自分の人生を肯定するきっかけにしたい映画 - セブンティーン・アゲインの感想

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自分の人生を肯定するきっかけにしたい映画

4.04.0
映像
3.0
脚本
4.0
キャスト
3.5
音楽
3.0
演出
3.0

目次

あのおじいさんは一体何者?

子供からは尊敬されず、仕事も上手くいかない。おまけに奥さんからは離婚を持ち掛けられ、散々な日々を過ごす37歳の主人公、マイク。

そんなマイクがある日、ひょんな事から17歳の身体に戻ってしまい、改めて人生を見つめ直していくというストーリー。

ここで気になるのが、身体が17歳に戻るきっかけとなったあのおじいさんは一体何者なのか?という事。色々と調べてはみましたが、監督や出演者ともに、誰も明言はしていないようですね。過去の栄光を忘れられない、寂しい大人達の前に現れる不思議な妖精といったところでしょうか。良くも悪くも、コメディ映画らしいキャラクターですね。是非とも私の元にも現れて欲しいです。

親友ネッドの演技はほとんどがアドリブ!

主人公マイクの親友ネッド。とてもユニークなキャラクターで、作品をより楽しいものにしてくれていました。

そんなネッドを演じた俳優、トーマス・レノンですが、演技のほとんどがアドリブなのだそう!驚きですよね。17歳のマイクを演じたザック・エフロンは、そんな彼のアドリブに慣れるまでなかなか大変な思いをしたそう。

もしも自分がそうなったらどうする?

この作品で意外だったのは、時間ごと17歳の頃に巻き戻るのではなく、身体だけが17歳に戻るという点。時間ごと当時にタイムスリップし、改めて奥さんの素晴らしさに気付いて関係を修復していく……。というストーリーを想像していた方も多いのでは?

しかし本作は、身体が17歳に戻った事をきっかけに、子供たちを様々な困難から救い、妻との関係も修復しようと努力するマイクの姿を描いています。

17歳。人生で一番輝いでいた時期に戻ったにも拘らず、すり寄ってくる若い同級生達の誘惑にも打ち勝ち、真っ直ぐに奥さんを思い続けるマイク……。かっこ良すぎます。自分だったらどうするか……考えたくありませんね。自分が嫌になりそうです。

そんな17歳のマイクを演じた彼、ザック・エフロンはハイスクールミュージカルシリーズで人気を博し、女性ファンも多く、当時はいわばアイドル的存在と耳にしていました。なので彼の人気にあやかっての主演作だろうと、あまり期待していませんでした。しかし見事に裏切られました!

見た目は17歳、頭脳は37歳!という難しい役柄を見事に演じ切っていました。作品としても素晴らしく、終始テンポ良く進んでいき、全く飽きる事が無く楽しく鑑賞する事が出来ました。

作品から気付かされる家族の形

奥さんを女性ではなく、子供の母親としてしか見れなくなった男性もきっと少なくないはず。この映画を見ていると、ついつい自分たちの出会いも振り返ってしまいます。これを機に、奥さんに対する見方を変えられたら素敵ですよね。

奥さんだけでなく、子供たちもそう。父親という立場では会話すらしてもらえなかったマイク。しかし、17歳の身体になってみると、子供達はすんなりと彼を受け入れていました。子供との向き合い方を改めて考えさせられます。身体を17歳に戻す事は無理でも、等身大の気持ちで、彼らと同じ目線に立ってみると、何か気が付ける事があるかもしれませんね。

上手くいったのは17歳に戻ったから?

本作は、身体が17歳に戻ったことで、色んなことが上手くいき、最後には奥さんとも復縁します。

でもそれは、17歳に戻ったから上手くいったのでしょうか?よくよく考えてみると、彼のとった重要な行動の一つ一つは、仮に彼の身体が大人のままであっても出来た事ばかりです。

もちろん高校に入学する事自体は、17歳の戻ったからこそ出来たことです。しかし、子供のバスケの練習に付き合ってあげること、子供を正しい道に導いてあげること、いじめに気付いてあげること、奥さんときちんと向き合うことは、決して大人の身体であっても不可能じゃない。

もしも彼が、17歳の身体に戻り、ターニングポイントとなるバスケの試合を放棄せず、大学に進んでいたとしたら、17歳に戻ったからこそとと言い切ることが出来ましたが、そうじゃなかった。つまり、行動を起こすきっかけさえあれば、状況はこれほどまでに変えられる、という事かもしれません。

もちろんこれは完全なるフィクションなので、現実はそう上手くはいかないかもしれません。でも私は、行動力というものの重要さを強く感じさせられました。

人生を振り返るきっかけをくれる

身体が17歳に戻り、人生をやり直すというこの映画のストーリー。どこかで聞いたことあるような気がしなくもない。正直、ありがちではありますよね。でも、見始めると何故が既視感は感じず、家族の為にどんどんトラブルに首を突っ込んでいくマイクを観ているのが最高に楽しい。

やっぱり、こういう人生をやり直す映画というのはヒットするし、内容も面白いことが多い。それだけ、人生をやり直したいと考えてる人か多いという事なのかもしれません。

そして、こういう作品のほとんどが、やっぱりもう一度同じ人生を選択する、というラストを迎えているように感じます。本作も、マイクはあの時大学に進んでバスケを続けていれば……と何年を悔やみ続けるものの、結局はまた奥さんを選びます。予想はしていたものの、とても感動させられました。

そして観客は、こういうラストを迎える事で、自分の人生を振り返り、結局は自分もまたこの主人公のように今と同じ人生を選択するのだろうな、と自分の人生を肯定するきっかけをくれているような気がします。人生は一度きり。マイクのように身体が戻らなくとも、もしもこの映画を観たことで過去ではなく今に目を向けられたらいいな、そう感じます。

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