生きるって辛く幸せなこと
悲劇のヒロインワガママ娘の寂しい背景
このドラマを一番最初に見た時に思った本当に正直な感想は、主人公のボラのわがままさにイライラが止まらず!って感じでしたね。設定がお金持ちの家の娘っていう設定だしなおさら。お金があればなんでも許されるような生活をしているんだなーと。見た人なら分かるけれど、生活が荒れてますよね。誰にも心を開いてないまさに反抗期の娘のように勉強もせずに遊び歩いているような。そんなボラだけれど実は誰よりも孤独で誰よりも寂しく暗い世界を持っている女の子で、でも彼女の性格的にそれを誰にも知られることのないよう強がって生きているような本当に本当に寂しい子です…。最初の方は友達が作れないのではなく作らない、自分からこの世界に分厚い壁を作っています。この分厚い壁を見事に壊しに行ったのがテウンというわけで。だから、人ってやはり運命の出会いってあると思うんですよ。恋だけでなく、自分が誤った方向へいこうとしている時に変えてくれる人生の恩人って人が。これを改めて感じますよね。強がって生きていることやワガママに自由に生きている人や自分の殻に閉じこもっている人にもきっと何らかの理由があって悩みの種があるんです。だからこそ悩んでいる人に対して相談にのってあげるっていう大切さを再認識しましたね。
ボラの服装は心の変化
上記でも述べましたが、前半のボラは荒れに荒れていたわけです。そんな彼女の服装に注目して見てみますと、まぁ派手ですよね。ピチピチのタイトスカートだったりギラギラのアクセサリーを身につけていたり。パーティなどに参加するようなセレブの格好が目立ちます。これはまだボラが運命の人に会いきれていない場面です。会ってるんだけれどお互いに運命だと確信していない状態です。服装ってその人の心の状態をストレートに表現する鏡だと思っているんですけれど、このボラを見ているとその通りだなと。後半の病気で倒れてテウンと二人で歩むようになってからは清楚系の白のワンピースだったりカーディガンでナチュラルな服装に変わっていきます。心の傷が癒えていっているんだなと感じます。テウンを頼るようになってくる頃には強がる場面も少なく、とても素直で優しい女の子になります。これが素のボラなんだろうなと強く感じます。テウンもボラも理由はどうであれお互いに深い深い傷を心に負っている孤独な世界の住人だけど、テウンの相手を思いやり包み込むことの出来る広い心とボラの時には素直でないけれど一途なところなどがお互いの心を癒し合っていくんです。
絵本がキーワード。ドラマと絵本を比較してみると
そもそも雪の女王の原作に関わっているのがアンデルセンの童話『雪の女王』です。悪魔が持っているガラスが割れカイの心と目に刺さり雪の女王と一緒に遠くへ行ってしまったカイをゲルダが見つけに行くという話なのですが、ドラマの雪の女王にも共通点があります。それはボラが幼少期に出会った一人の青年を一途に思い続けているところです。ゲルダもカイのことを心から愛していて、見つけに行かなくては!とどこまでも辿っていった心の綺麗な少女です。ボラもずっと探し続けていた青年にやっと出会い、そこから色々困難もあったけれど最終的に愛し合うことが出来た心温まるエンドになっていますよね。それと、雪山。雪山はただでさえ寒い極寒の地域ですが、これがボラとテウンの孤独の冷たさを表現しているんだと思います。雪山は色んな形に姿を変えますよね。ある時は吹雪になって先ゆく人の進行を困難にしたりある時はキラキラの静かな雪山で見ている人を幸せにするような顔を見せたり。そんな雪山を背景にする撮影が多かったのも一つの見どころだと思います。特に印象に残っているのがテウンがアイスランドの雪山の崖に転落していくシーン。これは冒頭とラスト話にでてくる共通のシーンになります。冒頭に出てきた時はテウンがあまりに病んでしまって飛び込みたくなったのかな笑なんて思う程度でしたが、ラスト話に出てきた時に納得しました。ボラの強い心境を描いたシーンだったんだなって。ボラ目線で、テウンが私を追ってこの世から居なくなってしまったらどうしたらいいの。という不安な気持ちがあの描写に至っているんだと。実際も最終話にボラが嫌な夢を見たというシーンで使われています。自分が病気ボラが一番心残りなのは自分が居なくなることより自分を追ってテウンが変な気を起こさないかの心配をしてたんですね。感動のお話です。現代社会で生きている私達に送るメッセージというのも確実に読み取れますよね。生きたくても生きられない人がいること、この世は一人で生きていくことは大変であるので支えあって生きていくことの大切さ、そして人を愛するということ、普段意識して生活することなどあまりないけれど、このドラマを見ると改めて認識する、メッセージ性の強いドラマでした。
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