ジブリ最後の名作
だと思っています。
テーマは主人公の成長、でしょうか。
しかしそこは宮崎駿監督、単なるブレイブストーリーを描くということをしない人です。
小学生の千尋は家族と引越しの車移動中、森の中で迷ってしまいます。
トンネルを抜けた先には奇妙な街が存在し、無人の商店の食べ物を食べてしまった両親は豚になってしまいます。
捕獲された両親を助けるべく、千尋は画策してゆくのですが・・・。
この物語の冒頭、何とも衝撃的でありました。
小学生にとって、親という存在は絶対的なものです。
それがいきなり豚ですよ。
ここで千尋は、今まで頼りにしてきた大きな後ろ盾を突然失うわけです。
こういうことって、実は人生につきものですよね。
それをこのテイストで描いたのは、さすがジブリといったところでしょう。
余談ですが、ジブリ飯と称される例の大変おいしそうな食べ物、ここの作品では千尋の両親が食べた中華風のアレがベストでしょうね。
再現レシピなんかもよく見かけますが、一体何なのかよく分からないのに食べたくなる、食べ物をおいしそうに描く作品もまた、いい作品の特徴です。
閑話休題、街に入った千尋は、温泉宿で働きながらたくさんの人物や怪物に出会います。
ここでの出来事は、千尋の周りで実際に起きていることとして見るのは勿論のこと、彼女の心象風景として見てみても面白いですよ。
そうすると、場所やキャラクターが千尋にとっての何なのか、それらにどのように対応するかとその意味が、彼女の成長をより説得力の強いものとするでしょう。
タイトルにジブリ最後の名作、と書きましたが、その後の作品を無碍にするつもりではありません。
ただ、トトロを代表とする世間が求める“ジブリ作品”に相当するものは、この千と千尋が最後ではないかと感じるわけです。
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