スタジオジプリ作品であって宮崎アニメではない - 海がきこえるの感想

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海がきこえる

4.604.60
映像
5.00
ストーリー
3.00
キャラクター
5.00
声優
5.00
音楽
5.00
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スタジオジプリ作品であって宮崎アニメではない

4.64.6
映像
5.0
ストーリー
3.0
キャラクター
5.0
声優
5.0
音楽
5.0

目次

作風はスタジオジブリそのまま!

スタジオジブリ作品といえば、「風の谷のナウシカ」「天空の城ラピュタ」「魔女の宅急便」など、数多くの代表作を挙げることができます。

作画においては、「海がきこえる」もスタジオジブリ作品だけあって、前述の代表例を思い浮かべさせるものがあります。絵のタッチ、登場人物の表情、背景を重んじる描写、間を大切にしていることなど、特徴は全て同じ雰囲気を感じることができます。このことから、作品として細かい部分にまでこだわって制作されていることが伺えます。幾度に渡って、編集や修正を繰り返して仕上げられた作品なのでしょう。こういった細かい部分のこだわりが、他アニメ作品では見受けられないもののように思います。

また、現実世界を描いたスタジオジブリ作品というのも、数少ないのではないでしょうか。この「海がきこえる」以外の作品では、「おもひでぽろぽろ」「耳をすませば」の2つのタイトルしか思い浮かびません(※私が知らないだけで他にもあるかもしれません)。他はファンタジー世界を描いた作品、歴史・史実をモチーフにした作品であることが多いですし、そちらの作風タイトルが圧倒的多数のように思います。

「おもひでぽろぽろ」「耳をすませば」という2つのタイトルと、この「海がきこえる」という作品に共通する部分としては、人の感情や内面を強調している作品である、ということではないでしょうか。現実社会を描いた作品では、動物や妖怪、神様のような抽象的な存在がないことから、そういった存在との関係性を表現することはありません。そのことから必然的にそういった作品になっていくのでしょう。

そして、恋愛の要素が強いことも3つのタイトルの共通点といえます。恋愛以外のものが描かれていても、それはそれで面白いと思います。しかし、どうしても恋愛要素が強く、それ以外のものを強調しているものはないように思います。

そこにおいては、今後に登場するスタジオジブリ新作に期待するところとしましょう(笑

 

不思議なタイトル

作品タイトルと、作品内容に関連性がないように思います。海を背景とした内容ではありませんので、観終えた後、謎が消えずに残ってしまいます。分からない部分ですが、私の解釈を述べていきたいと思います。

まず、タイトルの日本語が間違えていることに注目すべきなのではないでしょうか。

「海」は音を指す言葉ではありませんので、「きこえる」という表現は一般的に考えれば、間違えた表現ではないでしょうか。ただ、「海」から連想させる音というと、「波」の音、「船」の音といったものを思い浮かべます。それでは、アニメ作品の中で、「波」や「船」が強調されていた描写・場面はあったでしょうか。それぞれ描かれてはいますが、決して強調されてはいなかったと思います。だから、余計に作品タイトルと内容の関連性を分からなくさせられます。

それでは、「きこえる」という言葉に注目していきます。「きこえる」という言葉で思い浮かべるものは、「声」や「音」だと思います。アニメ本編で、「声」「音」という部分で考えられることといえば、「方言」ではないでしょうか。その他に、アニメ本編の中で、「声」「音」で思い当たる節がありません。

「きこえる」の指す対象が「方言」なのであれば、「海」の示す意味は、アニメ本編のメイン舞台となっていた高知を指すのだと考えられます。確かに、海沿いの町をメイン舞台として物語が進行していきました。また、対照的に東京という場所を持ちだすことで、高知という場所を自然と強調させていたように感じられます。

「方言」を指す言葉として、「海」を用いたのであれば、とてもロマンチックな発想でユニークだと思います。

ただ、それと同時に思うのは、捻り過ぎて分かりません(笑

 

思春期真っ盛りの男女

私が男だからでしょうか。観ていて、武藤 里伽子(むとう りかこ)の言動・行動に腹立しい気持ちになることが多かったです。あまりにも身勝手で、周囲の同級生や友達を思い遣っている様子が全然ありません。高校生であり、子供だから、と割り切れないことが多かったです。

だからこそ、主人公である杜崎 拓(もりさき たく)の言動・行動には、鬱憤を晴らしてくれるものを感じてしまいました。里伽子と拓は、自分自身の気持ち・信念は強く、行動力があるという共通点はありますが、正反対に描かれていることが印象に残っています。

主人公の拓は、高校生でありながらアルバイトをしており、親と同居はしているものの、比較的に自立した行動をとっています。

一方、里伽子は、勉強に専念しており、親とは別居しています。ただ、親の都合に振り回されており、高知に引っ越す羽目になったことが気に入らないようです。自発的な行動をとりますが、暴走気味であり、自立しているとは受け取れません。

また、人間関係においても、拓は友人を大切にしているのに対して、里伽子は周囲から孤立した存在だったことも正反対に描かれていたことではないでしょうか。

しかし、それぞれが成長していくことで、自分自身を振り返った時に未熟さを感じたのでしょう。

主人公の拓は、精神的に子供だった為、里伽子に抱いていた感情が恋愛感情だと気付かず過ごしていたことが挙げられるでしょう。そして、里伽子は、周囲から孤立してしまった原因が自分自身にあったことに気付いたのだと思います。

「海がきこえる」というアニメ作品は、恋愛要素を描いていながら、二人の成長を描いていた部分が強いように感じます。そして、未熟だった二人が成長したからこそ、縁が結びつくことになったように思います。

ただ、拓と里伽子は根本的に似たもの同士です。お互いに、自分自身の気持ち・信念が強いので、喧嘩が多いカップルになりそうです(笑

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