あのワイルド7が帰ってきた!
ワイルド7、復活!
あの日本のアクションマンガの最高傑作、ワイルド7が、ついに帰ってきた!!
思えば、1969年(筆者7歳の時)少年キングに連載がはじまってから、なんと、約50年。
ワイルド7登場!
忘れもしない、あの、ワイルド7初登場の場面。(最近の映画版にもこのシーンあり。ただし、映画はどうしようもない凡作。)(このシーンは、ワイルド7第1巻に収録されている)
ワイルド7が、銀行強盗の乗ったクルマを追いかけ、止まれの合図をだす。
ギャング「どうかしましたかい、ダンナ?」
飛葉「…したな。(散弾銃を構えて)お前らを、東日本銀行強盗の犯人として、退治する!」
ギャング「(笑って)こいつ、日本語をよく知らないな。それを言うなら「退治」じゃなくて「逮捕」でしょ?」
飛葉、散弾銃を容赦なく発砲!!ギャングたちは即死!
飛葉「こうやるから、退治ってんだよ!」
・・・クーッ!何度読んでもたまんないね!!
なんとクレージーな設定
ワイルド7は、イッちゃってるエリート官僚・草波勝の発案によって結成された。
世の中には、どうしても許せない悪党がいる。しかし、現在の法律では、物的証拠がなければ、逮捕・起訴することはできない。
そこで、そのような悪党に対し、証拠調べ・起訴・裁判といったまわりくどい方法をとらず、いきなり退治(射殺)することが許されたスーパーポリス、それがワイルド7だ!!
しかも、そのメンバーたるや、札付きの凶悪犯!(毒をもって毒を制す、の考えである)
いま考えると、憲法、刑法、刑事訴訟法、基本的人権など一切無視のむちゃくちゃな設定である。
なぜワイルド7はこんなに人を惹きつけてやまないのか
まず挙げられるのは、上記の設定のみならず、破天荒というか、荒唐無稽とさえいえるストーリー展開であろう。
もう一つは、ワイルド7のメンバーを見事に描き分けていることである。(黒澤明の映画「七人の侍」みたいですね。)
それだけではなく、注目すべきは、望月三起也先生のずば抜けたデザイン感覚、緻密なメカ(ガン、バイク)描写、映画的な構図であろう。現代日本で、これだけの画力のあるマンガ家を、ほかに知らない。
もうひとつ忘れてはならないのは、複雑な時代背景(発表当時は、安保闘争で日本中が騒然としていた。)を反映して、単純な勧善懲悪ドラマになっていない点だ。ワイルド7のメンバーは、草波隊長にかなり強い不信感を抱いており、また、草波の方も、メンバーを完全に信頼しているわけではない…。
このような、善と悪とが判然としない状況も、また、物語に絶妙な陰影を与えている。
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