リライフ、しませんか?
人生やりなおしてみませんか?
27歳無職の海崎新太が薬を飲んで一年だけ高校生に戻り、人生をやり直す(=リライフ)というお話。人生やり直し物は割とよくある設定ですが、時間軸はそのままに本人だけ(ではないが)高校生の見た目になって、リアル高校生の中で学校生活を送る話は斬新だと思います。身体は27歳のままなので体力が続かなかったり、家では酒やたばこをたしなむシーンがあったりと、高校生の中でみせる表情と「大人」な海崎さんのギャップがたまりません。
そんな海崎さんにはある重い過去が。大学院卒業後就職した会社がブラックで、そんな中でも海崎さんを気に掛けてくれた直属の上司の女性が社内で首を吊って自殺してしまったのです。にもかかわらず彼女の死をさして気に留めない会社に怒りが込み上げ、入社後僅か3ヶ月で退職。以来バイトと仕送りで食いつないでいく日々を送っていました。トラウマからネクタイすら締められなかった時期もありました。
一年を終えた後は周りの人たちから自分に関する記憶が消えてしまう、という条件つきのリライフ。最初は「生活費のため」と言っていた海崎さんでしたが、日代さんや周りの仲間たちと出会い、時には「大人」ならではの視点で説教を食らわせたりと漫画の設定が大きく生かされたストーリーだと思います。
一に成長していく?リライフ課の職員たち
海崎さんのクラスメイトの夜明了、そして最初の試験で海崎さんと一緒に再試を受けることになる小野屋杏。この二人は実は「リライフ」を持ち掛けたリライフ研究所の職員たちです。
リライフ被験者を担当する職員は一緒に高校生として生活する決まりがあるため来たのだという二人。被験者についてレポートを書くため尾行したり盗聴したりと海崎すらタジタジになる行為を繰り返すのですが、夜明にはあるトラウマがあるそうで。実は海崎さんは被験者002であり、過去に受け持っていた被験者001は一年間リライフしたものの成果が残せず失敗に終わってしまいました。その責任を強く感じてしまった夜明と、彼を心配していた小野屋。二人もまた海崎のリライフを通じて成長していきます。リライフは本人だけでなく周りにもいろんな影響を与えるんですね。
コミュ障なヒロイン、日代千鶴
海崎さんのクラスメイト、日代千鶴。初日に席を間違えたことがきっかけで知り合いになった日代は成績トップで優等生。しかし極度のコミュ障で友人はゼロ。知らないことはなんでもネットで調べ、いきなりおかしなことを言って来たりと海崎さんを振り回します。
しかし彼女にも大きな秘密が。実は彼女こそがかつて夜明が担当した被験者001だったのです。仕事はできるが周りとのコミュニケーションがうまく取れないゆえに職場で厄介者扱いされ、職を転々としているうちにニートになってしまいました。
昨年一年間リライフを行いましたが、成績こそトップなものの、周りと関係を持たず以前と変わらぬままだったので「失敗」となった彼女。しかしもう一度チャンスが欲しいと夜明に決意を見せ、今度こそ変わろうと努力します。
とはいうものの誤解を生む言動を繰り返したり、海崎さんの家の扉を勝手に開けたりと問題行動は多いですが、彼女なりに成長しようとしているんだということは強く伝わってきます。
海崎さんと行動を共にして、ようやく彼への想いが「恋」であると気づいたものの、海崎さんの家にあったビールを見たことで被験者であると感づいたことで、お互い消える記憶ならばと踏みとどまってしまった日代。後悔するくらいなら踏み切ってほしい所ですが自分自身ですらこの気持ちを忘れてしまうと思うと私でもなかなか先にいけないでしょうね。
高校生に戻った海崎さんたちが関わっていく中で最も影響を受けたのはこの二人でしょうね。一見チャラそうだけど実はピュアで秀才な大神、負けず嫌いな努力家狩生。ここまで大人キャラクターばかりピックアップしてきましたがこの二人はリアルな高校生です。
学級委員の座を奪われた上馬鹿にしたような笑顔を向けてくる日代(彼女にとってはあくまで普通の笑顔らしいが)に嫉妬し、鞄を盗んだ狩生が日代に思いをぶつけるシーンはグッときました。リアルでは思ったことを相手に素直にぶつけられることってなかなかないと思うんです。陰口だったり、隠れて嫌がらせをしたり。狩生は一度はそちら側に逃げたんですが、海崎さんの説得に心を動かされてちゃんと向き合う覚悟を決めた。かなり勇気のいることだと思うのですが、実際話し合ったことによって誤解が解け、友人同士になれたのは双方にとってとてもよかったと思います。
今後の展開
ReLIFEは舞台、映画、アニメ化され、それぞれがオリジナルな結末を迎えましたが、漫画は完結していません。お互いへの想いを自覚した海崎新太と日代千鶴。二人の恋はどうなるのか、そしてリライフ終了後お互いを忘れないでいられるのか、今後の展開がとても楽しみです。
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