思わず交通管制を聞きたくなる一作
時折挟まれるコントに思わず吹き出す
あまり一般的な職種ではない航空管制官の人間も模様を描き出した一作。
その緊迫したシチュエーションの中に時折織り込まれる「コネタ」がとてもツボにはまる。
抜群の安定感を誇るキャストの時任三郎、川原亜矢子、清水美沙、別所哲也。
中堅層を構成する阪田マサノブ、野間口徹。
少し異色感がある存在の神田瀧夢、音尾琢真。
また、各キャストが見せるふとした表情には、現場の雰囲気の良さが伝わる。
特に野波麻帆と野間口徹の掛け合いは秀逸。
野間口徹は発音の悪い管制官の設定。完成は英語で行っているが、その英語の発音は悪い、という設定。パイロットが聞き取れない野間口の管制に、横につく野波の表情は、とても演技とは思わせない自然な表情で笑う。
映画かと思わせるカメラワークと映像
映像を作っているわけではないのであくまでも素人の所感として、と前置きをしながらも、アメリカの連続ドラマや一般的な映画を思わせるような映像が見るものを納得させる。
奇をてらったような演出は皆無。
無駄な動きが嫌味に感じる作品が数多くあるが、この作品にはそういった裏方が目立ちたい感、みたいなものを全く感じない。
テーマが航空管制なので、屋内のカットが多く、どうしても暗所撮影カットが多いのだが、逆にその設定が人間関係に対するいわゆる閉塞感のような雰囲気を醸し出している。また、外の光を業務終了のカットや、登場人物の悩みが解消されるカットなどで巧みに使っているところなどが、視聴者に嫌味に感じさせない演出の背景なのかもしれない。
淡々とした人間模様に終始させたほうがシリーズ化されたかも。
ストーリーを大きく分けると、新人教育と人間模様や管制官の苦悩、国防と管制の攻防の2つに分けられる。古い話であるが、アメリカの「ER」のように日々、「医師に起こる様々なトラブル」といった分野にこの作品も終始してほしかった。「ER」も制作側に紆余曲折したであろうという印象を視聴者に与える。院内のカットから、混とんとした雰囲気を払しょくしようと屋外などでのカットを差し込んでいるが、その度に「ERは院内カットを見ている視聴者の気持ちよさ」みたいな雰囲気を壊される。本作でも、航空管制センターで起こる日々の人間模様から、火山の噴火や、ミサイルの発射・・・など、「そんなにいろいろの起こるの?」と起こるイベントに懐疑的な印象を持ってしまった。
個人的には航空管制センターの人と入れ替わりをベースに人間模様に終始した方が作品として内容がはっきりするのではないか、と思う。人の入れ替わりイベントで、新しいキャストの加入、ある意味、償却したキャストとの別れなど、そういったある意味、「同じ日々が常に回っている」というマンネリ的な方が納得感がある。
アクション映画さながらの劇場タッチイベントは、確かに緊迫感やそイベントが解消したときの視聴者を巻き込んだ達成感としてカンフル的な効果がある。
ただ、「やっぱり猫が好き」に代表される「日々の出来事色」が出てしまっている作品には全くの逆効果。「そんなん要らんから・・・」と少し興ざめを起こしてしまう。
結果として
「日々の出来事」に終始できなかった結果、この作品の続編にあたる深田恭子主演「TOKYOエアポート~東京航空管制保安部~」の平均視聴率は10.2%(Wikipediaより)
しかもやはり内容は「深田恭子カラー」におんぶにだっこになってしまった。
これは、推測だが1クール完結前提で制作した前作の評価が良く、「続編を」となったものの、時任三郎演ずる結城昇が本省に転勤となり完結となった前作の終わり方が後々を引っ張り、「結城昇が東京コントロールに戻ってきた」とすればよかったものの、ちょいちょい時任三郎や川原亜矢子を触りながらの中途半端なものになってしまい、全体的にぼやっとしたものになった。2作目はその中途半端さが全体に窮屈さ及ぼし、最終的には航空管制ありきの本来の本作の良さを失った結果になった。
今後に期待
その後、本作は『敷島★珈琲 バリスタはまた見た!?』というスピンオフを生み出し、根強い本作のファンは「ぞわっ」と色めき立ったが、やはり最終的に求めているのは「結城昇カムバック」のような気がする。結城昇の後任は、別所哲也演じる氷室一生であったが、そのキャストで1クールあってもよいのかもしれない。いずれにしても、航空管制が基本軸でのあの閉塞的な空間で起きる、日々の様々な人間関係、掛け合い、時には恋愛が挟まった内容での続編に期待したい。
この作品には、新人俳優、女優の登竜門的な位置づけの作品に発展してほしい。かのジョージクルーニーがテレビの連ドラから国際的な映画俳優になったが、そのような新人発掘の場になってほしい。新人俳優、女優が東京コントールに新人として登場し、経験を積んで巣立ってゆくようなそんな場になる事を期待したい。
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