お互いを思いやるって素敵
スポーツ万能イケメン弟×ノリのいい社会人兄のストーリー
両親の再婚で義兄弟になった兄飛鳥と弟の唯。仲良し兄弟だったはずが、5年間もギクシャクした関係になってしまって、その間に弟はテニスで有名になりイケメンに成長、兄の心は複雑で・・・って始まり。オナニーシーンを唯に見られて、その時の一言で不能になっちゃう飛鳥はナイーブなのかヘタレなのか・・・。唯に対しての劣等感があったから余計にそうなっちゃったんだろうけど、飛鳥も決してブサイクなわけでも、落ちこぼれなわけでもないのになって感じだし、そこには仲良しだった過去の可愛かった弟への無意識の感情があるからだろうというのが感じ取れる。一方の弟唯は、飛鳥と狭い空間で密着したことがきっかけで兄で同性の飛鳥に欲情したことに悩んで、一旦不能に・・・。でも兄のオナニーシーンを見て、復活!兄への不埒な煩悩に悩まされながら過ごしていたと。この兄弟はどっちも一時不能になるんですね・・・って思っちゃうとそこが笑いのツボにもなっちゃいました。兄弟で同性なのに欲情しちゃうことに対して唯は悩んで、飛鳥と距離を置くけどやっぱり諦められない唯。地震による土砂崩れで建物に閉じ込められて、助からないかもしれない状況に追い込まれた時、唯にとっての心残りは飛鳥への思いで、唯はその思いを遂げるっていう流れは、伏線にギクシャクしだしたきっかけになってる閉じ込め事件があるので、そうなるよねって感じで読める展開ではあるんだけど、世間一般の常識の中では兄弟で同性愛はやっぱりタブー視される問題だし、タブーを越えて関係を結んだからこそ飛鳥は、自分の感情に向き合って、唯に対しての思いを自覚することになるので、きっかけになるこの状況は必要なんだと感じる。関係を結んだあとの二人の行動も興味深かった。助かった後で、唯は無理矢理の行為を後ろめたく感じていて、でもやっぱり好きで諦められなくてウジウジなのに、飛鳥は思いを自覚したら素直に行動に移しちゃう。兄弟だとか同性愛だとかってことよりも唯が好きっていう思いが優先されちゃってるのが飛鳥の可愛さで、そんな飛鳥が唯は好きなんだろうなと改めてこの二人の関係性を感じられるシーンでもあったと思う。
兄弟それぞれのモテ傾向
弟の唯は、イケメンでスポーツ万能、テニスで海外留学する位の才能があって、高校生なのに高校生にみえないくらい身長も高く、スタイルもいい。なのでとにかく女性にモテる。学校や試合会場に応援に来るファンがいて、ちょっとしたアイドルや芸能人のような扱い。
兄の飛鳥は、本人は全く無自覚だが、♂モテで変質者ホイホイ。仕事ではクライアント受けがよく、ファンもいる。通称親父キラー。昔から男性を引き寄せるタイプで、プチストーカーが頻発。本人は全く気付いていないが、同僚や弟唯の先輩も吸い寄せられていた。
この兄弟の対照的なモテ傾向が面白い。飛鳥への感情を自覚していた唯にとっては、飛鳥以外にモテてもどうでもいいことなんだけど、だからこそ、モテてるんだろうなと思う部分がある。せっかくのイケメンでも肉食でギラギラしてたりチャラいと冷めちゃうこともあるけど、飛鳥にしか興味のない唯は女性に対してある意味クールになるし女性の影がない。ファンにとったら、いい鑑賞対象になるし、アイドルみたいにほのかな恋心を抱けるからファン増加って図式が頭に思い浮かんで仕方なかった。可愛かった唯に避けられてさみしかった飛鳥、さみしいから友人や知人には人懐っこく接する癖がつき、にじみ出るさみしさはきっと庇護欲や嗜虐心をそそる対象として育っていったんだろうなと思うとこれまた楽しかった。そんなさみしさにじみ出る飛鳥に変質者はホイホイされて、友人はその人懐っこさにいつの間にかほだされ、クライアントは人懐っこさに加えてにじみ出るさみしさも感じたら、そりゃあ人気も出るよね。そんな飛鳥を作ったのは距離を置いて避けちゃった唯なんだけど、心配で見張ってたりしてるのも自業自得だけどとか考えたらウケる。
煩悩退散のために始めたテニス
飛鳥を忘れるために、身体を動かせればなんでもよかったという理由で始めたテニスなのに、うっかり才能があったばかりにプロの世界に入ることを望まれる唯、その才能を伸ばして成功した方が、唯のためになると感じる飛鳥。唯にとっては飛鳥と共にある未来がなによりも大事でテニスの才能もその先にあるプロへの道にも興味を持たず、一途に飛鳥だけを思い、あくまでも基準は飛鳥という唯の思考は、人としてとても尊いもので、そこまで人を愛せることに心を奪われる。飛鳥の考えた優れた才能を活かした輝かしい未来を自分が奪ってしまいたくないという思いも唯が大事だからこそ出た思いで、自分の気持ちよりも相手の唯の将来を考えての選択ができるのも愛するが故で、愛することの難しさ、尊さを感じる。お互いが大事だからこそのそれぞれの選択がすれ違いを生み、また解決にもつながっていて、最終的には愛することが一番大事なんだという思いが残る作品だった。
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