素晴らしい映像美
BADポイント
- 一般受けはしないと思います。ヘタすれば謎が多すぎて分かりづらいがために逆にアンチがつくでしょう。(私は好きですが。)
- メインヒロインである草薙水素の名前が草薙素子(攻殻機動隊の主人公ヒロイン)っぽい。髪の毛が短く、強気な女性が好きな押井監督らしいといえばらしいです。ですが、(発言は似ていなくても)名前まで似せなくても良かったのではないかと思います。
- メインヒロインの水素の声が菊地凛子さんだったこと。押井監督が菊池さんが好きなことはうっすら理解していますが、声を荒げるシーンの違和感や、端々に出てくる棒読み感はかなりの違和感を覚えます。途中で出てきた女の子パイロット、三ツ矢の声が良かっただけに菊池さんの演技の浮き具合は際立ちました。
- これはいろんな人が言われることですが、今までのオープニング音楽からすべての音楽が幻想的な曲であったのにいきなりエンディングで絢香さんが担当したこと。勘違いはしないで欲しいのですが、絢香さんは好きです。ですが、今までのイメージが総崩れしました。非現実的なこと(?)を描いてきたアニメーション内容に対して、現実的な感情を載せて歌うのが得意な絢香さんの曲はミスマッチであったと思います。
GOODポイント
- 素晴らしい映像美で、空の色合いは魅了されます。地上で待つ人達の背後から下から覗いているかのようなアングルが有りますが、このシーンも素晴らしいです。
- キルドレであるがゆえ、苦悩する水素は一件大人びて見えるのに、とてもわがままな子供にさえもなること。優一は子供であるのにとても大人です。上の人間に水素が乗り込んだ時に「これだから子供はこまる……おっと」という嫌味を物ともせず、「でも、いつ死ぬかもわからない人間が大人になる必要なんてあるんでしょうか?」とのような言葉を返すこと。戦争のない平和のための茶番劇をやらされている事実をキルドレはみんな知っていてそれでも戦い続けている、というのをいやというほど実感させられた切ないシーンでも有ります。
- なんとなくはみんな繰り返しているということを知っていること。そして、水素の妹(娘)は自分を追い越して成長していくということ。その際のセリフも切ないですが、娼婦であるフーコと優一のセリフも切ないです。特にフーコがかなり察している様子であるからこそ、くるものがあります。
- 戦闘中のスピード感は見ものです。
- キルドレやキルドレに関わる人達の切なさ。二周目を見ていただければこのシーンは本当は確認だったんだなと思うところが多々あります。
まとめのような自己解釈
上記でもネタバレは入っていましたが、ここからは大いにネタバレと自己解釈を含みます。嫌な人は見ないでください。
押井監督は「これは誰がなんと言おうと恋愛映画だから、それが伝わらなかったらその時点で失敗なの」と言っていたように思います。一字一句まであっていたかは覚えていません。一回見ただけでは私は映像美に魅了され、キルドレの運命に翻弄され、いまいちなんのことだかわかりませんでした。少なくとも私には、水素はティーチャーと寝、優一のひとつ前の個体、ジンロウを愛し、優一とも恋仲になっていたように見えたためです。優一とジンロウはまだいいとして、二人と寝たわけだしな、そう考えていました。優一の最後の日本語字幕・ティーチャーを撃ち落とす。が、「キル マイ・ファーザー」と聞こえるまでは。正式にはそれが聞こえた時も水素だけでなく、優一も気づいてて、本当は死ぬとわかっててそれでも少しでも何かが変わることをかけたんだな、という切なさしかありませんでした。ですが、よくよく考えれば、キルドレは失っても何度でも再生できる個体。その個体を作るためには元となった人間がいるはず。そして、優一はティーチャーと同じ攻撃ができた。成長し続ける大人の男であるティーチャーが優一の元となった人間だとしたら?=だからお父さん?
そう考えると、どんなに戦闘能力に長けているとしても優一は何度挑もうと成長を続ける事ができるティーチャーに勝つことはできず、そして水素はキルドレでありながらただティーチャーをずっと愛し続けていたということなら押井監督の発言が少しわかるような気がします。そして、戦うたびに愛する人(半身?)を失い絶望に打ちひしがれる水素のことも珍行動に見えるわがままな行動等も、理解できるのではないかと思います。
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