成宮寛貴-若い視聴者を誘い込む作戦 - 相棒season12の感想

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相棒season12

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映像
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脚本
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キャスト
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音楽
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演出
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感想数
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観た人
3

成宮寛貴-若い視聴者を誘い込む作戦

4.54.5
映像
4.0
脚本
4.5
キャスト
4.5
音楽
4.5
演出
4.5

目次

成宮寛貴を起用

杉下右京を中心にその相棒役が変化しながら次々と事件解決へと導いていく刑事ドラマ”相棒”シリーズの中でも恐らく1番若い相棒となったのが今回の甲斐亨です。シーズン12というかなり長い時間をかけて仕上げてきた作品になり、シーズン11からの相棒役として成宮寛貴が若い相棒として抜擢されてから相棒を見る年齢層が幅広くなったでしょう。今までの相棒役と比較してみても明らかに彼はアイドル的な要素を持ち非常に女性から人気の高い俳優です。そんな彼が杉下右京と一緒に事件を解決していく姿には惚れ惚れしてしまいました。視聴者の年齢層が若い世代へと繋がれていくのです。今までのシリーズを見た事のない友人が相棒役が成宮寛貴と分かった瞬間に毎週欠かさずに見ていた事を思い出しました。そんな女性は数え切れない程いたでしょう。もしかしたらそれが今回成宮寛貴を起用した本当の理由なのでしょうか。若い世代にも”相棒”をもっと見て欲しいという気持ちから甲斐亨は誕生したのだとしたら、その作戦は大成功だったと私ははっきり言えます。なぜなら、私の周りだけでも今回の成宮寛貴が出演となってから相棒を見るようになった知り合いが8人もいるからです。それだけ彼の人気には驚きました。正しく狙い通りに進んだと言えるでしょう。彼の演技によって今まで見た事がなかったという人が成宮寛貴を見るために”相棒”に興味を持つ事は私は嬉しかったのです。私と同年代で相棒を見ている人がなかなか居なかったため、これを機に相棒のストーリーも楽しんで見てもらえるだろうと感じたのです。

人気の高い俳優の恋人役の笛吹悦子を演じたのは、元宝塚の真飛聖でしっかりとした年上の女性という設定に大満足でした。2人が恋人同士というイメージにぴったりで、彼女が年上で甲斐亨を1番近くで支えているという印象を受けました。成宮寛貴の恋人役を選ぶ事はストーリーの中でも意外と重要で、ラストに近付くにつれて彼女の存在を大きく感じる甲斐亨の姿に涙しました。

親子愛

甲斐享は、警視庁次長の甲斐峯秋を父親に持ち、親子関係はあまり良くないという状況であり、甲斐の”若さ”を感じました。甲斐の父親が企んでいた早く警察官を息子に辞めて欲しいという願いは一気に消え去ります。杉下右京の相棒として彼の側にいる限り甲斐は自分の道を真っ直ぐに進むのです。若さゆえか何かと反発し合ってしまう父と子を見ていると、現代向きに見事に表現されていると関心しました。父は甲斐が警察官になったことを良く思っていないが、それは息子を心配しているからこその意見であると、息子の甲斐が理解するにはまだ若いため厳しいのかもしれません。しかし甲斐自身は本気で警察官になりたかったという意思を述べるシーンには、子供が必死に夢を追いかけてきたという一生懸命さが伝わりました。夢は必ず叶うという若者へのメッセージなのかもしれません。甲斐は、自分の行動により視聴者に向けてメッセージを送っていたのでしょう。決して父親との親子関係が悪い事を強調したかったわけではなく、頑張れば夢はいつか叶うという意思を持っていようと呼び掛けているようにも感じたのです。就職活動をして内定を貰ったが”警察官になりたい”という夢は諦め切れずに自らの力で警察官になったという話を、杉下が父親にしている時の父親の顔はとても嬉しそうでした。親の思いは複雑だと思いました。心配の中にも喜びを隠せないでいた父の顔は若い視聴者に真っ直ぐ気持ちが伝わっただろうと思いました。自分の子が決めた将来を応援しようという気持ちが表れた瞬間でした。父親が頑固でも甲斐にとっては大切な親であり、職場の先輩なのです。甲斐が相棒となってからは、ストーリーの中に親子愛を感じる事が何度もあり、さらに楽しめる内容となっていました。今迄の”相棒”では、親子愛という内容は含まれていなかったし、事件を解決していくという展開を楽しんで見ていました。相棒の続編が出る度に出演者の間にも絆が生まれて、このように親子愛までも扱うことになったのだろうと感じました。甲斐親子は杉下を間に挟みながらお互いの近況を報告し合い良い関係性を作り出していくのです。子供を持つ親としても内容がこれほど身近に感じ共感しながら見れたのは今回が初めてでした。

期待が広がる2人だけの特命係

若手刑事である甲斐とベテラン刑事の杉下右京のコンビがどのように成長していくかが興味深いところです。前シーズンとはまた違った二人が見れることを期待していた方も多いと思いますが、期待通り二人の特命係はさらに息の合った姿を見せてくれたと感じました。年の差を感じさせない杉下右京の運動能力にも驚きを隠せません。甲斐に負けていられないという逞しい姿が見られ嬉しく思いました。相棒がまだまだ続いていく証拠だと思います。難事件を次から次へと名推理する姿勢は相変わらず天才的な才能を感じさせられますし、さらなる成長を遂げるための決意を感じさせるような二人の姿勢が以前よりも逞しく感じられました。今回も二人だけの特命係にますます期待を感じます。

警察官を辞めた三浦刑事

二人の強い正義感を感じてさらなる成長を願いつつも一つだけ気になる点が残ります。今回のシリーズの第1話でのことですが、10年以上相棒の脇役として多大なる演技を見せてきた三浦信輔役の大谷亮介が突然警察官を辞めるという展開、つまり相棒を降板するという展開に驚きを隠せませんでした。悲しいし、何故急に?という疑問で胸がいっぱいになりました。いつも捜査一課の三人組の先輩的存在だった彼が第一話の際に犯人に足を刺されて警察官を辞めるというかなり納得がいかない終わり方に、私は見終わった後、何とも言えない気持ちになりました。私の様な気持ちになった人は沢山いるのではないかと思います。毎回楽しく絡む三人組が楽しみだったのに、それがもう見れなくなるという状況に困惑してしまいました。しかも何故このシーズンの第一話で降板したのか、昔からの相棒ファンには苦しい現実でした。レギュラー出演していた彼が急にいなくなり今回のシーズン12を心配してしまいました。まさかこの12で相棒も終わってしまうのではないかという不安に駆られました。

続編が続いているので、とりあえず安心ですが、何とも予想外の悲しい始まりとなったシーズン12でした。私は相棒を支えてきた大谷亮介の存在を決して忘れません。彼の様な脇役の方が沢山居るからこそ支えられてきた相棒シリーズだという認識を持ってこれからも応援していきたいです。また今回から初めて相棒を見始めた友人よりも、毎シーズン見てきた私は何だか得をした気分になりました。あの三人組の楽しいシーンを沢山見てきたからです。そんな風に思い三浦刑事の存在を胸にしまっておこうと思いました。

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