悲しいラブストーリー
単純な人間関係
前作「超時空要塞マクロス」は、主人公が二人いるヒロインのどちらを選ぶのか、が面白みだったように思います。
続編である「マクロスプラス」においても、同じ要素が引き継がれているように思います。ただし、「マクロスプラス」においては、ヒロイン目線であり、二人いる男性キャラクターのどちらを選ぶのか、という構図になっています。前作から男女を置き換えたような構成であり、同じパターンではないことが伺えるのではないでしょうか。
こうしてみた時、ヒロインであるミュンをどのように受け止めるでしょうか。
私は個人的に、ミュンの存在を受け入れることができませんでした。
アニメ本編を観ていて、ミュンに苛々することが多かったです。ミュンのことが好き、という方が居たなら本当に申し訳なく思います。しかし、ミュンというキャラクターを受け入れることが、どうしてもできません。
お互いに夢を追いかけながら、切磋琢磨している主人公イサムとガルドの存在が印象的です。男性目線からすると、イサムとガルドは憧れてしまうような素敵な存在だと感じています。しかし、ミュンは夢を半ばで諦めてしまい、自分とは違い、夢を追い続けるイサムとガルドを馬鹿にしたような態度をとっています。そして、若かった頃とは違い、大人になった旨の発言をしています。
夢を追い続けられることは素敵なことであり、馬鹿にするようなことを絶対にしてはならないように思います。ミュンの立場からすると、応援するような言葉をかけることが、大人の対応だと感じるのです。それができないということは、夢を半ばで諦めながら、諦めきれない自分がいることの表れだと思います。
自分自身の苛立つ気持ち、感情をイサム・ガルドにぶつけているだけなのだと感じられるのです。
現実社会においても、全員が夢を掴むことができるとは言いません。それが叶えられるのは、限られた極一部なのだと思います。夢を諦め、違う道を歩むことも現実社会では必要だと考えられます。
ただ、ミュンの大人の対応ではありません。
また、親友に向けられるべき態度ではありません
そして、イサムとガルドが衝突する理由は、ミュンにあります。
ミュンがどちらかを選んでいれば、イサムとガルドが衝突する理由はなくなります。「マクロスプラス」における恋愛要素での元凶はミュンなのです。どう考えても、ミュンの態度・気持ちがハッキリしないことが、事態を悪くしています。イサムを選ぶのか、ガルドを選ぶのか、どちらも選ばないのか、早く決断するべきなのです。それもしないで、ガルドの好意に甘えたり、イサムと遊んでいる様子は、私には受け止められないことです。
私個人として、ミュンというヒロインが大嫌いです。
ゼントラルの血
ガルドは、地球人とゼントラルとの混血というキャラクターです。
テスト飛行の場面で、イサムがガルドを助ける場面がありました。しかし、ガルドはイサムを亡き者にしようと事故を装い、殺そうとしていました。アニメ本編では、「ゼントラルの血」というものが強調されていましたが、地球人においても同じことがいえないでしょうか。現実社会の人間においても、同じようなことは起きているように思います。
ガルドの行動が、私から見て不思議なものには映りません。
それは、ミュンに対して、暴力を振ってしまった三人の人間関係のこじれの発端になっていることに対しても同じことがいえます。自分がしてしまった行動に、頭の中で記憶に蓋をしてしまうことだって、現実社会にあるようなことを伺ったことがあります。
ゼントラルは、戦いの象徴だと語られていますが、現実社会の人間にだって同じことがいえます。これまで、ずっと戦争をしてきた歴史があります。そして、戦争のない社会・世界は実現されていないのが現状です。
ゼントラルという存在を持ち出し、現実社会の人間を映しているように感じられます。
無人戦闘機VSガルド
この戦いは、無人戦闘機に分があることは分かりきっていたことのように思います。
人間の思考が、コンピューターの演算速度に敵うわけがありません。そして、ガルドというキャラクターは冷静に状況を分析して、自分自身の行動を決めていくタイプです。これは機械的な思考と考えることができると思うのです。機械的な思考をする人間のガルドと無人戦闘機では、明らかに情報処理のスピードで勝てるわけがありません。
そして、生身の人間であるガルドが、マッハを超える機体スピードにどこまで耐えられるのか、という部分で負けてしまいました。
もしかしたら、ですが、イサムだったら無人戦闘機に勝てたのかもしれません。
イサムは直観で行動を決めるタイプで、無人戦闘機の予測を超えるものだと考えられます。無人戦闘機とガルドは同じベクトルの思考をするのに対して、イサムは全然違う思考で戦闘するのではないでしょうか。
アニメ本編を振り返って、そんなことを考えてしまいました。
アイドルの存在
仮想空間のバーチャルアイドルという存在が、斬新なものだと感じました。
これを現実社会で例えるなら、初音ミクの存在を挙げることができるでしょうか。随分と前のアニメである「マクロスプラス」という作にも関わらず、現実社会を予測している事実に驚かされます。まだ初音ミクは、「マクロスプラス」に登場しているアイドルのような立派な存在とはいえません。自立思考できるわけではありませんし、世界中の多くのファンを虜にするような存在ではないです。
でも、いずれはAI技術が進むことで、初音ミクも、「マクロスプラス」に登場したアイドルのような存在になれるのかもしれません。
そんな未来の可能性を感じさせくれるアニメ作品でした。
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