運命じゃない人の感想一覧
映画「運命じゃない人」についての感想が5件掲載中です。実際に映画を観たレビュアーによる、独自の解釈や深い考察の加わった長文レビューを読んで、作品についての新たな発見や見解を見い出してみてはいかがでしょうか。なお、内容のネタバレや結末が含まれる感想もございますのでご注意ください。
問答無用に完成度の高い脚本を楽しむ
新作が待ち遠しい内田けんじ監督、寡作なのでいつもほんとーーうに待ち遠しいのですけれど、日本映画の監督の中では最も楽しみに新作を待っている監督のひとりです。近作は「鍵泥棒のメソッド」でこれもあっぱれな作品でしたが、もう4年前。早く新作が見たいものです。何故か全然メディアに登場しない内田監督。李相日監督のような、というとあれですが、ぶっきらぼうなタイプでもなく、むしろウィットに富んだ、かなり喋れる人とお見受けするのですが、新作の公開のプロモーションの時でさえ、あまり前に出て話したりすることがないという印象です。「鍵泥棒のメソッド」などは、三谷作品ほどまで行かなくとも、もうちょっと派手に宣伝を打てば、もっともっと話題になって当然だったろうなと思います。そういう昨今のプロモーションのやり方があまり好きでないのかなあ。当然HPもなければSNSもない、本も書かない。私のように新作を心待ちにしているファン...この感想を読む
恋愛よりも美しい男性同志の友情
1人ぼっちは寂しく群れていたい男性。1人ぼっちは寂しいけれど、どうにか生きていける女性。男女の生き方の違いを見ることができる。そして、何より面白いのは、時間の流れがさまざまに組み込まれている。まるで小説のようだ。よくよく練られている。だから、さまざまな人の行動から作品を追うことができる。「運命じゃない人」恋愛?と判断するのは尚早で、恋愛45%、人間模様55%というところか?作品の内容も楽しめ、展開や構成に惑いながらも楽しめる作品になっている。個人的な解釈としては、男女の恋愛よりも男同士の友情の方が美しいと思わせてくれた。きっと男性受けもいい作品だと思うのでデートで鑑賞してみてはいかがだろう?
脚本が秀逸
内田けんじ監督の作品は脚本が秀逸。「アフタースクール」然り、「鍵泥棒のメソッド」然り、本作はその原点ともいえる作品。ベースになるのは、ちょっとさえない主人公に降りかかった、ほんの少し非日常な女性との出会い。けれどその裏ではとんでもない出来事が次々と起こっていた。その伏線の張り方がうまいから、最初はのんびりとしたゆるい映画と思ってしまうかもしれない。けれど中盤からのネタばらしが始まったら、あれはこういうことだったんだ!と必ず思える。失礼ながらキャストに華はないけれど、多くの作品で名脇役として実績を積んできただけあって、とても安心して見られる。中村靖日を好きになったきっかけの作品。
パズルがぴたっとはまる快感!
こう言っては失礼だけれど、この作品には華やかな俳優は出てきません。主演もよく拝見する中村靖日さんだけれど、決して主役っぽい俳優さんじゃないし。でも反対にそれがこの作品の良さかもしれません。同じ時系列のストーリーが、登場人物一人ひとりの視点で描かれていて、初め、いまいちその時系列のパズルが分からないと、ちょっとはずしたかな?なんて思ってしまったのですが、からくりが分かってきた途端、あっという間に作品に引き込まれ、最後にはパズルがぴたっとはまった快感を味わえます。欲を言えば、婚約破棄した女性が最初から最後まで暗い表情で終わってしまったので、最後にハッピーな笑顔が見れたら良かったな~なんて思いました。
運命の「運命じゃない人」!
大袈裟じゃなく私の人生で最イチオシの一本。何を書いてもネタばれになりそうなのですが、主演が中村靖日なのもまたいいのかもしれない。中村靖日が主役の作品なんて、いい意味でレアです。激レアです。ものすごく主演作ばかりやってほしい役者さんなのではなくて、主演やるなら本作みたいに的確に輝ける作品に出会ってほしい、そんな感じ。で、内容ですが。ほんとどう書いたらいいのか。大好きすぎてちょっと見失ってます。もう登場人物ほぼみんな不憫で不憫で、観てて爆笑のあまり涙ぐんだ訳です。伏線の巡らせ方が半端ない!こういうのが上手い監督さんだと思うので、大泉洋主演作「アフタースクール」・堺雅人主演作「鍵泥棒のメソッド」が気に入った人は是非ちょっと遡って「運命じゃない人」も観てみて下さい。お願い。