歌で海の世界を守る!マーメイドメロディー ぴちぴちピッチ 深読みレビュー
なぜ、マーメイドプリンセス達の歌で敵を倒したり、敵の歌で苦しむのか
ぴちぴちピッチといえば、まず思い出すのは「歌」です。この作品を読んでいた頃は、小学生だったので特に何も感じませんでした。しかし、大人になった今でもこの作品が私に与えた影響は大きく「なぜ、マーメイドプリンセス達の歌で敵を倒せるのか、敵の歌で苦しむのか」と疑問を持ちました。
私が導き出した仮説は二つです。
①感情が籠っているか、感情が籠っていないか
マーメイドプリンセス達の歌は、その歌声だけで荒れた海も鎮めてしまうことができるほどの力を持っています。また、マーメイドプリンセスの歌は、それぞれの海の国にとっても特別なものであり、マーメイドプリンセス達も歌をとても大切にしています。一言で言えば「歌が大好き」です。
敵も作品の前期と後期で別れており、シスターミミ・シスターシェシェからなるブラックビューティーシスターズが登場してから、敵も歌を歌うようになりました。マリアなどの最初の敵は、氷を扱い、物理攻撃が多かったのに対して、ブラックビューティーシスターズ登場以降の敵キャラは、歌のみで物理攻撃はしてきません。
マーメイドプリンセス達の歌で苦しむのと同じように、敵の歌がマーメイドプリンセス達を苦しめ、倒すことができるのではないかと「歌の力」に着目したといえます。倒されはするもののきちんと改善点を探して、実行してみる姿勢が個人的に物凄く好きで、敵でしたが影ながら応援してたりしました(笑)
しかし、マーメイドプリンセス達と敵の歌では、圧倒的に足りない部分があります。それが「感情が籠っているか、感情が籠っていないか」です。
常に海の平和を願って歌うマーメイドプリンセス達の歌には、感情が籠っています。「海に棲むマーメイド達や生き物達が、平和に暮らせるように」「この歌を一人でも多くの人や生き物に届けたい(敵味方は関係なし)」などといった感情がたくさん籠っています。マーメイドプリンセスにとって、歌は命と同じくらい大切なものです。
逆に敵は、マーメイドプリンセス達を倒すための道具であるため、歌への感情は必要ありません。歌って、マーメイドプリンセス達を倒せればそれでいいんです!あくまでも、歌は道具であって、それ以上でもそれ以下でもないのが、敵の歌だと思います。
普段、感情が籠めて歌っているマーメイドプリンセス達にとって、敵の感情の籠っていない歌は耐性がなく、敵の歌の時は耳を覆って苦しんでいる描写があることからも「不協和音」のように聞こえているはずです。
敵もまた、感情を籠めて歌うマーメイドプリンセス達の歌には耐性がなく、マーメイドプリンセス達の歌を聞いた後、反撃することもなく退却してしまうことから「真珠によって、敵が持つ闇の力を浄化させる力を持つ歌」であると考えられます。
②良い心を引き出すか、悪い心を引き出すか
マーメイドプリンセス達の歌も、敵の歌もどちらも「精神攻撃」の一種であると考えられます。マーメイドプリンセス達の歌は歌うことで、敵に「こんなことをして苦しいのは自分」「皆と笑い合って過ごすのが一番」などといった良い心を引き出す効果があるのではないかと思います。でなければ、敵が退却時に「何かポカポカしてきた」なんて言ったりしませんし、どんな敵キャラにも良い心は残っているはずです。
敵たちの歌は歌うことで、マーメイドプリンセス達に「こんなことをして何になるの?」「歌うことなんかやめて早く闇に染まって楽になりなよ」などといった悪い心を引き出す効果があるのではないでしょうか。歌を聞いて崩れ落ちるシーンや「もうダメなの?」とマーメイドプリンセス達に思わせるシーンがあります。いくらマーメイドプリンセスだからといって、弱い部分がないわけではないだろうし、いつもは隠している負の部分を刺激されてしまうのだと考えます。
アクアレジーナの後を継いだるちあの今後
最後の敵であるミケルを倒した後、インド洋の新しいマーメイドプリンセスである沙羅が復活するための砕けた真珠の一部を、自身の真珠と共存させながら戦っていた負荷の影響により、衰弱。マーメイドであれば熱なんて出ないのに、熱が出るほどまでに弱り果て、生死の境を彷徨っているところ、アクアレジーナの最後の力で復活します。
その後、アクアレジーナの姿で海斗を含む仲間達の前に姿を現したことで、アクアレジーナの後を継いだことが判明。
アクアレジーナは、海の女神としてマーメイドプリンセスに歌を与えたり、パンタラッサ一族を封印できるほどの強大な力を持っています。封印など様々な事で、海の女神としての力を使い果たしたアクアレジーナは、次の海の女神にるちあを指名するのです。
るちあがアクアレジーナの後を継いだのを知った仲間たちは、驚き、るちあの事を心配していたので、本作では描かれていませんがマーメイドプリンセスと海の女神を兼任するのは異例なのだと考えられます。
るちあが、マーメイドプリンセスとして統治する北太平洋の国を今まで通り、守り抜く責務は変わりませんが、新たな海の女神として海全体の平和を維持していかなくてはいけない重責がのしかかるため、精神的にも肉体的にも負担がかかるのは必須です。
しかし、アクアレジーナとは違い、るちあには海斗がいます。海斗は何度もパンタラッサの力を発動して、るちあを守っていますし、パンタラッサ一族も海の一族であることに変わりはないはずなので、海斗の力も借りながら海の女神としての仕事も立派にこなしていくはずです。
海斗の今後はどうなるのか
ガクト亡き今、パンタラッサ一族の王は海斗しかいません。パンタラッサ一族の力も、自身がパンタラッサ一族であることが判明してから自由に扱えることができます。一方で、趣味のサーフィンも才能を伸ばしていて、海外の大会に参加ができるほどの実力の持ち主です。
自身にとって、かけがえのない女の子なるちあは、北太平洋のマーメイドプリンセス兼海の女神です。今は地上にいるるちあも、いつかは海の中にある北太平洋の国に帰らなくてはなりません。離れ離れになって時々会う展開も考えましたが、離れることの辛さを経験している二人はきっとその選択はしないはずです。
そこで、私が考えた海斗の今後は「地上と海で生活をして、サーフィンとパンタラッサ王を両立する」だと考えます。地上には、両親が残した思い出が詰まった持ち家があるのでそこを売却してまで、海に行くことはないのでは?
基本は、るちあと一緒に行動をして、サーフィンなど地上で何かある場合には、るちあと一緒に自宅で生活をして、るちあが海の女神の仕事など海で何かある場合には、るちあと一緒に北太平洋で暮らすのではないでしょうか。
マーメイドプリンセス兼海の女神であるるちあと、パンタラッサ一族の王である海斗の子供が将来産まれる事を考えると、とんでもないですね!海斗は元々、社交的なので北太平洋でも上手くやっていけるはずですし、海斗とるちあは上手に両立をして幸せに暮らしていくでしょう!
波音とリナの恋の行く末
波音には、渚がいて、リナには浜崎さんという大切な人がいます。しかし、海斗のように海の世界の人間ではないため、いつか離れ離れになる時がやってくるのです。
るちあと同様、波音もリナも海に帰らなくてはいけない日がやってきます。南大西洋と北大西洋のマーメイドプリンセスである二人は、渚と浜崎さんに会う為に頻繁に地上に向かう事は難しくなるはずです。様々な思いの中で二人が選択する未来は「別れを告げて海に帰る」という可能性が強いのではないかと考えます。
「人間に自分がマーメイドだと伝えたら、泡になる」という掟から、一方的に別れを告げて海に帰るのは悲しいですが、一番現実味のある選択肢なはずです。しかし、るちあが新しい海の女神になった事で、そんな掟を壊す好きな人と一緒になれる力を発動してくれないかなというのが私の希望です。
海の底に沈んだガクトと沙羅、水妖の今
ガクトの力の暴走により、城が崩れ、沙羅に抱きしめられながら一緒に海の底に沈んだガクトと、水妖はどうなっているのか気になったので、考察してみたいと思います。
ガクトは封印後、思念となって記憶をなくした海斗の元へ向かったり、リヒトに憑依して海斗を最後の戦いへと誘ったり、海斗に憑依してヒッポのユーリへの本心を聞き出すなど割と自由に動き回る事ができるようです。
また、一夜の奇跡でまた人間の姿になることができたユーリや、海の底でガクト達と話している姿の描写があることから、ガクトのように元々強い力を持った人でないと中々、地上に姿を見せる事はできないが、再度封印された時のアクアレジーナの力の弱まりによって、強固な封印はかけられていないと推測できます。
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