと思います。というよりもまず痛さが尋常じゃないと思うんですよね。なにより刑部さんの作品って描写がすごいリアルっていうか独特な世界観があるんですよね。とくに傷とかを描くところがリアルだと思うんです。ちょっと痣が・・・とかちょっとけが・・・っていうところも甘く描かずやりすぎなんじゃないかってくらいしっかり描いているのでそこがすごいなと思いますね。ただけがとかそういうのをあまり見たくない私からしたらなかなか直視しにくいなっていう感じでした。でもそれでも何度か読むうちになれちゃいましたけどね(笑)
絹の生い立ちが何とも言えない
名家に生まれた人って恵まれていると思いがちですけど全然そんなことないんですよね。むしろ名家だからこそ色々な目論見を持った人に狙われるというか。特に絹は見た目からしてとってもきれいな顔立ちをしているから女の人達から狙われるのはしょうがないと言えばしょうがないんでしょうけど。それにしたってまさかの初体験を自分の担任の先生に奪われるなんてとてもじゃないけど想像できないですよ。ましてやそれが小学生って。先生も何を考えているんですかね。いくら絹が魅力的だからって相手は小学生ですからね。そこは何があっても犯しちゃいけないタブーだと思うんですよ。理性がきかなかったんですかね。絹からしたらただただ気持ち悪い行為でしかなかったと思います。本来であればまだそういうことをするような年じゃないですし、そういうことに対しての知識だってほとんどなくてもしょうがないくらいですからね。小さいときからそういう経験ばっかりしてるんですもん。女性に対して不信感とかそういう気持ちを抱かなくなるのも無理ないと思うんですよ。自分に寄ってくるのは見た目だけで判断してくるような人たちばかりでしたからね。普通では考えられないようなことが描かれていたので、衝撃はすごかったですね。まさか小学生を犯すなんて。内容はすごいドロドロしているというかちょっと普通じゃないなっていうのがこの漫画の魅力でもあると思います。だから七葉との出会いは絹にとって今までの女性像を大きく変える出来事だったと思うんです。名家の生まれだっていうのを抜きにして真正面から自分と向き合ってくれる存在なんて今までいなかったわけですからね。だからこそ七葉の言動は絹の中で大きく印象に残ったんでしょう。
見た目ほど過激じゃない
本の表紙とかタイトルからしたらちょっと過激な描写が多いのかなっていうイメージがあったんですけど、読んでみたらそんなに描写的には過激な感じはなかったですね。内容は過激だなって思いましたけど、そこの描き方もそんなに激しくないというか、どちらかというとオブラートに包んだなーっていうのが正直な感想でした。まぁ、刺激が強いかなっていう場面もなくはなかったですけど、全体的に想像していたよりは低刺激だったと思います。多分、過激な描写が少なかった分ストーリーがしっかりとはいってきたんでしょうね。そしてやりすぎな感じがないからリアルな感じが出てていいなって思いましたね。
ヒロインがいっぱい
こういう少女漫画にしては珍しくヒロインが多いと思います。というか三部構成みたいになってて場面展開が変わる度にヒロインも相手も変わっていくので見ていて飽きませんでしたね。私の中で桃ちゃんは強烈に印象に残ってますね。興奮すると体の痣が浮き出てくるってなかなかいないと思います。というか痣って消えるものだと思ってたんですけど、消えないものもあるんですね。ましてや普段はないのにふとした時に出てくるなんてことあり得るんですね。タトゥーとかだったら熱とかで浮き出るものってあるんですけどね。それと似たような感じってことだと思うんですけど、それにしてもかわいそうだなと思いました。父親から虐待されてたとしてもあんなにひどいのはそうないと思います。そういうところに現代の家庭環境を出しているというか。そういう時代なんだっていうことを物語っているからちょっと切なくなっちゃいましたね。でもそれをあきが救ってくれたからよかったですね。それからの桃ちゃんの健気さもなんともいじらしい。決して前に出ることはしないで陰からひっそりとっていうか一歩引いている感じが大和なでしこっていう感じなんですかね?あーゆー子を世の男性たちは求めているんでしょうか(笑)この漫画に出てくるヒロインはみんなタイプがバラバラなので見ごたえがありました。七葉は元気はつらつで王道の主人公って感じの子だし、綾はちょっとお嬢様な感じなんだけど、危ない恋に燃えるタイプみたいだし、それぞれ特徴的な子たちだから色んな恋の様子が描かれていてよかったですね。
内容が詰め込まれている
この漫画でただ一言いうのであれば、物凄く詰め込まれているなっていうかストーリーが濃いなっていう印象でしたね。一つの話を完結させるんじゃなくていくつも枝分かれしている物語を平行しながら展開させているので場面展開が忙しいというか。ちょくちょくつながるところもあるんですけど、ほとんど個々で成立しているので一度で内容を理解するのは難しいなと思いましたね。1つのカップルの話がある程度落ち着いてきたところで別のカップルに・・・ってかんじだったので、どれも中途半端に進んでいっていたなっていう感じでしたね。途中でメインキャラ以外のストーリーも入ってきたりしてなんかわちゃわちゃしているなっていう印象が多かったですね。刑部さんの作品の特徴でもあると思うんですよね。いろんなキャラの話を同時進行で展開していくのって。だからそれに慣れていればなんなくついていけるんですけど、読んだことがない人が読んだらちょっとついていけなくなっちゃうかもしれないですね。でもそんなにボリュームがあるわけじゃないのでまだいいんだと思います。これでものすごいボリュームになってたら読むのに疲れちゃいますからね。これくらいが程よい疲れっていう感じでいいと思います。普通の少女漫画に飽きてきたら読むのがいいのかもしれませんね。今までにないタイプの漫画だから新鮮な気持ちで読むことができるし。王道だけじゃ物足りないと思っていた時に出会った作品だったので、その分の衝撃は大きかったですね。こういう漫画もありだなって思える作品だと思います。漫画を読んでいるというよりはちょっとした小説を読んでいるかのような錯覚も起こしましたね(笑)世界観がちょっと和風っていうかこれぞ日本だっていう雰囲気漂う漫画なので少女漫画らしくないと言えばらしくないのかもしれませんね。内容もちょっと大人向きというか官能漫画とかまではいかないにしても高校生とかよりももう少し上の人向けの漫画なのかもしれませんね。私がこれを読んだのも高校生くらいの時だったんですけど、ちょっと内容が理解できない所もありましたからね。大人になった今読んでやっと理解できたっていうところも少なからずあるので対象年齢は少し高めかなっていう印象ですね。
- あなたも感想を書いてみませんか?
- レビューンは、作品についての理解を深めることをコンセプトとしたレビューサイトです。
コンテンツをもっと楽しむための考察レビューを書けるレビュアーを大歓迎しています。 - 会員登録して感想を書く(無料)