作品の存在意義 - グレンラガン パラレルワークスの感想

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グレンラガン パラレルワークス

  • 声優
4.204.20
映像
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ストーリー
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キャラクター
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声優
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音楽
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感想数
1
観た人
1

作品の存在意義

4.24.2
映像
4.0
ストーリー
2.0
キャラクター
5.0
声優
5.0
音楽
5.0

目次

本編の在り様を考える

当作品の本編には、ストーリ性は一切ありません。
また、セリフの吹き込みもなく、音楽と映像だけで構成されている作品です。観た印象として、アニメ作品というより、プロモーション映像という感じが強いです。
短い映像で、声優による吹き込みもないことから、制作コストとしては抑えられたものだったのではないでしょうか。当作品をアニメ作品とするなら、制作コストが非常に安上がりであることが、容易に予測できます。
また、各話に設けられたサブタイトルは、本編に関連性が薄く、ただ適当に付けられたものだと感じられます。
音楽とアニメーションによって、世界観やキャラクターを紹介することに留め、物語本編に誘導しようとする意図があったのだと考えられます。
また、誘導する対象は、アニメ本編だけではないとも考えられます。
第2話においては、パチンコ台の存在が強調されていました。そのことから、パチンコ台としてリリースされている「CR天元突破グレンラガン」の稼働促進という狙いも感じられる内容になっています。スポンサー企業を意識した内容であることも伺えることです。そして、パチンコにおける要素は、細かい描写がされていました。盤面における釘の配置や、風車の存在、玉の動き方は細かく、スポンサー企業が全面的に技術協力していることも垣間見えることです。
ただ、当作品の映像は、アニメ本編本筋ではありえない場面が多いです。
シモンの幼少期や、成長した姿が混在しています。そして、カミナにおいては、シモンの幼少期に死んでいます。そのことから、シモンの成長した姿と、カミナが、同じ場面で描かれることは物語本編ではありえないことです。
そんな原作や、本来のアニメ本編では観ることのできない夢の共演が実現されているのです。作品タイトルの「パラレルワークス」という名前の指す通りのことではないでしょうか。
上記のことからいえるのは、本来の目的は、物語の本筋といえるアニメコンテンツに誘導することなのだと考えられます。
しかし、パチンコ台の稼働促進である目的も担っています。そして、アニメ本編を観た後に、これだけでも楽しむことができる、本編とは関連性のない映像としての存在価値もあるのではないでしょうか。
制作された目的に、さまざまな要素が交差しているだと考えられます。

カミナとヨーコ

本来の物語本筋において、カミナとヨーコは、お互いに惹かれながら、残念ながら結ばれることがありませんでした。
前述したように、結ばれる手前で、カミナは死んでしまったからです。それは、ファンとしても消化不良な展開だったと考えられるのです。そして、カミナのカリスマ性やキャラクターの魅力は高く、好感度は高かったのではないでしょうか。皆さんに愛されたキャラクターだったからこそ、死んでしまった展開の消化不良の度合いも強いと予想できます。
しかし、仲の良いカミナとヨーコの絡みは、当作品の中で実現されています。仲睦まじい姿は、微笑ましいものを感じさせます。アニメ本編の中では、実現されることのなかった展開ですが、叶えられなかった夢の展開が、当作品の中で実現されているという意味は大きいだと考えられます。
どうしても、心の中で、自分自身が好きなキャラクターのハッピーエンドを望む気持ちはあるのではないでしょうか。
しかし、アニメ本筋本編で、それを実現してしまうと、突拍子のない展開になってしまうことでしょう。そして、簡単に生き死にしてしまうことで、「死」そのものの意味が軽くなってしまうのです。
実際にそれをやっているのが、「ドラゴンボール」です。「ドラゴンボール」において、「死」の意味は非常に軽いです。
パラレルという仮想世界を作ることで、アニメ本筋に影響を与えることもなく、夢の映像も実現されます。
そんなファンの希望や夢を叶えた映像であるのだと振り返ることができます。

音楽の強調

「グレンラガン」という作品においては、音楽についても、制作スタッフは自信をもっているのでしょう。
セリフのない映像は、耳から入る情報は音楽のみです。それが意味することは、アニメ本編で使用している音楽への自信の高さなのではないでしょうか。
自信がなければ、音楽のみで形成するアニメ作りはできないように思います。
逆に考えると、音楽に魅力がなければ、当作品の魅力も比例して弱くなるのです。しかし、それをしている事実は、制作スタッフの音楽における自信の高さの表れだと受け止めることができるのです。音楽のみの音声で構成することで、制作コストを抑えたかったのかもしれません。しかし、それだけでできることでもないと考えられるのです。
特に、当作品の後半においては、音楽性の魅力を打ち出すものに、明らかに変化しています。
映像そのものは、音楽に合わせて制作されているのではないでしょうか。サブタイトルの表記においても、音楽名を打ち出すものが並んでおり、その事実を表していることは明確なのではないでしょうか。

考察のまとめ

・劇場版アニメの誘導を目的として制作された映像である

・パチンコ「CR天元突破グレンラガン」の稼動促進の目的も兼ねている

・コンテンツファンにとっては、本編では叶わない夢の映像である

・使用されている音楽にも、制作スタッフは相当の自信をもっている

上記の点から、制作された目的が絞り込まれていないことがいえます。

そのことから、本来の物語本編とは関連性がない「パラレルワークス」という設定が適切であり、企画としては成功しています。そして、「パラレルワークス」の映像を通して、物語本編を観て、「パラレルワールド」に帰結するようにも考えられます。コンテンツファンにとって、夢の映像であり、消化不良の部分を補う内容だからです。

そして、音楽にも自信をもち、プロモーション映像として紹介できる内容になっていることで、運転中に車中で流す映像としても使われることを想定されているのではないでしょうか。

そういった流され方、誘導が、この「パラレルワークス」というアニメ映像の存在意義なのだと考えられます。

 

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