最強!!バランスのとれた二人のコンビ
刑事ドラマを見るきっかけを与えてくれた「杉下右京」
「相棒」という作品が完成して私が見るようになったきっかけはある偶然の出来事からでした。私はそれまで刑事ドラマを見たことがありませんでした。あったとしても2時間スペシャルでその時だけしていたドラマくらいしか見たことがありませんでした。本当は刑事ドラマがあまり好きではなかったのです。でも私は唯一見てみようかなと感じた作品が「相棒」でした。何故?と聞かれたら私にも理由は分かりません。ただ最初に見た杉下右京のキャラクターがあまりにも強烈だったのです。スーツ姿がビシッときまっていて小柄なのに何故か威圧感を感じました。メガネで隠れた鋭い目には何も隠し事など出来ないと感じる程でした。特命係となった杉下右京の相棒となった亀山薫は杉下右京とは真逆の見た目で本当に刑事なのかとまず私は考えました。そうです、この時点で既に私はこの作品に吸い寄せられるかのようにテレビから目が離せずにいたのです。刑事ドラマは残酷なシーンが目立つので見ていても事件どころではなくなって胸が苦しくなったのです。しかし、そんなことなど気にすることもなくすんなりと話に入っていけた私がいました。正直刑事ドラマでここまで夢中になれたのは初めてでした。杉下と亀山のコンビが何よりも魅力的でした。俳優として好きなわけではなかったのにここまで2人に惹かれたのは、「杉下右京と亀山薫」という2人の男性に惹かれたのだと思います。今まで作品の登場人物に惹かれることはありましたが、俳優として好きだったのです。2人には失礼かもしれませんが、2人共私のタイプではなくあくまでも作品中の2人に惹かれました。彼らの行動を見ていると分かるように杉下の事件に対する推理能力は半端なく鋭く、わざとらしい感じが全くありませんでした。刑事ドラマでの刑事役が当たり前の様に事件を解決していく姿が嫌いでした。その感情がこの作品には感じませんでした。そのため私は自然にこの2人の刑事に惹かれていたのだと思います。杉下右京の天才的能力に出演者の誰もが驚かされていただろうと私は感じました。作品全ての登場人物が「杉下右京」という一人の刑事に興味を持たずにはいられない程彼の存在感は計り知れません。杉下右京、彼を天才と呼ばないで誰を天才と呼ぶのだろうと私は感じました。大袈裟だと言われるかもしれませんが、それまで見ていなかった刑事ドラマを私に見るきっかけを与えてくれた「杉下右京」という刑事に感謝したい気持ちでいっぱいなのです。
二人のバランス
杉下右京と亀山薫の二人はある意味真逆で二人の会話は成り立つのだろうかと気になってしまう程です。でもそこは杉下の頭の良さでなんとかなっているのだろうと私は亀山薫を少し見下していたのかもしれません。亀山は、体が大きくガタイが良く服装は明らかに刑事とは思えない程の予想外のファッションと同じ様に、彼の行動力は先が読めないくらい走り回り、運動神経は非常に高い事がわかります。杉下と亀山は、かなり対象的な部分が多過ぎるように感じますが、実はバランスが上手くとれていると感じられます。推理能力を生かし、自らの頭脳を武器に犯人逮捕に専念する杉下右京。知的とは言い難いが、運動神経は高く、犯人を見つけたら自分の足で逮捕するまで追いかけ続ける亀山薫。このバランスの良さがその後の相棒シリーズを支えていくのではないだろうか。お互いが支え合う形がこの作品のタイトルにも繋がっているのでしょう。「相棒」というタイトルは、二人のバランスのとれた形を強調するためだったのだろうと思います。タイトルはバランスのとれた杉下右京と亀山薫をひとくくりにまとめてとてつもなく大きな力を放つコンビとなったのでしょう。杉下右京に無いものは、亀山薫が補い、亀山薫に無いものを杉下右京が補うという非常にバランスの良い信頼関係を作っていったのです。杉下右京の知能と、亀山薫の身体能力を組み合わせた時、どんな難しい事件が起きたとしても2人なら立ち向かうことが出来ると思いました。
杉下右京という人間と現代社会の中身
彼の能力なら科学者、物理学者、医師、文学者、かなり多くの職業選択が可能だと思いました。しかし、彼が選んだのは”警察官”でした。杉下右京はどんな分野でも難しい言葉でも次々に説明してみせてはその幅広い知識を上手く使いこなし、犯人が仕掛けた罠や犯行の謎を解いていきます。難しい職業だからこそ彼のような知識の高い人間が必要なのだろうと感じました。亀山薫の様に犯人を許せない、絶対に捕まえるという熱い気持ちも大切です。杉下のような知識を豊富に持つ刑事は、犯人を必ず逮捕へと導いてくれるという自信や信頼のような物が見ている私にひしひしと伝わってきました。
水谷豊がここまで定着したのは彼が杉下右京に出会ってからです。彼が相棒に熱意を持っていたのは間違いありません。なぜなら私の様な刑事ドラマ嫌いの人間をここまで夢中にさせたからです。社会的な問題を取り入れるなどその時代にあった難事件は、視聴者も身近に感じて興味をそそられました。単に殺人事件ではなく、現代社会の問題を加えながら起こる事件は私自身も他人事ではないような気持ちになるのです。共感しつつ、一緒に事件を考えて犯人を見つけようとする私の頭の中はかなり集中力が高くなっていると感じました。亀山はすぐカッとなり、上司にもかかわらず向かっていく姿は、熱い想いをなんとか伝えようとします。私たち若い世代から見ると親近感が湧いて応援したくなります。明るくて素直だからこそ彼の行動には共感する部分が多く、杉下もそんな亀山が大好きなんだろうと感じました。夢中になる事を忘れていた自分にやる気を呼び戻してくれた二人の刑事が私は大好きです。
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