二作目の面白さを決めたあのキャラクター - ポリスアカデミー2/全員出動!の感想

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二作目の面白さを決めたあのキャラクター

4.54.5
映像
3.5
脚本
3.5
キャスト
5.0
音楽
5.0
演出
3.5

目次

監督はある意味猛獣使い

ポリスアカデミーシリーズを大いに語れるのは、やはり40オーバーか、せいぜい30代くらいまでなんでしょうかね? ああ、若い世代には申し訳ないですが、このシリーズをまだ観ていないなんて、人生すごく損していますよ、といっても大げさではないです。だって最高に笑える映画だから! だって出てくる奴らがこれでもかっ!ってくらいキャラ濃すぎで、キャラ立ち過ぎだから!! 全員クセ強すぎですよね、ホント。

あなたはポリアカの登場人物の中で、誰が好きですか? やはり決めるときには決めてくれる、かっこいいマホニー? 銃器おたくのタックルベリー? モノマネのジョーンズ? どでかいハイタワー? かわいいフックス? それとも優しいラサール校長でしょうか? だけど不思議なのが、敵も味方も出てくるみんなが愛すべきキャラで、観てて不快になったり、飽きたりしないんですよね。懐の深い映画というのでしょうか。人物の描き方がとてもうまいのでしょうね。

そして、あれだけの濃いキャラを登場させて、バランス良く、登場人物みんなに見せ場がある物語に仕上げてしまうのだから、監督の采配はさながら猛獣使いのようですね。普通なら、とっちらかってストーリーがくずれてしまいそうだもの。

一作目を越えられたのは、あのとんでもキャラのおかげである

ポリスアカデミー第一作目は、ストーリー自体もまとまっているため、非常に楽しめる作品なのですが、それを超える作品を作るべく、おそらく二作目の構想にあたっては、制作サイドもとても頭を悩ませたのではないでしょうか。もっとぶっ飛んだストーリー展開にするのか、もっとバリバリのアクションシーンを増やすのか、もっとインパクトのあるキャラクターを出すか。

で、制作サイドも賭けに出たわけですね。もっとインパクト大のキャラを登場させることにした。果たして、あのポリアカの面々を超えるようなキャラなんて生み出せるのか?? …結果は予想以上でしたね。あの男の登場です。そう、ポリアカ軍団と対決する暴走族のリーダー、ゼッドです。

一言で言えば非常にヤバい男、キレて、アタマがおかしい、だけどドジで、どこか憎めない男、それがゼッドです。演じるのは、ボブ・ゴールドスウェイトという俳優さん。彼はコメディアンでもありますが、ゼッドのキャラは、見た目も明らかに酒かクスリでラリってそうだし、金切り声をあげて常にハイテンションという、その迫真!?の演技に、当時小学生だった私は、本気でこんな人いたら怖いなぁ、アメリカって危ないなぁと思ったものです。

ゼッドのキャラは明らかにあれの影響だろ・・・

このゼッドのキャラクターについてですが、これは明らかにマッドマックスシリーズの影響を受けていますよね。ポリアカ2の公開が1985年なので、ほぼ同時期の80年代前半に三作品が製作され、世界中で大ヒットとなったアクション映画が、マッドマックスシリースです。

最近でも最新作の「怒りのデスロード」がヒットを飛ばし、アカデミー作品賞を獲るのでは? といわれたほど、映画界の話題を独占していたので、どのような内容かはご存知の人も多いと思いますが、このシリーズもまたキャラが濃すぎ映画の代表作といえますね。

ポリアカシリーズが、オモシロ人間のオンパレードとするならば、このマッドマックスシリーズはとにかく、次から次に、出てくる悪党どもがみんなイカれ野郎たちの大行進です。いわずもがな、北斗の拳もこのシリーズの世界観に大いに影響を受けていますね。

そんなマッドマックスシリーズの中でも、その怖さとイカれ具合で群を抜くのが、一作目に登場したトーカッターという人物です。バイクにまたがりハイウェイを爆走、悪の限りを尽くすその凶悪さはインパクト大で、主人公マックスの妻子を死に追いやるその姿は戦慄でした。

このトーカッターが、ゼッドの元ネタです。元ネタというか、むしろオマージュなんじゃないかと思うくらいです。きっとポリアカ製作サイドは、このマッドマックスの世界観をどうしても自分たちの作品に持ち込みたかったのではないでしょうか。ドジだけど正義感あふれるポリアカのメンバーが、狂った世紀末的な悪党を相手にどう対峙するのか? これを描きたかったのだと思います。

キレキャラとお笑いの間

また、マッドマックスに出てくる悪党たちは、その濃さゆえに、一歩演出を間違えたら、恐怖キャラから、ただの滑稽なだけのシュールなおマヌケキャラになってしまうので、ポリアカ製作サイドは、そこも狙っていたんじゃないかと思ってしまいます。そういうキャラクターの危うさを知っていて、あえてポリアカ用にちょっとお笑い側に寄せたのではないでしょうか。そうすることで、あのゼッドの持つ、怖いけれど、どこか憎めないキャラが誕生したのだと思います。

おかげでゼッドは大人気キャラになり、三作目にはなんと更生して、ポリアカメンバーに加入するんですよね。よく考えるととんでもない設定ですが、こんなのも、なぜか自然に受け入れてしまうというか、むしろ待ってました! って感覚になってしまうのだから、やはりこのシリーズの懐の深さのようなものを感じざるを得ません。

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