壮絶なる復讐劇 - 絶対衝激~プラトニックハート~の感想

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絶対衝激~プラトニックハート~

  • 声優
4.604.60
映像
5.00
ストーリー
4.00
キャラクター
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声優
5.00
音楽
5.00
感想数
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観た人
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壮絶なる復讐劇

4.64.6
映像
5.0
ストーリー
4.0
キャラクター
4.0
声優
5.0
音楽
5.0

目次

唯一例外の絶対キャラクター

OVA作品「絶対衝撃~PLATONIC HEART~」の登場人物は、ほぼ例外なく全裸に近い状態になっています。

しかし、例外が身近に一人居るのです。

それは、本間 棗(ほんま なつめ)です。棗だけが、アニメ本編の中で、一切の脱ぎ要素がない女性キャラクターなのです。そして、棗のスタイルは、主人公である伊勢島 綾(いせしま あや)よりプロポーションが良いのです。(参照元:Wikipedea)

バストサイズは、綾と棗で同じですが、ウエストは棗の方が締まっているようです。そして、ヒップサイズにおいても、綾より棗は、小尻タイプなのです。(参照元:Wikipedea)

綾の服が破れる際どい場面や、入浴シーンは散見されましたが、棗だけは皆無なのです。

個人的には、一番美味しいところが封印されてしまっているOVA作品なのです。

たしかに、棗においては、アニメ本編でも戦わない女性キャラクターとして描かれていました。だから、棗の服が破れるシーンが描きづらかったのは理解できます。しかし、棗の入浴シーンや、兄である本間 治基(ほんま はるき)との禁忌の関係など、展開次第では棗のお色気場面を挿入することもできたと思うのです。

女性キャラクターを全面に押し出した「絶対衝撃~PLATONIC HEART~」というコンテンツにおいて、押しメンに誰を選ぶのか、観る側に委ねられている部分なのではないでしょうか。

しかし、OVA制作スタッフの意思で、選択肢から、一人の女性キャラクターの魅力を消されているのです。そして、私自身の好きな女性キャラクターであったことから、そのショックは大きいものに感じられました。

棗が戦わない女性キャラクターに描かれていることにも驚きですし、お色気要素が打ち出されなかったことにも驚きです。私の好みが変わっており、棗は人気の高い女性キャラクターではないのでしょうか。

だから、そういった要素から意図的に外されたことが考えられます。

また、制作スタッフにも棗が好きな方がおり、棗のお色気要素を打ち出したくなかった、という考え方もできます。

果たして、棗が戦わなかったこと、お色気要素の弱かったことの真相はどちらなのでしょうか。

 

バトル展開の裏側にある人間劇

非常に強く感じたのは、主人公の綾である母親、伊勢島 涼子(いせしま すずこ)の綾を想う愛情です。

Wikipedia情報によると、涼子が登場しているのは、OVA作品のみのようです。涼子の存在は、OVA作品のオリジナルキャラクターということです。それだけ、OVA本編における涼子の存在は、特別なものだといえます。そして、OVA作品を制作したスタッフ、脚本や物語原案を書いた方の思い入れの強いキャラクターだと考えられます。ゆえに、涼子の綾を想う気持ち、親心というのは、制作スタッフの描きたかった強い要素だと受け取ることができます。

私自身、このことを知ったのは、アニメ本編を観た後のことです。そして、Wikipediaを見て、涼子がOVA作品のオリジナルキャラクターであることを知りました。綾を想う涼子の深い愛情を強く感じられたことに納得のできる事実でした。

涼子は、度々、制服を破いて帰ってくる綾に、プラトニックハートの存在に気付いていたと思うのです。しかし、綾のことを信じて、または綾自身の力量を信じて、手を貸そうとはしなかったのです。これは、現実社会において、普通の親にできることではありません。なんとなく気付いていながら、何もできなかった涼子は、歯がゆい気持ちをずっと抱えていたのではないでしょうか。アニメ本編に描かれていないまでも、容易に想像できることです。

 

繰り返される復讐劇

物語における最後の結末は、胸糞悪い結末だったように思えます。

お色気要素を強く打ち出した場面とは、物語の結末が相反しているように感じられ、人間を信じられなくなりそうです。お色気要素と物語本筋の暗いギャップが、OVA作品の魅力といえるのかもしれません。

最終話においては、少なくとも2回のどんでん返しがありました。

1回目は、それまで主人公の綾のことを献身的に支えてきた棗の裏切りです。そして、助けようと必死になっていた友達である香月 美子(かづき みこ)の正体においても、観る側を驚かせる展開だったのではないでしょうか。最終話での展開だったことから、「起承転結」における「転」の展開を先延ばしにした構成だったといえます。

冷静にアニメ本編を振り返ると、先延ばしにした「転」の展開の場つなぎに、お色気要素を強く打ち出したようにも考えられます。そう考えると、私はお色気要素に鼻の下を伸ばしていましたので、制作スタッフの手の上で、まんまと狙い通りに踊っていたのだと思います。

2回目は、最終局面で涼子が登場したことです。

そして、涼子の口から語られたのは、

最終話における展開を再度ひっくり返すようなものでした。

涼子たちが、過去のプラトニックハートで非常に徹したのは、復讐であったことでした。それにより、棗の復讐劇は、延々と終わらない「やられたら、やりかえす」という構図であることが明らかになりました。

このアニメ本編において、誰も幸せにはなれていません。

そして、「復讐」という憎悪に取り付かれている様子が印象的です。観る側として、客観的に見ていると、まさに終わらない復讐劇です。

涼子が登場したことで、親子愛を描きたかった制作スタッフの意図が表れているように思います。OVA作品オリジナルキャラクターとして、涼子の存在意義は、とても大きいものになったのではないでしょうか。そして、綾を庇うかたちで、涼子が死んでしまったかのような描き方がされていました。本当に涼子が死んでしまったのか、明確にされていませんでしたが、きっと爆発に巻き込まれて死んでしまったのだと思います。

また、親子愛、とくに親が子供を想う気持ちが強調されていましたので、涼子は綾を庇い、死んでしまったと受け取るのが正しいのではないでしょうか。

最後に、綾が棗の母親の元に出向く場面が描かれ、アニメ本編が締め括られました。

綾は、棗の母親に対して、どんな行動をとったのでしょうか。きっと、終わらない復讐劇が描かれていたことで、綾のとった行動も、棗の母親を殺してしまうような気がします。逆に殺してしまわないと、延々と続く復讐劇は終わらないのです。棗の母親は生き続けることで、綾を殺そうとするでしょう。どちらが先手で、殺すのか、という構図になっているように思えます。少なくとも、話し合いで決着がつくほど、軽いものでもないでしょう。

最後に、玄関を開けた棗の母親は、観る側をゾッとさせる表情をしていました。

棗の母親の表情が、アニメ本編では描かれなかった成り行きを示唆しているのではないでしょうか。

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