タイトル通りのお話 - 乃木坂春香の秘密の感想

アニメ化作品の傾向

２００８年という本作品が制作された時期はライトノベル作品が続々とアニメ化されていく中で、かなり盛り上がっていた時期ではないかと思います。

こういった傾向がみられるのは、数年前からがきっかけとなって今現在にいたるまで同じような傾向が見て取れます。同時期には美少女PCゲームのアニメ化やノベルティ化なども続々と行われ、現在のアニメ文化を構成する立役者となったのではないかと思います。

本作は基本的に主人公の一人称視点で物語が進んでいくことからどちらかといえばギャルゲーの感覚に近いのではないでしょうか。話の内容の方向性としても、日常をメインとし、ファンタジー要素よりかはライトノベルのメインターゲットである男性視点の願望や理想といったことが内容として描かれているのは本作が制作された時期の作品の傾向としては一般的ではないでしょうか。

やはりライトノベル原作のアニメ化作品というのはどうしてもその表現できる情報量に差が出てしまうため、描かれているエピソードや、キャラクターごとの人物背景やその魅力を表現するためのサイドエピソードなどがカットされ、物語の主軸のみとなってしまうのがライトノベルからのアニメ化作品でありがちな展開であり、特に本作のような恋愛ものにその傾向が多く、アニメという形で作品を簡単に知ってもらい、興味を持ってくれた方を原作のほうへと誘致するといった目的であればよいとは思うのですがそれではアニメ業界が発展し辛くなってしまうので個人的にはもっと予算や人手をつかって原作のファンを魅了できるような質の高い作品を制作していってほしいです。

オタク文化について

本作では物語のテーマとして「オタク」という表現が扱われています。

このオタクという言葉は、現在ではだいぶ世間にも浸透してきて一般的にもだいぶ認められてきた傾向になりますが本作が制作された当初はまだまだ一般にはあまり浸透していなく、世間的には忌避される存在となっていたのが大きな点であると思います。

個人的にはそういった個人の好き嫌いは自由で偏見なくその趣味を理解しようという見方をするのですが世間ではそうでない方もいるので当時は事件が起こり、容疑者の自宅からアニメグッズなどが出てくるとそういった面を強調してたたかれている風潮があり、より一層世間との対立することとなっていたのが当時の印象として強かったのをよく覚えています。

なぜそういった傾向があったのかというのが表現の自由というのが大きな点でやはり中には過激な描写や表現が多く、映画では表現できないようなことまで表現できてしまうといったアニメの良い点が悪い点として見られてしまっているのが大きな点であるのだと思います。

そのような風潮に対してやんわりとそんなことはないと描かれたのが本作であるといえるのではないでしょうか？実際に中学生や高校生といった世代にはより差別されてしまう傾向にあり、あまりおおっぴらにできない趣味という点が時代の風潮であり、そんな層へと共感してもらい、趣味として魅力的であることを表現されたというのが本作ではないでしょうか。

ただ本作では良家のお嬢様がオタク文化に興味を持ったという話なのでなかなか現実的にはあり得ないような話ですがそういった日常よりも一歩二歩ずれたような作品こそ視聴者側にとってより魅力的に映るのではないでしょうか。

恋愛ものとしての作品

本作に限らず、恋愛を題材とした作品というのは人気があるのはどういった要因となっているでしょうか？

ほかにもアニメ作品とはファンタジーからバトルもの、コメディや学園物といったジャンルがありますがやはりそういった作品の中でも恋愛ものは人気のあるジャンルだと私は思いますがやはりアニメ化には向かないジャンルというのが残念ではあります。

ジャンル別に作品を比べてみるとそのシリーズの多さからコメディ作品、バトルもの、ファンタジー系といった順で人気があるのではないかと思います。その理由としてはやはりそのシナリオ構成によるところが大きいのではないかと私は考えています。

そういった作品に対し、恋愛作品というのは物語を大きな一つの物語として描かなければいけないパターンが多く、そうでない作品も少し制作されていますがそういった作品には登場人物が増えてしまい、結果として物語としての質が下がってしまうのがあまり好まれないおおきな要因となってしまっているのが残念です。

最近では映画作品として小説からの恋愛作品が大ヒットしたことがそんな世間一般にも幅広く人気が出るような作品の制作のきっかけとなってくれることを今後のアニメ業界に期待したいと思います。

やはり恋愛作品というのはキャラクターの詳細な心理描写などがその最大の魅力となっているのですがせっかくアニメという良いコンテンツがあるのでもっと長い目で一つの作品を詳細に描かれるような作品が出てきても良いのではないかと思います。