ドラマの深み
数多くの杉良太郎の出演作品で、断トツで面白いのが、この「同心暁蘭乃介」である。
まず、オープニングのテンポ良い音楽が良い。時代劇にしては、妙に明るい曲調で、一度で覚えられる程だ。
ドラマの内容は、貧しさ故の悲哀のものも多いが、その中にも子分の伊東四郎や女中の清水由貴子とのかけ合いや、悪人達を容赦なくやっつけていく小気味良さは、今の時代劇では味わえないものだ。
30年以上も前のドラマなので、感覚的に古さを感じるが、それが逆に「時代劇」というものを見る側に与えてくれる。
今では映像は簡単に「作られる」ものだが、やはり「自然」には敵わない。
ドラマには深みがあるのだ。
年配の方が昔の時代劇の再放送を良く見るのは、これかも知れない。
この暁蘭乃介は、同心という江戸時代の下級役人だが仕事の大変さの割りには給料が安くて、いつも女中に小言を言われているが、それでも逞しく生きている姿が何とも感動的である。
今の自分の生活に通じるものがあるのかも知れない。
綺麗事だけでなく、そこそこ汚い事にも目をつぶってやり過したりする場面を見ると、余計に親しみを覚えるドラマである。
実力のある俳優が多数出ている。
本当に質の高い時代劇ではないかと思う。
- あなたも感想を書いてみませんか?
- レビューンは、作品についての理解を深めることをコンセプトとしたレビューサイトです。
コンテンツをもっと楽しむための考察レビューを書けるレビュアーを大歓迎しています。 - 会員登録して感想を書く(無料)