反社会勢力との駆け引き - switch スイッチの感想

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switch スイッチ

  • 声優
3.603.60
映像
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ストーリー
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キャラクター
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声優
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音楽
4.00
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反社会勢力との駆け引き

3.63.6
映像
5.0
ストーリー
3.0
キャラクター
2.0
声優
4.0
音楽
4.0

目次

麻薬取り引き

現実社会の闇をテーマとして扱われている物語で、重苦しい雰囲気があります。

登場人物たちに緊張感を感じられる部分が少ないことで、アニメ本編は、普通の他アニメ作品と同じように観ることができます。しかし、本編の中で、行われている潜入捜査や、おとり捜査と呼ばれるものは、日本警察では馴染みがありません。しかし、日本がそれを禁じているのは、世界各国からすれば、稀なケースのようです。現実社会においては、こういった捜査が行われているのが、一般的なのだそうです。捜査を進めて、犯罪組織の壊滅を図る目的と、裁判の証拠を集める目的を担っているのだそうです。

しかし、日本警察においても、潜入捜査・おとり捜査の全てを禁じているのではなく、公安と呼ばれる部署があります。

この作品のように、反社会組織の捜査を行うことはないそうですが、反体制の活動を取り締まることが目的のようで、過激な思想をもった政治組織や宗教団体を対象としているようです。犯罪組織と、過激な反政府組織や宗教団体では対称とするものが、明らかに違います。

しかし、日本国内においても、このような仕事に従事している方が確実に現実社会に存在することも間違いのない事実なのです。

そういった観点でみると、このOVA作品も違った見方ができるのではないでしょうか。

ただ、現時点での日本警察の麻薬取り締まりは、このアニメ作品とは明らかに違うものであり、創作物という域を出ません。ドラマにおける刑事ドラマも、現実社会の警察組織や捜査員とは違うものであることは、一般的にも知られていることだと思います。

当作品においても、想像力を膨らませ、原作者の妄想に付き合うつもりで観なければ、本編を楽しむことができないです。そういった心構えや気持ちが、観る側に求められるのだと考えられます。

ボーイズラブなのか!?

アニメ本編において、女性キャラクターが一切登場しません。

嫌な予感がしましたが、嫌な予感で終わりました。

その点においては、少し安心させられた、というのが率直な感想です。ただ、主人公のカイにおいては、ハルに向けられた発言や気持ちは、ボーイズラブの要素を全て否定できるものでもないように思えます。疑惑のままにアニメ本編は締め括られましたので、一般的な男性目線から観ても、まだ辛うじて許される範疇だったのではないでしょうか。

しかし、ボーイズラブというジャンルに人気があるのも、現実社会における事実です。

そういった層に向けられた内容であり、描写であるのも間違いないように思います。きっと、観る側が好きなように解釈ができるような作品作づくりがされているのではないでしょうか。明らかにボーイズラブの描写がないことで、一般人向けを意識しているように思います。しかし、腐女子と呼ばれる層を意識しているようにも感じられます。

そうじゃなければ、明らかに、カイのハルに向けられた気持ちは不自然です。

男同士のコミュニケーションや付き合い方の範疇を超えたものだと考えられます。それか、原作者の方が、ボーイズラブを嗜好されていることも考えられます。原作者の方が、男性なのか、女性なのか、考えてみたときに女性なのだろうと容易に予想できます。

世間一般における定説として、女性の作家が描く、男同士の距離感は近すぎることが多いというものがあります。

そして、それは、そのまま逆のこともいえると考えられるのです。女性が男性同士のコミュニケーションの在り方を知る術はありません。そして、男性においても、女性同士のコミュニケーションの在り方を知る術はありません。

男性と女性の差、目線の違い、コミュニケーションの在り方が違うことが伺えるのです。

ちなみに私の個人的な見解として、男同士のコミュニケーションが不自然である当作品の原作者は、女性なのだと予想しています。

麻薬組織と植物園

アニメ本編で、この繋がり・関連が明らかになってきたとき、容易に黒だと予想できます。

しかし、ここからは証拠集めや、立証することを目的として、登場人物が行動していきます。観る側として、もどかしい気持ちになってきます。ただ、犯人を付き止める刑事ドラマとは違い、証拠集めや立証することが目的となってきている展開は、ある刑事ドラマと類似しているようのだと考えられます。

それは、刑事ドラマ「警部補 古畑任三郎」の存在です。

刑事ドラマ「警部補 古畑任三郎」は、話の冒頭に犯人が誰なのか明らかにして、主人公の古畑が、状況や証拠から推理して、犯人を特定するまでのプロセスを描く作品です。あまりに違う雰囲気の両作品ですが、そういった観点では同じ内容であり、同じ方向性の物語だと考えることができます。

そして、家宅捜索においても、立証できる内容がないと実施することができません。

だから、立証する内容を探すために、捜査員は更に危険な状況に追い込まれていくのだと考えられます。誤認逮捕を防ぐためとはいえ、こういった状況や捜査員の安全を考えると、観るに堪えないことのように思えます。

本音の読み合い

反社会勢力が三つ在り、それぞれが利害を争っていることで、複雑な状況が描かれていました。

そして、それぞれ違う組織に潜入捜査しているカイとハルが、お互いの組織との信頼関係を試され、銃を向け合った場面が印象的でした。それぞれの場面に布石を置き、原作者としては、この場面を描きたかったのだと考えられます。

観る側として、緊張してしまい、手に汗を握ってしまう場面です。

そして、こういう状況下でのカイという主人公の考え方や行動を、原作者は描きたかったのではないでしょうか。

この場面、お互いに撃って、お互いに死んだように見せるべきでした。

そのことで、別の情報が掴めたのかもしれなかったです。しかし、カイの感情は、理性で理解していながらも、それを実行することを許しませんでした。これは、理論的で整合性のある行動ではありません。むしろ、直情的なものであり、浅はかな行動です。カイがハルを殺すことはなかったですが、死ななかったハルも、自身が潜入していた組織の者に殺されていた可能性は大きいです。

結果的には、「マトリ」捜査員がタイミング良く家宅捜索で踏み込んだから、助かっただけなのです。

しかし、原作者は、ハルの決断と行動に、「理性<感情」という図式を明確なかたちで打ち出したかったのではないでしょうか。そして、その図式は人間の根底部分であることを表したかったのだと考えられます。

色々な解釈ができると思いますが、私は個人的にそのような受け止め方をしています。

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